NHK WORLD

黎明期

国際放送主な出来事 黎明期

国際放送開始1935年~1940年代

国際放送主な出来事 国際放送開始1935年~1940年代

1950~70年代

国際放送主な出来事 1950~70年代

1980~90年代

国際放送主な出来事 1980~90年代

2000~2015年

国際放送主な出来事 2000~2015年代

2015(平成27年)

国際放送のこれから見たくなる国際放送へ

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主な出来事

’15
  • 戦後70年
  • 日韓国交正常化50周年
  • ASEAN経済共同体(AEC)の実現へ(人口6億超)
  • 国際放送80年
  • NHKワールドTV VODサービス開始

英語による国際放送「NHKワールドTV」の充実・強化

NHKにとって2015年は、放送開始90年であり、国際放送80年の節目である。この間ラジオからテレビへと国際放送も進化をとげる一方、ネット社会の急速な発展で、誰もがいつでも自由に、しかもいとも簡単に国境を越えて、情報を発信できる仕組みができあがった。時代は公共放送の真価と海外発信力強化の持つ意味を改めて問いかけている。

国境を越え誰もが発信できる時代

大型ニュース番組「NEWSROOM TOKYO」月~金/後8:00~8:45(日本時間)

大型ニュース番組「NEWSROOM TOKYO」
月~金/後8時00分~8時45分(日本時間)

大型討論番組「GLOBAL AGENDA」月1回程度/土前9時10分~11時00分ほか(日本時間)

大型討論番組「GLOBAL AGENDA」
月1回程度/土前9時10分~11時00分ほか(日本時間)

国では、スマートフォンなどの携帯端末を使う時間がテレビの視聴時間を超えた。米国のマーケティング調査会社「Flurry」によれば、2014年の第3四半期、テレビの視聴時間は一日平均168分。これに対し携帯端末の使用時間は177分と、初めてテレビを上回った。

インターネットやSNSなどソーシャルメディアの発達は、情報に受動的に接するだけでなく誰もが情報を発信できる環境を作り上げてきた。

80年前、NHKが電波を北米に届けるのに費やした労力に比べ、はるかにたやすく、情報は国境を越えて拡散していく。

2010年、北アフリカのチュニジアから中東各国に広がった民主化運動「アラブの春」では、多数の人々の間で瞬時に情報が共有できるソーシャルメディアが大きな役割を果たした。

改めて問われる正確な情報提供の役割

5年後の2015年、イスラム過激派組織ISが2人の日本人を誘拐後殺害した事件が日本中に衝撃を与えた。過激派組織は身代金や人質交換の要求、さらには殺害の様子まで動画を通じて世界に発信。日本をはじめ関係国政府を翻弄し、既存のマスメディアもその都度、情報の確認に追われた。国家を装うテロ組織による動画配信を、いかに伝えるか、十分注意して扱わないとプロパガンダに利用されかねない。メディアには新たな課題がつきつけられた。

ネット上に存在する無数の情報。その真偽や価値を判断するために、客観的で正確な情報を提供できるか。「信頼される国際放送」として、日本と世界をつなぐ役割をいかに果たしていけるか、NHKの国際放送の真価が問われている。

視聴しやすい時間帯に多彩な番組を

NHKワールドTVは、2014年9月、約150の国と地域、約2億8千万世帯で視聴可能となった。しかし認知度の点では、先駆者の英BBCや米CNNにはるかに及ばない。コンテンツの充実と見やすい番組編成、効果的なプロモーションの実施が大きな課題だ。

2015年、NHKワールドTVでは、日本とアジアの情報を世界に発信する体制を強化するための大型ニュース番組と、グローバルな課題を世界一流の識者が議論する大型討論番組を新設した。

45分間のニュース番組「NEWSROOM TOKYO」は日本時間の平日午後8時(北米東海岸の朝、アジアでは夕方)、日本とアジアのその日の動きや注目の話題をせき止めて、深くわかりやすく伝える。

また年間10本程度を予定する大型討論番組「GLOBAL AGENDA」では、国際政治・安全保障や経済・金融問題から、環境問題に至るまで、日本と世界が直面する課題に対し、世界のオピニオンリーダーが解決策を提言する。

一方、北米やアジア、欧州など地域ごとの視聴意向などを丁寧に把握し、視聴好適時間帯に各地域のニーズに合った番組が提供できるよう編成も工夫した。

日本の産業や経済の動向、最先端の科学技術、観光、食、文化、音楽に関する多彩な情報やドキュメンタリーなどをたっぷり紹介する。女性の社会進出が経済成長や社会の発展のカギを握るといわれる今、日本とアジア諸国で、国や地域に変革をもたらしている「アジアの輝く女性」を取り上げるドキュメンタリーも放送する予定だ。

また週末は、アニメやエンターテインメントなど、多彩で豊かな娯楽番組も編成し、世界で楽しんでもらえるコンテンツの開発をめざす。「見たくなる国際放送」、それが80年目のスローガンだ。

国際放送のこれから「信頼される国際放送」めざして

世界中で見てもらうために進化を続ける

「見たくなる国際放送」へ

本格的にビデオオンデマンド配信(VOD)を開始 本格的にビデオオンデマンド配信(VOD)を開始

本格的にビデオオンデマンド配信(VOD)を開始

ネット時代にどう対応するかも、もちろん国際放送に課せられた課題だ。スマートフォンへのアプリ公開で、テレビとラジオのライブストリーミングはより簡便にできるようになった。2014年の放送法改正をうけて2015年にはアメリカなどではすでに普及が進んでいるビデオオンデマンド配信(VOD)を本格的に進める。「見逃しサービス」を中心に6月から、10番組程度をまず配信開始する予定である。2度目の東京五輪・パラリンピックを迎える2020年を意識しながら、東京と日本の今を伝える情報番組も欠かせない。

「2020年」も見据えて

NHKの国際放送がはじまって80年。NHKは戦後一貫して「国策放送」の反省を背負いつつ、国内向け・海外向け問わず、自由と民主主義の礎を築くことに注力してきた。その基本方針が揺らぐことはこれからもありえない。

ただ、時代とともに国際放送に期待する声が増大してきたことは事実である。戦後、国際社会への復帰を果たし、高度経済成長を経て世界での存在感が増した時代。バブルの崩壊と中国など新興国の台頭を受けて、相対的な日本の地位の低下が言われた時代。そして、冷戦後唯一の超大国、米国の覇権が揺らぎ、国際秩序の混迷が見え始めた今。

日本から世界に向けて何を発信していくか、それは日本がアジアの中で、また世界の中で、どのような役割を果たしていくかを映し出す鏡にもなっていくだろう。

「NHKワールドに寄せる想い」

NHKで国際報道を担当した時、取材先で何度となくラジオジャパンを聞いた。夜中に電波をとらえた時のうれしさは格別だった。今、主役はテレビのNHKワールドTV。インターネットを使えば世界中どこでも視聴できるが、ホテル、家庭、職場のテレビ受像機では駄目な場所がいくつもある。見えたにしても、各国の放送とのチャンネル争いは大変だ。

しかし頑張ってほしい。番組の質を上げ、より魅力的にしてほしい。各国での受信環境を一層整備してほしい。日本国内でもBSか地上波でNHKワールドを放送してほしい。こうすればNHKワールドの存在感が高まり、世界中でファンが増えることは間違いない。

先の大戦に敗れて70年。日本は平和国家として国際社会の安寧と人類の福祉を希求し国際協力を続けてきた。そのことを世界中に知ってもらい、日本に親しみを感じる人、日本に行きたいと思う人を増やしたいと思う。これこそが、NHK国際放送の最大の使命だと確信している。

(髙島肇久 元・海外企画局長、元・日本国際放送社長(初代))