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技術情報

  ◆JPEG2000規格に準拠したパソコン用
ハイビジョン・リアルタイム圧縮・伸長基板の開発
(平成15年5月15日)


○ NHKは、米国のアナログ・デバイセズ社の協力*1を得て、静止画圧縮の新しい国際標準規格JPEG2000*2に準拠して、ハイビジョン動画信号をリアルタイムに圧縮・伸長できるパソコン用拡張基板を世界で初めて開発しました。
○ 従来の静止画圧縮規格JPEGはデジタルカメラなどで広く普及しています。JPEG2000は新しい技術を採用した静止画圧縮規格で、インターネットやデジタルカメラに向けた開発が行われています。しかし、標準テレビ方式を対象としたものが中心です。

○ これまで、ハイビジョンについては、画面を小さく分割して小画面ごとに符号化する装置が試作されていましたが、筐体が大きいものでした。今回開発したパソコン用拡張基板は、基板1枚で、ハイビジョンを小画面に分割することなく、圧縮・伸長できます。

○ JPEG2000は、JPEGに比べて約1/2の符号量で同等の画質が得られる高い圧縮性能を持つとともに、ハイビジョンの符号化データから、直接、標準テレビ、PDAや携帯端末用のデータを取り出すことができるという特長を持っています。

○ 放送局内のノンリニア編集機には、フレーム単位の編集精度や、早送り、逆戻しなどの操作性を満足するために、フレーム単位で静止画として符号化するJPEG、DV(Digital Video規格)やJPEG2000が適しています*3。今後は、符号化方式としての性能比較と検証を進めます。

○ 今回開発した基板を用いたハイビジョン符号化装置を、5月22日から25日に開催するNHK放送技術研究所の公開にて展示します。

*1: 同社から提供されたJPEG2000試作LSIを使用
*2: JPEG2000は、2001年1月に国際規格化された、Wavelet変換など最新技術を採用した静止画圧縮規格です。Wavelet変換とは、2次元フィルタリング処理とサブサンプル(画素の間引き)を、階層的に多段に組み合わせた処理です。
*3: MPEGのようにフレーム間の差分を符号化する動画像圧縮規格では、各フレームの符号化データのみでは、そのフレームを再生することが出来ません。

試作した基板の仕様
圧縮符号化規格 JPEG2000 part-1(Core Coding System) 準拠
入出力信号 ハイビジョン、10/8 bit SDI(Serial Digital Interface) 、29.97/30Hz
符号化単位 フィールド単位
データフォーマット Motion-JPEG2000 *フォーマット
規模 PCI 64bitバス基板1枚
* Motion-JPEG2000: JPEG2000を動画に適用するためのファイルフォーマットの規格

試作した基板の写真(PCIバス基板)
試作した基板の写真(PCIバス基板)
 
JPEG2000ハイビジョン符号化データから各種映像サイズのデータの取り出し
JPEG2000ハイビジョン符号化データから各種映像サイズのデータの取り出し





















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