一般会計総額

1066097億円

詳しい中身は

歳出

国の2021年度予算案は、一般会計の総額が106兆6097億円と、2020年度の当初予算を3兆9517億円上回って過去最大となり、3年連続で100兆円を上回ります。歳出が大幅に膨らんだ背景には、高齢化に伴って「社会保障費」が2020年度より1507億円増えて過去最大の35兆8421億円となったことや「防衛費」が2020年度より610億円増えてやはり過去最大の5兆3235億円に上ったこと、それに新型コロナウイルスへの対応として、国会の承認を得ずに機動的に使いみちを決められる「予備費」として5兆円を計上したことなどがあります。

歳入

歳入では、税収が、新型コロナの影響による企業業績の悪化などを見込んで2020年度の当初予算より6兆650億円少ない57兆4480億円としています。また、新規の国債の発行額は、歳入不足を補うための赤字国債が37兆2560億円、建設国債が6兆3410億円の合わせて43兆5970億円に上り、2020年度の当初予算の段階から11兆408億円増えています。当初予算どうしの比較で、新規の国債発行額が前の年度を上回るのは11年ぶりで、歳入全体に占める国債の割合は40.9%となります。

社会保障費

全体の3分の1を占め、2020年度の当初予算より1507億円増えて過去最大の35兆8421億円となりました。

防衛費

2020年度より610億円増えて過去最大の5兆3235億円となりました。

公共事業費

2020年度より26億円増えて6兆695億円となりました。

文化、教育、科学技術関連予算

2020年度より57億円増えて5兆3969億円となりました。

地方交付税

2020年度より1396億円増えて15兆9489億円となりました。

国債費

過去に発行した国債の償還や利払いに充てる「国債費」は、4072億円増えて過去最大の23兆7588億円となっています。

予備費

新型コロナウイルスへの対応のため、国会の承認を得ずに機動的に使いみちを決められる「予備費」として5兆円が盛り込まれています。

この結果、「社会保障費」と「地方交付税」それに「国債費」の3つの経費で歳出全体のおよそ70%を占めることになり、このほかの政策に自由に使える余地が小さい「財政の硬直化」と呼ばれる状況が続いています。

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新型コロナ関連

2021年度予算案に盛り込まれた新型コロナウイルス関連の主な事業です。

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感染拡大防止

国立感染症研究所の職員を増員するための費用などとして9億円、各地の保健所の体制がひっ迫していることを受けて、感染症対策を専門で担当する保健師を現在の1800人から1.5倍の2700人に増やせるようにするための経費として、20億円が計上されました。

保健所の危機管理体制を強化するため、結婚や出産などで働いていないいわゆる「潜在保健師」を登録する「人材バンク」を創設し、自治体間の応援を支援する費用などとして5億円が盛り込まれました。

企業・雇用などの支援

経営が厳しい航空会社を支援するため、予算と税の両面から支援し、1200億円規模の負担軽減を図ります。具体的には、航空会社が支払う空港使用料は羽田空港など国が管理する空港では、国内線を対象に、90%減額するとともに、国内線の燃料税は現在の半分に減額します。

また、輸入に頼っていた物資の不足が顕在化したことから、人工呼吸器や人工透析装置といった機器を国内で開発・製造するための補助金などとして65億円が計上されました。

観光客が大幅に減少した国立公園の利用を促すため、ワーケーションの推進などを行う費用として、159億円が計上されました。

また、都市部から地方への移住などを促すため、農村や漁村の情報通信環境を整備する費用などとして、98億円が盛り込まれました。

一方、雇用調整助成金の上限額を引き上げる特例措置を延長する費用などとして、特別会計も含めて6240億円が盛り込まれています。

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暮らしに
身近な予算

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介護報酬

2021年4月に改定される介護報酬について、新型コロナ対策の費用として0.05%を臨時に上乗せしたうえで全体で0.7%のプラス改定を行うため、196億円が計上されました。

薬価

国が定める薬の価格については、2021年度の改定で引き下げる品目を全体のおよそ7割とする一方、新型コロナの感染拡大の影響を勘案し、引き下げ幅を一定程度緩和して年間4315億円、国費ベースでは1001億円削減します。

待機児童

待機児童の解消に向けて、保育所の運営費用を盛り込んだ「新子育て安心プラン」を実施する費用に111億円が計上されました。

少人数学級

少人数学級の実現に向けて、公立の小学校の1クラスの定員を2021年度から5年かけて35人以下に引き下げる第1段階として、2021年度、小学2年生の教員を増やすための費用として3億円を上積みするなど、1兆5164億円の義務教育費国庫負担金を計上しました。

その他

石油を原料とするプラスチックを減らすため、植物を原料にした代替素材の生産や高度なリサイクル設備の導入を支援する費用として43億円が計上されました。

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政権が掲げる
重点施策

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デジタル改革

国の情報システムを標準化していくための費用として合わせて2986億円が計上されました。

また、小・中学校で1人1台、パソコンなどの端末を配備するのに伴って、小学校5年生と6年生、それに中学生を対象に、デジタル教科書を配布する費用として20億円が盛り込まれました。

このほか、農業分野でロボットやAIを活用するスマート農業の普及、それに最新の農機具やサービスの開発・導入を支援する事業として13億円が計上されました。

2022年度末までにほぼすべての国民にマイナンバーカードが行き渡るようにする目標の実現に向けて、カードの交付を担当する市区町村の体制整備を支援する経費などとして1001億円が計上されました。

地域社会のデジタル化を2021年度からの2年間で集中的に推進するため、デジタル人材の育成など、自治体が行う取り組みに対して財政支援する経費として、2000億円が計上されました。

スーパーコンピューターよりもはるかに高い計算能力を持つ「量子コンピューター」でも絶対に解読することができない次世代の暗号技術「量子暗号通信」の実現に向けて、研究開発を進めるため、2020年度予算のおよそ2倍にあたる34億円が計上されました。

脱炭素社会の実現

2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「脱炭素社会」の実現に向けた事業です。

地域での排出削減に向けた計画づくりや再生可能エネルギーの導入などを支援する費用として204億円が計上されました。

また、技術開発などを後押しする予算として、将来の主力電源の1つと位置づける洋上風力発電に82億円、水素の活用に66億円、自動車の電動化のカギを握る蓄電池には23億円が、盛り込まれました。

不妊治療

不妊治療についての予算も盛り込まれています。

妊娠しても流産や死産を繰り返す「不育症」の検査のほか、若い世代のがん患者が将来子どもを授かる可能性を残すため、卵子や精子、受精卵の凍結保存などの治療にかかる費用負担を軽減するため、23億円が計上されました。

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その他の主な予算

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防衛省

配備を断念した新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の代替策として、新型のイージス艦2隻の建造に向けた設計などの費用として17億円が計上されました。

また、航空自衛隊のF2戦闘機の後継となる次期戦闘機の開発関連経費576億円が盛り込まれました。

このほか、在日アメリカ軍の駐留経費について、日米交渉の年内の妥結が見送られるなか、暫定的に2020年度と同水準の2017億円を計上しました。

国土交通省

防災や減災、国土強じん化を進めるための費用として3兆7591億円を盛り込みました。このうち、相次ぐ豪雨災害などを受けて、河川の治水対策を行う費用として3000億円を計上しています。

また、開業が予定より1年程度遅れることになった北陸新幹線と、北海道、九州の3つの整備新幹線の事業費に、国の負担として804億円を盛り込んでいます。

環境省

原発事故から10年となる福島県で、再生可能エネルギーや最先端の廃棄物処理技術などを導入して復興のまちづくりを支援するため5億円が計上されました。

農林水産省

外食用のコメの需要が減り、『コメ余り』が深刻化していることを受けて、主食用のコメから、飼料用のコメや野菜などへの転作を促す交付金事業に3050億円が盛り込まれています。

また、農林水産物や食品の輸出額を2030年までに5兆円に引き上げるという目標の達成に向けて、販路開拓や産地育成の費用として99億円が計上されました。

文部科学省

博士号の取得者を増やすため、大学の博士後期課程で学ぶ学生に生活費や研究費を支援する事業のため23億円が盛り込まれています。

経済産業省

中小企業の事業継承や再編を後押しするため、事業を引き継いだ経営者が新たに設備投資や販路開拓を行った場合、それに、専門家を活用した場合の費用を補助する事業に16億円が計上されました。

復興庁

東京電力福島第一原子力発電所で増え続けているトリチウムなどの放射性物質を含む水の処分などをめぐり、風評被害の払拭(ふっしょく)に向けて、情報発信を強化するための費用として2020年度の当初予算の4倍の20億円が計上されました。

警察庁

2021年に開催が予定されている東京オリンピック・パラリンピックの警備体制の充実や、テロの未然防止を図るための警戒警備に必要な費用、223億円が計上されました。

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国債発行残高

9903000億円

普通国債の残高は2021年度末の時点で過去最高を更新する見通しです。

詳しい中身は

新たな借金にあたる新規の国債発行額は、43兆5970億円と、2020年度の当初予算の段階より11兆408億円増加しています。当初予算の段階で、新規の国債発行額が前の年度を上回るのは11年ぶりのことで、借金に依存する苦しい財政運営を反映しています。

このうち、公共事業などに使いみちが限られている「建設国債」は、6兆3410億円で、2020年度の当初より7690億円減る一方、歳入不足を補うための「赤字国債」は37兆2560億円で11兆8098億円増える計画です。

この結果、歳入全体に占める国債の割合は40.9%と、2020年度の当初予算の31.7%から、一気に9ポイント増加しています。

また、過去に発行し、満期を迎えた国債の償還費用を調達するための「借換債」は147兆1929億円で、2020年度の当初予算より39兆2111億円増加しています。これは2020年度、新型コロナウイルスへの対応のために、短期国債を増発し、その償還の時期を迎えるためです。

これらを合計した2021年度の国債発行総額は236兆82億円となり、当初計画としては2020年度を82兆5461億円上回って過去最大となります。普通国債の残高は2021年度末の時点で990兆3000億円と過去最高を更新する見通しで、膨張の一途をたどっています。

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税収 「ワニの口」は?

574480億円

これは、2020年度の当初予算で見積もった63兆5130億円と比べて6兆円余り減っています。ただ、2020年度の税収は、新型コロナウイルスの感染拡大による企業業績の悪化で法人税の税収が大幅に減ることなどを反映して当初の見積もりを下方修正し、55兆1250億円と見込んでいます。

これと比較すると、2021年度の税収は、政府の経済対策によって景気が回復することなどを見込んで2兆3000億円余り増える見積もりとなっています。

2020年度の最新の見通しと比較してみると、消費税は1兆110億円、法人税は9560億円、所得税は1710億円、それぞれ増加することを見込んでいます。このうち、最も税収が多いのは消費税で20兆2840億円を見込んでいます。

ただ、新型コロナウイルスの収束の見通しが立たない中、企業業績や個人消費、それに伴う税収がどこまで回復するかは不透明さも残っています。

「ワニの口」財政状況 厳しさ増す

これは「ワニの口」とも呼ばれる国の財政状況を示すグラフです。

上側の折れ線は「歳出」、下側の折れ線は「税収」で、2本の線の間隔が開くほど財政状況が厳しいことを示します。

1990年ごろまでは2本の線が平行する形で増加していました。

しかし、90年代以降「歳出」は増加して高止まりする一方、「税収」は低迷した結果、2本の線の間隔はワニの口のように開いていきました。

さらに、今年度は新型コロナウイルスへの対応で3度にわたる補正予算案を編成した結果、歳出は175兆円余りに膨らむ見通しになり、線の間隔が一気に開いてしまいました。

来年度は21日に決定された当初予算案の時点で歳出は過去最大の106兆円余りに上り、今年度ほどではないものの、ワニの口は大きく開いています。

今後の新型コロナウイルスの感染状況や景気動向によっては、歳出が膨らんだり税収が落ち込んだりして、ワニの口がさらに開くことも懸念されます。

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将来世代への負担も

かつてない規模に膨れ上がった2021年度予算案。深刻化する新型コロナウイルスへの対応でひっ迫する医療体制や打撃を受ける事業者を支える政策が幅広く盛り込まれました。

その一方で、最大の課題である社会保障費の増加には依然として歯止めがかからず、財政は悪化の一途をたどっています。

いわゆる「団塊の世代」がこれから75歳を超えていくなか今のままでは医療・年金・介護費などが急激に増加し、現役世代にとどまらず将来世代にも負担が重くのしかかっていくことになります。

新型コロナへの危機対応を果断に進めつつ経済を早期に成長軌道に戻し、財政の持続可能性をいかに保っていくのか。避けては通れない課題が山積しています。