風疹の最新ニュース

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繰り返す風疹の流行 母親の苦しみ 2013年06月03日

妊娠初期の女性が風疹に感染すると、50%以上の確率で赤ちゃんに障害が出ると言われています。去年から続く流行で、全国ですでに10人の赤ちゃんが、目や耳、心臓などに障害が出る「先天性風疹症候群」と診断されています。

 

そしてもう1つ懸念されているのが、人工中絶が増えることです。妊娠中に風疹に感染した女性は、産むか産まないかの厳しい選択を迫られます。かつて、その選択を迫られた母親が、今回、私たちの取材に応じて下さいました。

 

 

取材に応じてくれたのは、大阪、守口市に住む、大畑茂子さんと三女の花菜子さんです。

 

 

15年前、大畑さんが妊娠中に風疹にかかったため、花菜子さんは右耳が聞こえにくい「難聴」で産まれました。大畑さんが風疹にかかったのは、妊娠4か月の時でした。

 

 

「おなかの赤ちゃんに障害が出る確率が高い」と告げられた大畑さんは、周りから中絶するよう勧められたといいます。
当時のことについて、大畑さんは、「自分が風疹にかからなければ、かかりさえしなければ、そんなことは言われなかったでしょうし、暗闇に落とされるような、すごく大事な、自分の体の中に宿っている子を、自分の手でなかったことにすることを迫られるというのは、すごくつらかったですね」と話しています。

 

 

大畑さんは、反対を押し切って、花菜子さんを出産しました。耳以外にも障害が出ることが心配されましたが、花菜子さんは順調に成長し、この春、高校に入学しました。

 

 

花菜子さんは、母親から妊娠中の話を聞き、「何回聞いても、自分がここにいれることが当たり前じゃないんだなと思います。産みたいと思ってくれた気持ちが嬉しかったです」と話してくれました。

 

大畑さんは今、拡大する風疹の流行に、心を痛めています。妊婦への感染も相次ぐ中、風疹を理由にした中絶が増えるのではないかと懸念しています。大畑さんは「表面に出てこないというか、堕胎と勧められて、堕胎をして帰るので大流行していると聞こえてきて、正直すごくショックで、私と同じ思いをしている人がまたいると思うだけで、胸が張り裂けそうになります」と言います。

 

 

去年からの流行で、障害が出た赤ちゃんは全国であわせてすでに10人にのぼっています。そうした赤ちゃんの家族を励ましたいと、大畑さんと花菜子さんは、神戸を訪ねました。

 

 

大畑さん親子が訪ねたのは、去年10月に産まれた西村葉七ちゃんの自宅です。葉七ちゃんは、母親の麻依子さんが妊娠中に風疹に感染したため、右耳に障害が出ました。

 

 

麻依子さんは、葉七ちゃんが生まれた直後は、目にも障害があるのではと心配したことや、今抱えている不安について大畑さんに話しました。

 

 

「生まれてみて、目にちょっと濁りがあると言われたんですが、白内障とか緑内障とかでないと言われたし、耳も右だけだと分かったので、ちょっとそこは安心しているんですが、でもこれから出てくるかもしれないと言われているので」と話す麻依子さんに大畑さんは次のように話しました。

 

 

「きっと葉七ちゃんも、うちの子と同じように、『産んでくれてありがとう』と言ってくれる。そんな日が必ず来ます」。

 

 

風疹による苦しみをなくしたい。花菜子さんを産んだときと変わらない現状に、大畑さんは、焦りと憤りを感じています。「15年、何も変わっていないと思うと、残念すぎる。風疹の流行をどうにか止めたいです。風疹が流行しなければ、こんな思いはせずにすむことなので、簡単なことなので」。

 

 

風疹はワクチンで防げる病気です。ただ、妊娠中はワクチンを接種できませんし、今はどこで感染するか分からないほど、流行が広がってしまっています。生まれてくる赤ちゃんを守るためには、多くの人がワクチンを打って、この流行を止めるしかないのです。

 

流行の中心は20代から40代。しかも8割近くが男性で、感染した患者のほとんどはワクチンを打ったことがない人たちです。女性も20代で患者が増えていますので、注意が必要です。「妊娠中の女性が周りにいないから予防接種を受ける気にならない」という人もいるかもしれませんが、自分が感染源となって、赤ちゃんに障害が出てしまうことがありうる、ということを考えて、ぜひワクチンを打ってもらいたいと思います。