風疹の最新ニュース

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風疹舞台上演し予防接種クーポン利用啓発へ 2022年09月08日

妊娠中に感染するとお腹にいる赤ちゃんの目や耳、心臓などに障害が出る恐れがある「風疹」について、改めて知ってもらい、中高年の世代に予防接種を呼びかけるため、患者会が演劇を上演することになり、開催地である千葉市に啓発への協力を求めました。


協力を求めたのは、妊娠中に風疹にかかった親などでつくる「風疹をなくそうの会」のメンバーや小児科医などです。
風疹の流行を繰り返さないため、国は、子どものころ予防接種を受ける機会がなく、これまで流行の中心となってきた1962年4月2日から1979年4月1日までに生まれた男性を対象に無料で抗体検査やワクチン接種を受けられるクーポンを配布してきました。

しかし新型コロナの影響もあってクーポンの利用が進まず、昨年度末としていた期限を3年延長しました。

そこで患者会では、改めて、風疹のワクチン接種の重要性について知ってほしいと、かつて、沖縄で風疹が大流行した影響で、難聴などになった高校生たちを描いた舞台をことし12月、千葉市で上演することになりました。

メンバーらは、9月8日、千葉市の神谷俊一市長のもとを訪れ、対象となる中高年の世代にクーポンを利用してもらえるよう企業への呼びかけを強化することや市の対象職員への対策の徹底などを求めました。
神谷市長は「私自身も検査をして抗体があることを確認しているが自分には関係ないと思っている人もいると思う。自分ごととしてとらえてもらえるよう働きかけをしていきたい」と述べました。
その上で舞台の上演についても千葉市が共催として関わり、啓発に協力していく考えを明らかにしました。

「風疹をなくそうの会」の共同代表で、風疹による障害の影響で18歳だった娘を亡くした可児佳代さんは「娘や孫の世代、その下の世代まで、同じ被害が出ないよう、風疹をなくしたい」と話しました。
また三女の妊娠中に風疹にかかった大畑茂子さんは、医師から中絶をすすめられた経験を振り返り「どれだけの命が風疹でなかったことにされているか思いをはせてほしい。
なくすことのできる疾患だと思うので協力してほしい」と訴えました。

上演される舞台「はる※かなる甲子園」

東京オリンピックが開かれた1964年、沖縄で大流行した風疹によって難聴などの障害が出た高校生たちが困難を乗り越えて甲子園を目指した実話に基づく舞台です。
当時、妊娠中の女性も相次いで風疹に感染し、その結果、沖縄では、400人を超える子どもたちが耳や心臓などに障害を負って生まれました。
舞台では、高校生たちが、音が聞こえないながらも必死にボールを追いかける姿や、自分が風疹に感染したことで息子の耳が聞こえなくなったことに苦しむ母親の姿などが描かれています。
患者会では舞台を通じて1人でも多くの人に風疹とその被害について知ってもらいたいと、インターネット上のクラウドファンディングで資金を募りましたが、引き続き協力を呼びかけています。
舞台は、12月11日に「千葉市生涯学習センター」で午後1時から上演される予定で、入場は無料となっています。
※遥の異体字で「謡」のつくりに点1つのしんにょう※