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えっ、ネットでカードが使えないっっ!?
カード会社から、1通のはがきが届きました。そこには、驚きの文言が。
「○○の場合、ネットショッピングができなくなることがあります」
毎日のようにネットで買い物をしているヘビーユーザーの私。カードが使えないと、困ったことになります。
デジタルでだまされないために、面倒に思いがちなある手続きが必要なようです。
○○の場合、調べてみました。
(デジタルでだまされない取材班 / 真方健太朗)
ネットショッピングができなくなる?
クレジットカード会社から届いたはがき。
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最初から正解を言ってしまうと、○○は、「本人認証を登録しない」場合です。
「本人認証」とは何なのか。
これまで、ネットショッピングの際には、私たち利用者が「カード番号」やカードの裏の「セキュリティコード」を入力することで決済していました。
追加の手続きとして必要になるのが「本人認証」です。カードの不正決済が増えていることから、経済産業省がことし1月にまとめた対策で、2025年度からカード会社やネットショップの事業者に導入が義務づけられました。
本人認証 方法は
では、私たちはどうすればいいのか。
検討されているものの一つが、一定期間のみ有効なパスワードが発行される「ワンタイムパスワード」です。
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ネットショッピングで、決済を進めると上の図のようにあらかじめ登録したメールアドレスや携帯電話のショートメッセージにワンタイムパスワードが送られ、これを入力することで決済が完了します。
ワンタイムパスワードは、メールを受け取れる本人しか知り得ないうえ、決済のたびに別のパスワードが発行されるため安全性が高まるというわけです。このほか、事前に登録した指紋や顔を照合する「生体認証」も検討されています。
とはいっても、ネットショッピングのたびに「本人認証」を追加で行うのは面倒くさい。
こう思う方も多いと思います。
そこで、導入が進められている認証サービスの中には、利用客の手間をなるべく少なくする工夫がされているものもあります。「EMV3DS」と呼ばれる認証サービスは、ふだん利用しないサイトで購入する場合や違う端末からアクセスする場合など、通常とは異なる購買行動の時にだけ「本人認証」を求める仕組みです。
経済産業省によりますと、「本人認証」を先行して導入したEUでは、カードの不正利用の割合が、2020年7月から2021年4月の間でおよそ50%減少したということです。
本人認証 登録してみた
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でも、やっぱりめんどくさいのでは?
登録の手続き、私もやってみました。
案内にしたがって、カードのパスワードとは別の登録のための新たなパスワードを設定します。そして、カードのセキュリティコードを入力、実際にスマホに「ワンタイムパスワード」が送られるかを確認しました。
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かかった時間は5分程度。特に迷うこともなく、簡単な手続きでした。カード会社によって異なりますが、手続きはネットで済むところが多いようです。
この「本人認証」。大手以外では、これから導入する事業者も多いとみられ、カード会社からの案内を見落とさないことが重要です。
カード会社の担当者
「本人認証サービスは、カードの不正利用を防ぐ有効な手段の1つです。義務化を待たず、サービスの利用を呼びかけていきたい」
過去最悪の不正利用 被害防ぐには
本人認証の導入が義務づけられるようになった背景にあるクレジットカードの不正利用。
被害額は、おととしが330億円余りで21年ぶりに過去最悪を更新しました。去年は9月までに300億円を超え、年間では400億円に到達する勢いです。
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不正の手口も高度化しています。特に被害が目立つのが、偽のメールやウェブサイトでカードの番号などを盗み取り、他人になりすます「フィッシング詐欺」です。
ネットショッピングでは、偽サイトや偽メールに十分注意し、安易に個人情報を入力しないことが大切です。また、カードの利用明細をこまめに確認し、身に覚えのない利用はカード会社にすぐに連絡することも大事です。
「本人認証」装う手口には注意必要
コロナ禍でネットショッピングの利用が増えるなか、不正利用の被害にあうおそれは格段に高まっています。そして、この「本人認証」の登録の手続きの案内を装って個人情報を盗み取る手口もすでに報告されているということで、注意が必要です。
少しでも手続きに不審な点を感じたらカード会社に連絡してください。本人認証が義務化されるまでの過渡期の今、基本的な対策を徹底することが重要です。
実は私も…
ここまで書き進めて、はたと思い出しました。
この本人認証に関するメール、ずっと前にも、届いていたような気がしたのです。
メールの履歴を調べてみると、1年以上前のおととし8月、確かに届いていました。
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「ネットショッピングを安全に行うための追加認証」
「『なりすまし』などの不正使用を未然に防止」
はっきりと、思い出しました。白状します。
このときは、手続きが面倒そう、あとでやればいいやと放置していました。
結局、身を守るのは自分なのだという自戒の念を込め、皆さんにも気をつけてほしいと思います。