強さの根底に精神力の強さ

(NHKサッカー解説 森岡隆三さん)
「クロアチアの元来の文化というか本当に前回大会を含めてチーム全体に粘り強く戦う習慣を持っている。逆境や試合の劣勢の場面で攻め込まれるのを全く苦にしないというか、当たり前にやっていて、プレーの中で一喜一憂しない。点を取っても取られても、攻められていても攻めていてもワンプレーワンプレーにとにかく集中しているというのが、クロアチアの強さ」。

森岡さんが語るクロアチアの精神力の強さを象徴するのがベテランの37歳のミッドフィルダー、ルカ・モドリッチ選手です。
スペイン1部リーグの強豪、レアルマドリードに所属し、豊富な運動量と高いテクニックで攻守の両面で試合をコントロールします。
ブラジルとの対戦の前日、クロアチアの練習を見学した森岡さんはモドリッチ選手の練習に臨むふだんの姿からチームの強さにつながる要素が見えたといいます。

(森岡隆三さん)
「クロアチアの象徴と言われるモドリッチ選手だが、いい年齢になっているので、練習は多少コントロールしているのかと思ったら、一番体だけじゃなくて頭も動いていて、ポゼッションの切り替えの練習の中でいの一番に走っていく。『こんなにやって、あしたブラジル戦だけど大丈夫か』と思ったが、それを日常的にやっているからクロアチアのいわゆる粘り強さがあり、いつもどおりの精神力のレベルが相当高いところにあるのだろうと思った」

実際に翌日のブラジル戦でも一つ一つのプレーに全力を尽くすモドリッチ選手の姿勢がチームを敗退の危機から救ったと指摘します。
延長戦の後半に同点に追いついた場面。モドリッチ選手がボールを追いかけてスライディングをしたプレーがきっかけになったと言います。
(森岡隆三さん)
「ワンプレー、ワンプレー、やり続けた結果としてああいうふうにボールが前に流れた気がする。いいプレーのあとも悪いプレーのあとも大事になるのは次のプレーで自分がやれることをやり続けるのが、すごく大事だと思うが、それが見事にクロアチアの同点ゴールにつながった」

(森岡隆三さん)
「決してモドリッチ選手のスーパープレーではないが、きっちりやることを示したというか、彼があれだけボールを追いかけたら、若い選手もああいう姿を見て育つと、きっと同じようになってくのだろうなという、いい文化が受け継がれている感じがした。今やれることを最大限にやるというのが、メンタリティーの根底にあると思う」
PKの強さは精神面の技術が支える

さらに、クロアチアは今大会、すでに2回、ペナルティーキック戦で勝っていますが、準優勝を果たした前回ロシア大会から数えると実に4回連続でペナルティーキック戦を制しています。

キックの技術だけでなく運の要素も勝敗を左右すると見られがちなペナルティーキック戦ですが、森岡さんがクロアチアの勝因として挙げたのが精神面での技術の高さです。

(森岡隆三さん)
「純粋なボールを扱うテクニックとは違ったメンタルをコントロールするテクニックがある。日本戦もブラジル戦もゴールキーパーは確実にボールの行方を予測して飛び出るシーンが多い」

(森岡隆三さん)
「キッカーは、ふだん蹴るよりも集中していいところに飛ばしているような選手も多い。ポーカーフェースじゃないが、全く焦ることなく逆をつくこともある。あの舞台で大事なのは本当にいつもどおりに蹴れるかどうかだと思うが、緊張しすぎたり、少しふわふわしちゃったりとかが全くない」
アルゼンチン戦へ勝機は
初出場した1998年のフランス大会で3位に入り、前回大会で準優勝を果たしたクロアチア。

悲願の初優勝を目指して、準決勝ではスーパースターのメッシ選手を擁するアルゼンチンと対戦します。準決勝は日本時間12月14日午前4時キックオフの予定です。
森岡さんが勝敗を分けるポイントと見ているのが、クロアチアがどこまで自分たちの得意とする試合展開に持ち込むことができるかです。

(森岡隆三さん)
「延長まで持っていったら自分たちは勝つという、何かそういう1つの方程式みたいなのもできているような気がする。クロアチアの尋常じゃない精神力の強さがどこまで続くかを見たいし、それを打ち破るチームや個の力も見たい。すごく楽しみな準決勝」
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