風疹の最新ニュース

風疹の最新ニュース

風疹対策にもコロナの影響 抗体検査の目標を1年延長へ 厚労省 2020年07月01日

新型コロナウイルスは風疹対策にも影響を及ぼしています。企業の定期健診が延期されるなどして、風疹の抗体検査を受ける人数が伸び悩んでいることから、厚生労働省は今月までに抗体検査を480万人に実施するという目標を、1年延長することになりました。今後、企業への支援策などを検討することにしています。

風疹はウイルスによって引き起こされる感染症で、妊婦が感染すると生まれてくる子どもの心臓や目、耳などに障害が出るおそれがあります。

去年の感染者は2306人に上り、厚生労働省は定期接種を受ける機会がなかった41歳から58歳までの男性について、無料のクーポン券を配布するなどして抗体検査やワクチン接種を促してきました。

さらに、今年1月からは追加の対策として経団連に加盟する約1400の大企業などに対し定期健診の機会に抗体検査を行うよう要請し、今月までに480万人に抗体検査を実施するという目標を掲げてきました。

しかし、新型コロナウイルスの影響で健診の延期が相次ぐなどして、ことし3月までに抗体検査を受けたのは143万人にとどまっています。

厚生労働省は、抗体検査や予防接種の実施をこれまでどおりに進めることは難しいとして、抗体検査の実施目標の期限を1年延長することを決めました。

そのうえで、新型コロナウイルスの感染防止を徹底しながら風疹対策も進めてほしいとして、定期健診が再開されたときに多くの企業で抗体検査を実施してもらうための支援策などを検討することにしています。

抗体検査の無料クーポン 利用は21.2%

現在、41歳から58歳までの男性は、子どものころ風疹のワクチンを接種する機会がなかっため免疫が十分にない人が多いことから、原則、無料で免疫があるかどうかを調べる抗体検査や、ワクチンの接種を受けることができます。

無料で受けるために必要なクーポンが順次、配布されていて、自治体から自宅に届き、指定の医療機関で検査を受けることができます。また、クーポンがまだ届いていない場合などでも自治体に問い合わせてクーポンを送ってもらえれば、検査を受けることができます。

検査は血液を採取するだけの簡単なもので、検査の結果、免疫がないと分かった人は無料でワクチンの接種を受けることができます。

検査やワクチン接種を行っている医療機関は、厚生労働省のウェブサイトで確認でき、住んでいる自治体以外の医療機関でも利用できます。

しかし、クーポンの配布は昨年度から始まっているものの、厚生労働省によりますと、ことし4月までに抗体検査を受けた人は21.2%にとどまっているということです。

風疹に対して免疫がない女性が妊娠中に感染すると、先天性風疹症候群という障害が生まれてくる赤ちゃんの目や耳、心臓などに出るおそれがあります。

風疹は感染力が強い一方、ワクチンを接種すれば周囲に感染を広げることが防げることから、厚生労働省はクーポンの積極的な利用を呼びかけています。

企業アンケート 抗体検査「実施していない」48%

風疹の対策を進めるためには、定期接種を受ける機会がなかった現在、41歳から58歳までの男性に、抗体検査やワクチン接種を受けてもらうことが必要だとされています。

厚生労働省は、経団連に加盟する約1400の大企業や大規模事業場に対して、定期健診の際に抗体検査を実施することや、企業内に風疹対策を進める担当者を設置することを要請しています。

この要請に合わせて厚生労働省はことし2月、風疹対策の必要性についてどのように認識しているかや、今後の対応の意向を聞き取るため、アンケート調査を実施しました。

調査は、全国にある従業員が1000人以上の大企業や大規模事業場、合わせて1596か所に対して行われ、このうち450か所から回答を得ました。

それによりますと、従業員に対する風疹の抗体検査については、
▽「実施していない」という回答が48%と最も多く、
▽「一部の職員のみだが実施している」が35%、
▽「すでに大半の職員に実施している」が17%でした。

一方で、風疹担当の責任者と産業医にそれぞれ尋ねたところ、担当責任者の52%、産業医の59%が「従業員に対する風疹対策は直ちに実施する必要がある」と回答しています。

風疹対策を行うために必要な条件について尋ねると、担当責任者は「抗体検査の費用の企業負担がないこと」、産業医は「事業主が対策を必要と考えていること」という回答がそれぞれ最も多かったということです。

ニュース一覧