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技術情報

  ◆ハイビジョンニュース伝送で新兵器開発!ヘリコプターの旋回飛行・高速飛行でも極めて安定な伝送を実現
〜マイクロ波帯デジタルFPUによるヘリコプターからのハイビジョン伝送実験に成功〜
(平成12年10月20日)

○ NHKは、ハイビジョンの素材を伝送するため、新しくマイクロ波帯64QAM[*1]方式デジタルFPUを開発しました。今回、このデジタルFPUで、ヘリコプターからのハイビジョン伝送実験を行い、高速で飛行するヘリコプターから、鮮明なデジタルハイビジョン空撮映像が途切れることなく伝送できることを確認しました。

○ マイクロ波帯64QAM方式デジタルFPUは、ハイビジョン素材伝送に必要な1秒間に60メガビットという極めて大きな伝送容量を、現行NTSC方式を伝送するアナログFPUと同じチャンネル帯域18MHzの中で送ることが可能な伝送方式です。

○ NHKでは、このデジタルFPUを開発するにあたり、基板インターフェースを統一し、集積度を高めた64QAM変調基板を新開発することで、著しい小型化と低コスト化を両立しています。

○ また、BSデジタル放送の開始に伴い、NHKではニュースのハイビジョン化を進めていきますが、ヘリコプターによる伝送実験は、こうしたハイビジョンニュースでの緊急報道対応としての実用性を確かめるために実施しました。

○ 通常、ヘリコプターからの伝送は、アナログでもデジタルでも機体が電波を遮らないよう左右の送信アンテナを切り替えながら行います。今回の実験においては、データ信号が乗らない参照信号期間内でアンテナを切替えることを可能とするアンテナ切替機能を新たに開発し、この機能を搭載したヘリコプターで実験したことより、アンテナ切替による伝送上の誤りの発生、映像への影響は全く見られませんでした。

○ また、ヘリコプターが機体を傾けて旋回飛行したり、時速240km程度で高速移動するといった厳しい伝送条件下でも極めて安定な伝送ができることを確認しています。

○ NHKは、BSデジタルハイビジョン放送のハイビジョン番組素材伝送に今回開発した64QAM方式のデジタルFPUを導入していく計画にしています。今回の実験は、ハイビジョンエンコーダ[*2]をFPUの外に付けて行いましたが、このエンコーダをはがきサイズまで小型化しFPU本体に内蔵したものを、平成15年度までに開発し、現行アナログFPUに代わる次世代FPUとして全国整備を目指していくことにしています。

[*1] QAM方式
  直交振幅変調方式(Quadrature Amplitude Modulation)で、長距離デジタルマイクロ信号伝送に広く使われる方式。周波数を効率的に運用できる。なお16QAM方式(16=24)に比べて、64QAM方式(64=26)では1.5倍(6/4)の伝送容量を送ることができる。
[*2] ハイビジョンエンコーダ
ハイビジョン信号をデジタル信号に変換する装置。ハイビジョン符号化装置ともいう。


ハイビジョン伝送用ヘリコプター
小型64QAM方式デジタルFPU











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