風疹の最新ニュース

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風疹の予防接種、1回受ければ大丈夫? 2013年04月07日

妊娠中の女性が感染すると赤ちゃんに障害が出るおそれがある風疹。自分は、子どものころに風疹にかかったり、予防接種を受けたりして、すでに抗体ができているので、絶対に感染はしないと考えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

 

ニュースウォッチ9では、風疹に関するご意見を募集したところ、24歳の女性からメールが寄せられました。女性は「6歳のときに予防接種」をしているにも関わらず、感染していると診断されたと綴っていました。取材を進めると、子どものときに予防接種をしても、抗体が十分でないケースがあることがわかってきました。

 

 

番組にメールを寄せてくれた24歳の女性です。

 

 

先月(3月)29日夜、顔や首に発疹が出始め、翌朝全身に広がりました。

熱もあり、医療機関で受診したところ、風疹と診断されました。

 

 

こどもの頃に、予防接種を受けていなかったのか?女性は古い母子手帳を調べてみました。すると、平成7年、6歳の時に予防接種を受けたという記録が残っていました。

 

 

「予防接種を1回すれば、大丈夫だろうと思っていたので、まさか予防接種を打った上でかかるとは思わなかった」と話しています。

 

 

風疹の予防接種を受けていたのに感染したのは何故なのか。

 

 

考えられる要因の1つが予防接種の回数です。風疹ワクチンの予防接種は現在は1歳のときと小学校入学前の2回、行うことになっています。これに対し、平成2年4月1日以前に生まれた23歳以上の人は、子どもの頃に1回受けるだけでした。

 

 

メールをくれた女性は、1回だけ接種を受けた世代です。専門家によりますと1回の予防接種では、ウイルスに感染するのを防ぐ「抗体」が体の中で十分作られないケースがあるということです。

 

国立感染症研究所感染症情報センターの多屋馨子室長「1回だけの接種では、5%弱ぐらいだと思うんですけど、残念ながら免疫がつかない(抗体が作られない)っていうこともあるんですよ。2回受けていれば、たぶん99点何%ぐらいの割合でいったん抗体を持つんです。なので、いま2回接種が求められています」と話しています。

 

 

さらに、1回の接種の場合、ワクチンによって作られた抗体は、年数が経つことで、減ってしまうことがあります。

 

 

千葉市に住む小児科医師の日野もえ子さんは、現在、妊娠8か月です。日野さんも、1回だけ接種を受けた世代。中学生の頃、女子生徒だけが集められ、予防接種を受けた記憶があるといいます。

 

 

去年、抗体の数値を検査したところ、感染のおそれがあるとされる値になっていました。日野さんは検査結果を見せながら「2008年に測った数字で当時は『32倍』あったんですけど、昨年、妊娠後に測った数字で『16倍』に下がっていたんです」と教えてくれました。

 

 

妊娠中のため予防接種が受けられない日野さん。妊娠初期のころは、不安を抱えながら過ごしたといいます。「本当にいつかかるか、外出のたびにどきどきしないといけないし、私たちの世代は1回しか打ってないので抗体価が下がることは十分あるというのは認識しておいた方が良いと思いますね」と話していました。

 

 

もう一つ、注意が必要なのは、「風疹にかかったことがある」という記憶にたよることです。専門家によりますと、「自分は風疹にかかったことがある」という人も、実際には「はしか」や「リンゴ病」など発疹が出る別の病気だったということがあり、本人や親が勘違いしているケースも少なくないということです。

 

国立感染症研究所の多屋馨子室長は、「風疹と症状だけで診断されると、風疹じゃなかったと言うことも結構あります。自分はかかったから大丈夫、だから予防接種を受けなくてもいいと安心するのではなく、特に妊娠を希望している女性は2回目を受けておかれた方が安心です」と話しています。