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◆地上デジタル放送用回り込みキャンセラーの開発
〜放送波中継によるSFNの実現を目指して〜
(平成12年4月27日)
○NHKでは、地上デジタル放送における中継局の送信・受信間の電波の回り込みを電気的にキャンセルできる、回り込みキャンセラーを開発しました。この回り込みキャンセラーを用いた野外実験で、回り込み波の強さが親局波と同程度の厳しい条件下でも、安定に中継できることを確認しました。
野外実験は、3月21日から3月31日にかけて、近畿地区地上デジタル放送実験協議会の実験の一環として、通信・放送機構の地上デジタル放送研究開発用共同利用施設の北淡垂水中継局を使用して実施しました。
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○地上デジタル放送では、周波数を有効に利用するため、中継局も親局と同一の周波数で放送する、単一周波数ネットワーク(SFN*1)が検討されています。その中継局へ放送信号を配信する手段として、光ファイバーあるいはマイクロ波回線、および放送波中継が考えられます。その中で放送波中継は、親局から放送波をそのまま受信するため、コストの点で最も有利です。
○しかし放送波中継の場合、中継局では受信した親局波と同じ周波数で家庭へ向けて送信するため、送信した電波の一部が受信アンテナに回り込み、音響のハウリング*2と似た発振現象が発生する恐れがあります。これを避けるには、受信アンテナを送信アンテナから遠ざけて設置する方法がありますが、新たな用地を確保する必要があったり、立地条件から困難な場合もあります。
○今回試作した装置は、回り込み波による周波数特性の乱れを検出し、正常な周波数特性となるように制御することで回り込み波をキャンセルするものです。
実験では、親局波の強さと回り込み波の強さが同じで、そのままでは発振してしまうD/U=0dBの状態においても、中継局は安定に動作しました。
○この開発により、限られた周波数を有効に利用することができます。
*1 Single Frequency Network
*2 スピーカーから出た音をマイクロホンが再び取り込んで発振を起こす現象
回り込みキャンセラーを用いた放送波中継の構成
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