NHK WORLD

黎明期

国際放送主な出来事 黎明期

国際放送開始1935年~1940年代

国際放送主な出来事 国際放送開始1935年~1940年代

1950~70年代

国際放送主な出来事 1950~70年代

1980~90年代

国際放送主な出来事 1980~90年代

2000~2015年

国際放送主な出来事 2000~2015年代

2011(平成23年)

東日本大震災
と原発事故日本の国際放送としての信頼感

年代史  >  2011 >  東日本大震災と原発事故  | 復興や原発の動きを伝え続ける

主な出来事

’11
  • 3.11 東日本大震災 福島第一原発事故 発生直後から特別編成放送
  • 5.2 ビン・ラディン氏殺害
  • 7.17 なでしこジャパンW杯で優勝
  • 7-11月 タイ洪水被害
  • 9月 米反格差デモ拡大
  • 9.12 NHKワールドTV、東日本大震災報道などで「Connected World TV Awards」最優秀賞受賞

リアルタイムで世界に発信

2011(平成23)年3月11日、東日本大震災が発生。東北地方を中心に1万5000人以上が犠牲となり、東京電力福島第一原発事故の対応もあわせて未曽有の災害となった。この事態をNHKワールドは、テレビ、ラジオ、インターネットで全世界に発信。迅速かつ的確な情報を伝え続けてきたことで、国際放送としての信頼を得ることにつながっていく。

未曽有の大災害を世界に伝える

震災を世界に伝え続ける高雄美紀キャスター(2011.12) 震災を世界に伝え続ける高雄美紀キャスター(2011年12月)

震災を世界に伝え続ける高雄美紀キャスター(2011年12月)

海外でもNHKワールドTVの映像で伝えられる、写真はイギリス・BBC

海外でもNHKワールドTVの映像で伝えられる、写真はイギリス・BBC

2011年3月11日に東日本大震災が発生。日本がこれまでに経験したことのない未曽有の大震災と原発事故に見舞われた。この大災害をどう世界に伝えるのか、2年前にスタートしたばかりのNHKワールドTVを中心に発信力を試されることになった。NHKワールドTVでは、震災発生から1か月間、ほぼすべての時間帯で、特別編成による24時間放送を行い、震災・原発事故関連のニュースや番組を全世界に発信し続けた。「NEWSLINE」では、首相官邸や東京電力での記者会見などを同時通訳で生中継、総合テレビの国内ニュース番組に同時通訳を付けて生放送し、「NHKスペシャル」などの番組も通訳付きで編成した。

発生当初、世界のメディアからは映像の提供依頼が殺到した。窓口の報道局国際報道プロジェクトと、国際放送局・海外総支局が連携して、NHKワールドTVを直接受信する方法を伝え、ロゴを画面に入れることを条件に映像使用を許可する態勢を取った。

情報が確実に届くよう、これまでにない手段も活用し発信した。NHKワールド・オンラインによる配信に加え、「ユーストリーム」や「ニコニコ生放送」などの動画共有サイトを通じて、ライブストリーミングで配信し、視聴数は震災後2週間で540万人に達した。

国内のケーブルテレビ会社にも、NHKワールドTVの番組を緊急に提供、全国で最大174のケーブルテレビ局を通じ約600万世帯で視聴可能となった。

通常編成に戻った後も、震災・原発関連のニュースを重点的に報じた。被災地に国際放送独自クルーを派遣して、「NEWSLINE」の中に原発事故の現状や課題を伝える「Nuclear Watch」や被災地の復興の動きを取り上げた「The Road Ahead」の2つのコーナーを新設、仙台局には国際放送担当の記者とディレクターが常駐し、現地の動きをつぶさに伝えた。

ラジオ日本では大震災発生後、17言語のニュースを、すべて生放送とした。また言語によって放送時間のすべてをニュースとするなど、特別体制で臨んだ。またニュースの音声はすべてインターネットで公開した。

視聴者からの手紙は各言語で増え、前月比2倍から3倍、中には10倍に増えた言語もあった。

世界に届いた震災報道

3月11日、スタジオに入り緊急ニュースを始めた。ごく短い一報以外に原稿はなかったが、揺れている様子を伝えた。デスクの指示で、わかる情報を英語で伝えていった。その後も、被災地の状況などを発信し続けた。

震災直後から、知り合いの外国人記者から激励のメールが続々と届いた。「ジーン、NHKワールドの放送から目が離せないよ」「すぐにでも日本にボランティアとしていきたい」。いかに世界中の注目を浴びていたか、痛感した瞬間だった。

後日、「災害放送の話を聞かせてほしい」と、アメリカの公共放送PBSの招きで、渡米し、スピーチはスタンディングオベーションを受けた。現地では、防災に関する特別番組に出演し、「どういう気持ちで放送を続けたか?」と聞かれ、正直戸惑った。当時、自分自身の気持ちは完全に押し殺していたのかもしれない。余震と津波。圧倒的な映像のインパクトに惑わされることなく、情報を正確に伝えることに専念していた自分しか思い浮かばなかった。震災報道が世界中に届いたことは、NHKのすべてのスタッフが一つになった結果だと思う。

(NEWSLINEキャスター ジーン大谷)

復興や原発の動きを
伝え続ける

迅速で正確な報道は高い評価

海外からも高い評価

2011年9月、テレビ番組のインターネット配信に貢献した放送局などに贈られる国際的な賞「Connected World TV Awards」の最優秀賞を受賞 2011年9月、テレビ番組のインターネット配信に貢献した放送局などに贈られる国際的な賞「Connected World TV Awards」の最優秀賞を受賞

2011年9月、テレビ番組のインターネット配信に貢献した放送局などに贈られる国際的な賞「Connected World TV Awards」の最優秀賞を受賞

海外ではイギリスBBCやアメリカCNNなど、2,000を超える放送局がNHKワールドTVの映像を利用、または直接放送し、NHKの的確な取材と正確な報道が評価された。

NHKの震災・原発事故関連の報道に対して、2011年4月には、アメリカ・ハワイ州議会から感謝状が贈られたほか、5月のアメリカ公共放送サービス(PBS)の年次総会で、特別賞が贈られた。

NHKの震災報道と海外の視聴者への影響について2011年4月に緊急調査を行った。その結果、アメリカ・ワシントンDCなどでチャンネルの認知度が大幅に上昇した。

9月には、テレビ番組のインターネット配信に貢献した放送局などに贈られる国際的な賞「Connected World TV Awards」の最優秀賞を獲得した。

復興や原発の動きを伝え続ける

NHKワールドでは、被災地の復興に向けた現状や原発問題の動きを世界に伝え続けている。NHKワールドTVでは、震災から半年後の2011年9月に「NEWSLINE」の拡大版や震災関連の「NHKスペシャル」などを集中的に放送した。その後も、「NEWSLINE」で継続的に伝え、震災関連のNHKスペシャルを年末に集中編成、世界的ジャズピアニスト、ボブ・ジェームスさんが被災地で地元ミュージシャンと共演する「JAZZ for JAPAN」を放送した。

ラジオ日本でも、被災地へのメッセージを俳句の形で世界に募る特別番組「Haiku for KIBO~日本へ、言葉の力を~」を年末に放送、59の国と地域から1,100を超える俳句が寄せられた。

震災報道を振り返って

東日本大震災が発生し、体を激しく揺さぶる横揺れが続く中、地上波が流すヘリ中継の映像を見て大谷キャスターにしゃべり続けてもらうことから始まった。

報道局の原稿をもとにしたニュースと官房長官会見を同時通訳で流すことを柱に24時間放送を続けた。その後、地上波で放送されるリポートやドキュメントを同時通訳者をおいて、間をおかずに放送した。CNNやBBCにもNHKのクレジット付きで使用してよいとしたため、NHKの取材力が結集したリポートや被災者の声は、こうした海外メディアを通じても海外に発信された。

発生から1か月にあわせ、陸前高田の被災地から中継。また、被災地の現状をソーシャルメディアで発信する外国人の企画や福島第一原発で働く作業員にインタビューなど独自取材の発信にもつとめた。

震災から3か月後、仙台局にミニスタジオを設け、毎週東京と結んで最新情報を伝えるとともに、報道局科学文化部と連携し、「Nuclear Watch」というコーナーを立ち上げ、毎週、原発の今を伝え続けた。

(ラジオセンターCP・西垣幸児)(当時・ニュース制作部で震災報道にあたる)