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日本代表 三笘薫 “『切り札』から『絶対的な存在に』”

「4年後は絶対に僕が導いてチームを勝たせる」

サッカーの日本代表がワールドカップ初のベスト8をかけて臨んだ5日のクロアチア戦を終えた後、三笘薫選手が目に涙を浮かべながら口にしたことばです。

目次

    “日本の切り札”として

    今大会、日本の攻撃を引っ張った三笘選手。

    最大の持ち味は緩急をつけたドリブル突破で、そこからのパスやシュートも高い精度を誇ります。

    1人で局面を打開できるその実力に森保監督も「三笘選手自体が戦術だ」と賛辞を惜しまず、主に途中出場で流れを変える切り札として大きな存在感を発揮してきました。

    日本中に、その存在を知らしめたのが、ことし3月に行われたアジア最終予選のオーストラリア戦。代表2試合目ながら途中出場すると、わずか10分で2得点。日本のワールドカップ出場を決定づけるゴールを挙げて一躍、ヒーローになりました。

    この得点は本人にとってもターニングポイントになったということで「自分の人生の中でも大きな1点を決められた。自分の中でも成長できている」と話していました。

    海外挑戦で飛躍

    J1の川崎フロンターレからベルギー1部リーグを経て、現在はイングランドプレミアリーグのブライトンでプレーします。

    海外のリーグでは日本でプレーしていた最前列ではなく、1列下がった「ウイングバック」というポジションで出場機会を増やしてきました。

    このチャレンジがさらなる飛躍につながりました。

    守備の強度が高まったほか、相手を待ち受けて守る場面を多く経験したことで瞬発力が高まり、ドリブルの一歩目の踏み出しに力強さが加わったと言います。

    「守備の対応で止まる動作が多くなったので使う筋肉の場所も違ったり、止まってから動くストップダッシュが増えた。1回で踏み出すときの力強さは自分の中で増しているというのは感じている」

    W杯の舞台で力を発揮

    ワールドカップでも1次リーグの3試合は途中出場の「切り札」として起用され、力を示しました。

    第2戦まではいずれも得意のドリブル突破で躍動。ドイツ戦では同点ゴールの起点となると、第2戦のコスタリカ戦でも相手の陣地の深くまで切り込んでパスを供給し、何度もゴールに迫りました。

    さらに第3戦のスペイン戦はゴールラインぎりぎりのところからクロスボールを上げて決勝点をアシストしました。

    この試合ではスペイン1部リーグのレアルマドリードでプレーするアセンシオ選手などに1対1の局面を作られても粘り強く対応して決定的な仕事をさせず、守備でも勝利に貢献しました。

    悔しさ胸に4年後へ決意

    そして史上初のベスト8がかかる5日の決勝トーナメント1回戦のクロアチア戦。

    この試合も後半から出場した三笘選手はドリブルでチャンスを作り出し、延長前半終了間際には自陣でボールを持つと、ペナルティーエリア付近まで持ち上がり、強烈なシュートを打ちましたが相手のゴールキーパーに阻まれました。

    得点は奪えず、ペナルティーキック戦にもつれ込むと2番目のキッカーを任されました。

    ゴール左下をねらったボールはゴールキーパーに止められチームは敗れました。

    敗戦後、インタビューに応じた三笘選手は涙を流しながら「ペナルティーキックを蹴る覚悟はできていた。責任はある」と話しました。

    延長前半にシュートを打った場面については「あそこで決め切れれば、勝てていた。延長で決めきりたかったが、これが実力差だ。力を出し切れなかったので悔いが残る」と唇をかみました。

    そして絞り出すようにこう決意を述べました。

    「自分が最初から出て全部チームを勝たせる存在にならないといけない。そのためにまた4年間、もう1回やるしかない」

    「切り札」ではもうとどまらない。

    「絶対的な存在」として自分がチームを導く。

    日本が誇るドリブラーからは、たどり着けなかったベスト8に向けて、すでに新たな覚悟がにじんでいるように感じました。

    日程・結果(日本時間)

    日本代表