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国債発行額と財政の課題

少子化対策や脱炭素といった山積する課題への対応も重なり予算は膨張の一途をたどっています。ただ歳出をまかなうための財源は、心もとない状況です。本来ならば、財源を確保するためどこに負担を求めるのか徹底した議論が欠かせませんが、高まる歳出圧力を国債だのみでしのぐ状況が続いています。将来にわたって信認を失わないためにも財政規律が一層問われることになります。


国債発行残高

今回の予算は、一般会計の規模が当初予算として初めて110兆円を超え、過去最大となった結果、税収だけでは歳出を賄えず、借金に大きく頼る財政運営が続く形となっています。

新たな借金にあたる新規の国債発行額は、35兆6230億円となります。コロナ禍から景気が回復しつつあることで過去最大の税収を見込んでいるため、2022年度の当初予算よりも1兆3030億円減りました。

歳入全体に占める国債の割合、いわゆる公債依存度は31.1%と3割を超えて、依然として国債頼みの状況が続きます。

このうち、公共事業などに使いみちを限る「建設国債」は6兆5580億円。2022年度の当初予算より3070億円増えました。

従来の方針を改めて、防衛費の一部を建設国債の対象とし、2023年度は4343億円を充てるため、増額となりました。

一方、歳入不足を補うための「赤字国債」は2022年度より1兆6100億円少ない29兆650億円となっています。

国債の発行残高は、2023年度末には1068兆円となる見通しです。

財政の課題

政策に必要な費用を借金に頼らず、税収などでどれだけ賄えているかを示す「基礎的財政収支」は、一般会計で10兆7613億円の赤字となります。

政府は国と地方を合わせた基礎的財政収支を2025年度に黒字化する目標を掲げていますが、歳出拡大が続く中で黒字化を達成する道のりは依然として険しい状況です。

目標達成に向けては、引き続き経済成長による歳入の増加に加えて、不必要な歳出を削減することが不可欠となります。

岸田政権が防衛費の増額に加えて、子育て関連予算の倍増や脱炭素関連の投資拡大といった目標を掲げるなど歳出の膨張圧力が強まる中、歳出の項目を見直して削減につながる改革を進めることが求められます。