風疹の最新ニュース

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ことしの風疹患者 2000人超える 2018年11月20日

風疹の患者数は、今月11日までの1週間に新たに139人報告され、ことしこれまでの患者は2032人となりました。患者が2000人を超えたのは風疹が大流行した平成25年以来で、国立感染症研究所は、女性は妊娠の前に2度ワクチンを接種しておくほか、流行の中心となっている30代から50代の男性などにもワクチン接種による感染拡大の防止を呼びかけています。

風疹は、発熱や発疹などの症状が出るウイルス性の感染症で、妊娠中の女性が感染すると生まれてくる赤ちゃんの目や耳、心臓などに障害が起きる「先天性風疹症候群」となるおそれがあります。

国立感染症研究所によりますと、今月11日までの1週間に全国の医療機関から報告された新たな風疹の患者は139人で、10週連続で100人を超えました。
これにより、ことしこれまでの患者は2032人となり、風疹が大流行した平成25年のあとの5年間ではじめて2000人を超えました。

全体の7割余りは首都圏の患者ですが、東海・近畿地方や福岡県など各地で患者が増加しています。
都道府県別では、東京都が前の週から54人増えて716人、千葉県が9人増えて294人、神奈川県が25人増えて275人、埼玉県が11人増えて138人、愛知県が2人増えて97人、大阪府が13人増えて83人、福岡県が15人増えて70人などとなっています。

また、男性の患者が1600人余りと女性の4.5倍になっていて、男性患者全体の8割を30代から50代が占めています。
一方、女性は20代が最も多く、患者は130人に上っています。

国立感染症研究所は、女性は妊娠の前に2度ワクチンを接種しておくほか、流行の中心となっている30代から50代の男性などにも、抗体があるか検査を行ったうえ、ワクチン接種による感染拡大の防止を呼びかけています。

厚生労働相「職場感染多く 対策検討」

根本厚生労働大臣は閣議のあとの記者会見で、「職場で感染するケースも報告されており、30代から50代の男性の患者が多く、事業者側の協力を得ながら対策を進めることが必要だ。従業員が、抗体検査や予防接種のために医療機関の受診を希望した場合には、事業者側が勤務などに配慮するよう、都道府県の労働局などを通じて協力を求めたい。さらなる対策に向けて、感染状況や抗体検査の実施状況、それにワクチンの需給状況などを踏まえて、速やかに検討していきたい」と述べました。

患者の3分の2が30~50代の男性

ことしの患者数が2000人を超えた風疹。

この3分の2を、30代から50代の男性が占めています。

この世代の男性の多くは、ワクチンの定期接種が行われず、免疫が十分でない人が多いためとみられます。

こうした働き盛りの男性が集まる「職場」が、感染を広げる場になっていると指摘されていて、国立感染症研究所の調査でも、感染経路の推定ができたことしの患者340人のうち、ほぼ半数の166人が、感染した可能性がある場所を「職場」と答えています。

こうした中、東京・丸の内のオフィス街にあり、受診する人の9割がサラリーマンの「東京ビジネスクリニック」には先月から、毎日30人ほどが風疹の抗体検査やワクチン接種に訪れているということです。

院長の内藤祥医師は、「これだけ風疹に関する診療が多くなることは、ここ数年ではなかった」と話していました。

内藤医師は、「先天性風疹症候群」の子どもが生まれることを避けるため、妊娠中の女性だけが注意するのではなく、職場にいる男性も感染を広げないよう対策する必要があると指摘しています。

内藤医師は「ワクチンは風疹を防ぐ唯一かつ最も効果のある対策といえるので、多くの人に接種してほしい」と訴えたうえで、仮に風疹に感染してしまった場合について、「感染力が強く、手洗いやマスクでは完全に防ぐことはできないので職場や通勤途中で感染を広げないため、体調がよくなったと思っても、完全に治るまでは医師の指示にしたがって自宅で安静にしてほしい」と呼びかけていました。