学校に通うQ&A
不就学児ゼロを目指して
①外国人の子どもの不就学・実態は?
日本で生活している外国人のうち、小学校や中学校などに一度も通っていない「不就学(※)」のおそれがある子どもたち」が、日本中で数千人いることが国の調査で分かりました。NHKは、こうした子どもたちが学校に入るために必要な情報を、日本で生活している外国人のみなさんにQ&A形式で伝えていきます。
1回目のきょうのテーマは「日本で生活している外国人の子どもが学校に行かない現状はどうなっているのか」です。
国によると、2022年5月に住民基本台帳(※)に名前がある外国人の子ども13万6923人のうち、学校に通っていなかったり、就学(※)状況がわからなかったりした子どもは8183人でした。文部科学省は「国としても子どもたちが勉強できていないことを重く受け止めています。日本では外国人の子どもも無料で学校に行くことができますが、保護者が気づいていないケースも多いです」と話しています。
次の回は外国人が学校に入ることについて、日本政府の基本的な考え方について伝えます。
これは2023年8月30日時点の情報です。
語彙の補足説明:
不就学児 : 小学校や中学校に一度も行ったことがない子ども。
不就学 : 小学校や中学校に入って勉強する年齢なのに、一度も学校に行っていないこと。
住民基本台帳 : BasicResident Register
就学 : 小学校や中学校に入って勉強をすること。
②外国人の子どもも学校に通うことができるの?
日本に住んでいる外国人のうち、小学校や中学校に通っていない「不就学(※)」のおそれがある子どもが8千人以上いることが国の調査で分かりました。NHKは、子どもたちが学校に入るために必要な情報をいろいろな国のことばで伝えています。きょうは「外国人の子どもを学校に入れることについての日本政府の考え方」についてです。
文部科学省(※)は「外国人の子どもも、公立の小学校や中学校に入りたい場合は、日本人の子どもと同じように無料で受け入れています。日本人と同じ教育を受けることができるようにしています」と話しています。
日本国憲法は、すべての国民に「保護する子どもに教育を受けさせる義務」があると決めています。しかし、文部科学省は「外国人の親は国民ではないので、子どもを学校に入れる義務はありません」と話しています。そのため、外国人の子どもの不就学の問題を研究している研究者は「保護者が学校に入れるための手続きをしない限り、外国人の子どもは就学できない」と心配しています。
次の回は、日本の学校に通うために、どの役所でどんな手続きをすればいいかについて、詳しく伝えます。
これは2023年8月31日時点の情報です。
語彙の補足説明:
不就学 : 小学校や中学校に入って勉強する年齢なのに、一度も学校に行っていないこと。
文部科学省 : Ministry of Education
③就学手続きはどうすればいいの?
日本に住んでいる外国人のうち、小学校や中学校に通っていない「不就学(※)」のおそれがある子どもが8千人以上いることが国の調査で分かりました。NHKは、子どもたちが学校に入るために必要な情報をいろいろな国のことばで伝えています。きょうは「学校に入りたい場合、どこで手続きをすればいいですか?」についてです。
まず、今住んでいる市町村の住民基本台帳(※)に名前がある外国人の場合です。文部科学省(※)は、日本中の教育委員会(※)に、外国人の保護者に公立の義務教育学校に就学(※)するための案内を知らせるように言っています。たとえば千葉市では、外国人の家庭に9月に「入学申請書」という書類を送っています。千葉市に住所がある保護者は、この書類の「就学を希望する」の欄にチェックを入れて書類を返送します。すると、1月に「入学通知書」が届きます。
そして、住民基本台帳に名前がない場合です。その場合、子どもを学校に行かせたい保護者が、住んでいる市や町の教育委員会に就学の希望があることを伝えたら、子どもは学校に行くことができるようになります。住んでいる所がある市区町村役場に「転入届」という書類を出して、「子どもを学校に入学させたいので、手続きをお願いします」と伝えてください。また転入届を出すことができない場合も、相談してください」と教育委員会の人は話しています。例えば東京都渋谷区の教育委員会は「学校に行きたい場合、本来転入届けを出してもらいたいですが、賃貸契約書など住んでいる人が住んでいることが証明できる書類があれば手続きを進めることができます」と話しています。
次の回は「日本にいる資格がない場合は?」です。
これは2023年9月1日時点の情報です。
語彙の補足説明:
不就学 : 小学校や中学校に入って勉強する年齢なのに、一度も学校に行っていないこと。
住民基本台帳 : BasicResident Register
文部科学省 : Ministry of Education
教育委員会 : Board of Education
就学 : 小学校や中学校に入って勉強をすること。
④在留資格がない場合・その1
日本で暮らす外国人のうち、小学校や中学校に通うことができない「不就学(※)」のおそれがある子どもが8千人以上いることが国の調査で分かりました。NHKは、子どもたちが学校に入るために必要な情報をいろいろな国のことばで伝えています。きょうは「日本にいる資格がない人は就学できないの?」です。
いいえ、日本にいる資格がなくても入学することができます。
日本政府は2011年の国会で、「日本にいる資格がない外国人の子どもでも、学校に通いたい場合には無料で日本の学校に行くことができる」と伝えました。川崎市の教育委員会(※)など、多くの教育委員会が「在留資格の有無(※)にかかわらず、すべての子どもが学校に通うことができる」とWebサイトなどに書いています。
文部科学省(※)は2006年に都道府県の教育委員会などに出した通知の中で、「外国人の子どもの就学手続きで、住んでいる場所を確認する必要がある場合、「外国人登録証明書(※)」がなくても、ほかの書類を使うなど、柔軟に対応すること」と書いてあります。このため、いろいろな教育委員会では、日本にいる資格が証明できない子どもでも、「賃貸契約書(※)」など住んでいることが確認できる書類があれば、就学手続きをしています。
次の回は、日本にいる資格がない外国人の場合の教育委員会の対応について、もっと詳しく説明します。
これは2023年9月4日時点の情報です。
語彙の補足説明:
不就学 : 小学校や中学校に入って勉強しなければいけない年齢なのに、一度も学校に行っていないこと。
教育委員会 : schoolboard
在留資格の有無 : 日本に住むための「在留資格」(resident status)を持っているかどうか。
文部科学省 : Ministry of Education
外国人登録証明書 : いまの「在留カード(residence card)」のこと。
賃貸契約書 : 部屋を借りるための契約書。
⑤在留資格がない場合・その2
日本で生活している外国人のうち、小学校や中学校に通うことができない「不就学(※)」のおそれがある子どもが8千人以上いることが国の調査で分かりました。NHKは、子どもたちが学校に入るために必要な情報をいろいろな国のことばで伝えています。
きょうは「もし、在留資格(※)がないことがわかった場合、教育委員会(※)の人は入国管理局(入管)(※)に連絡しますか?」についてです。
いいえ。教育委員会の人は、子どもたちが学校に行くことができるようにするため、「連絡しない」と決めることができます。
公務員は入国管理法に違反している人を見つけたら、入国管理局へ連絡しなければなりません。でも、教育委員会の公務員は、連絡をしたら自分が任された仕事の目的が達成できないときなどは、連絡をするかどうかをその公務員が決めることができます。
文部科学省(※)は「教育委員会の担当者のいちばん大事な目的は、学校に行きたい外国人の子を通えるようにすることです。入管に連絡すればその目的が達成できなくなるときは、連絡しないと決めることもできます」と説明しています。
次の回は「小学校に入るときの学年はどうなる?」についてです。
これは2023年9月5日時点の情報です。
語彙の補足説明:
不就学 : 小学校や中学校に入って勉強しなければいけない年齢なのに、いちども学校に行っていないこと。
教育委員会 : schoolboard
在留資格 : 日本に住むための資格。 resident status
入国管理局(入管) : ImmigrationOffice
文部科学省 : Ministry of Education