風疹の最新ニュース

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風疹で息子が難聴に 母の後悔、そして願い 2013年03月30日

風疹は今、全国的に広がりつつあります。この風疹、深刻な影響はお母さんのおなかの中の赤ちゃんに及びます。妊娠中の女性が感染したことで目や耳、心臓などに障害がある赤ちゃんは去年の10月以降7人を数えています。
誰もが感染者となりうる風疹、女性だけが気をつければよい病気ではありません。

さいたま市に住む30歳の女性です。4か月の息子は、両耳が聞こえにくい難聴で、「先天性風疹症候群」と診断されています。

私たちがこの女性を初めて取材したのは去年の7月。風疹を発症していましたが、この時点では検査の結果を聞いて少し安心していました。当時女性は取材に「羊水検査を受けてウイルスは見つからなかったということなので、ちょっとほっとして出産に臨めます」と話していました。

しかし生まれた子どもには障害がありました。
風疹の予防接種を受けていなかった女性は自分を責め続けています。

実は女性は、上の子の妊娠中の検査で、風疹の抗体がないことを医師から知らされ、出産後にワクチンを打つように勧められていました。
このことについて女性は、「打っておいた方がいいんだなくらいの認識で、風疹になったらどんなことが起きるのかという事実を知らないまま妊娠してしまった。たった1本のワクチンで障害が残らないこともあったので、自分のせいでという気持ちは強い」と言います。

風疹に感染した当時、女性の周囲には、風疹にかかっていた人はおらず、女性は通勤電車のなかで感染したのではないかと考えています。
風疹は、患者のせきやくしゃみを通じて広がります。今年に入ってからの患者数は2000人を超え、どこで感染してもおかしくないほど流行しています。

ではなぜ風疹が大流行しているのでしょうか。その背景にあるのが社会全体の危機感のなさです。街中で話を聞いてみると、流行していることすら知らない人がほとんどでした。
昭和52年にワクチンが導入されて以降、風疹の感染者は徐々に減少してきました。しかし、20代から40代の男性を中心にワクチンの接種を受けていない人が多く、患者の7割以上を占めています。

さらに予防接種を受けたいと思っても、すぐに受けられない場合があることも分かってきました。

こちらの男性は仕事の都合で予防接種を受けた方がいいと考え、インターネットで医療機関を探しましたが、どこで受けたらいいかわかりません。一軒一軒電話してみる、医療機関によっては、1週間も待たされることが分かりました。

去年の10月以降、「先天性風疹症候群」と診断された赤ちゃんは7人。妊娠中は風疹のワクチンを打つことはできず、感染が拡大する中で、妊婦やその周りだけが気をつけても感染は防げません。
しかし国は妊娠を希望する女性や妊婦の家族にワクチンの接種を呼びかけるにとどまっていて、感染の拡大を食い止める有効な対策は打ち出せていません。

田村厚生労働大臣は、「注意喚起のためにポスターを作って、自治体、学会等を通じて産婦人科などに貼り出しながら、注意喚起していただいて、自らのお子さんの健康を守っていただきたいと思います」と話しています。

息子が先天性風疹症候群と診断された女性は、今、フェイスブックに息子のことをつづり、感染の中心となっている大人に、予防接種を受けてほしいと願っています。
「自分でも気がつかないうちにウイルスを出してしまって、自分の知らないところで傷ついている人もいるということを分かってほしい。関係ないと思わずにワクチンの接種を受けてほしい」と話しています。

風疹のワクチンを接種する人が 多ければ多いほど、赤ちゃんを風疹による障害から守ることができます。風疹が大流行している今、1人1人が予防に取り組む時期にきています。

産まれてくる子どもたちを風疹の影響からどう守るのか、NHKでは対策や課題について ご意見を募集しています。
「#ストップ風疹」という ハッシュタグをつけてツイートしてください。放送で紹介させて頂く場合があります。