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日本 なぜスペインとドイツに勝ち コスタリカに敗れたか

日本は1次リーグでワールドカップ優勝経験のあるドイツとスペインから勝利を挙げたものの、世界ランキングでは下のコスタリカに対しては敗戦を喫しました。勝敗を分けたのは何だったのでしょうか。

目次

    積極的な采配で流れ変えたドイツ戦

    ドイツ戦の前半は相手に押し込まれる場面が目立ち、先制点を許したあともほぼ一方的に攻め込まれる展開が続きました。

    しかし、0対1のまま後半に入り森保監督が先んじて打った一手が試合の流れを大きく変えました。

    フォーメーションを変えてセンターバックを2人から3人に増やし、その1列前の左右のポジションに「ウイングバック」と呼ばれる選手を置きました。

    このフォーメーションは「ウイングバック」を担う選手の特徴によって攻撃的にも守備的にもできると森保監督は考えていて後半12分からドリブル突破が持ち味の三笘薫選手を投入し、左のウイングバックで起用しました。

    さらに、浅野拓磨選手や堂安律選手などといった攻撃的な選手を次々と交代でピッチに送り込み、ゴールをねらう姿勢を鮮明にしました。

    すると後半30分に堂安選手の同点ゴールが生まれその8分後には浅野選手が決勝ゴールを挙げて逆転勝ちを収めました。

    いずれも森保監督の積極的な采配が的中した形になりました。

    日本代表の前の監督、西野朗さんは「攻撃的なシフトに切り替えていき、メンバーもフレッシュな選手を投入した。ドイツからすれば対じする選手がどんどん代わっていって目先が変わって対応しにくかったと思う」と評価しました。

    スペイン戦でも「最高の戦略がハマった」

    3戦目のスペイン戦も立ち上がりから押し込まれ、早々に失点して苦しい展開になりましたがここでも後半に入って森保監督が先に動きました。

    ドイツ戦と同様、左の「ウイングバック」に三笘選手を入れたほか、堂安律選手を投入して攻撃的な布陣にシフトすると、高い位置からボールを奪いに行く「ハイプレス」を強めました。

    すると後半3分に「ハイプレス」で奪ったボールを堂安選手が拾い、同点ゴールを挙げると、その3分後には田中碧選手の決勝ゴールも生まれ、逆転勝利につなげました。

    そして1点リードしたあとは本職はディフェンダーで守備力に定評のある冨安健洋選手を右の「ウイングバック」に入れたり、1対1の局面に強いボランチの遠藤航選手を投入して最後まで集中力を切らさず、守り切りました。

    この試合についても西野さんは「戦略としても盤石だったし、想定していた最高の戦略がハマった」と称賛を惜しみませんでした。

    「迷い」で後手に? コスタリカ戦

    一方、選手たちによりますと敗れた第2戦コスタリカ戦は戦い方に「迷い」があったということです。

    もともとコスタリカは堅い守りとボールを奪ったあとの鋭いカウンターを武器とする「堅守速攻」のチームです。

    この戦い方がベースになるとみられていましたが、コスタリカは初戦のスペイン戦で0対7と大敗を喫したことから勝利をねらうためにスタイルを変えて積極的に仕掛けてくることも考えられるとみていました。

    試合前、選手たちは「戦い方が読めない。不気味な感じもある」と口をそろえていました。

    日本は「まず失点を防ぎ、相手が得点を取るために前がかりに来たらカウンターをねらう」として最低でも引き分け、チャンスがあれば勝ち点3をねらうという方針で臨みました。

    吉田選手は「相手が前から来るのか引いてくるのか、わからない状態で探り探りプレーしていた」と明かし、「攻撃のペースが単調になってしまった」と話しました。

    また、長友佑都選手も「失点したくない気持ちが強く出すぎて慎重になりすぎた。もっと大胆に攻撃したほうがよかった」と振り返りました。

    ボールを保持する時間は長く、優位に試合を進めたものの得点を奪えないまま終盤に入ると、守備陣がわずかな隙を突かれて失点を許し、痛い敗戦を喫しました。

    結果的に「後手」を踏んだ形となり、吉田選手は「相手の術中にハマってしまった。僕らがドイツにしたようにしっかりブロックを作って我慢し、ワンチャンスをねらう戦い方を見事にコスタリカにやられてしまった」と肩を落としました。

    積極的な采配で勝利したドイツ戦とスペイン戦。

    「慎重な攻め」で結果的に「後手」をふんだコスタリカ戦。

    そこが勝敗を分けたものとみられます。

    クロアチア戦の勝利のカギは

    森保監督のもと、「強豪相手でも受け身にならず、自分たちの意思を持って戦えるチーム」を目指してきた日本代表。

    クロアチアも世界ランキングは12位で日本の24位よりも格上で前回のロシア大会では準優勝に輝いたやはり強豪と呼べる相手です。

    森保監督は「最初から守るという戦い方はしたくないし、勇気を持って戦えるように準備したい。クロアチアもいろんな戦い方ができるチームなのでわれわれも理想と現実をしっかり考えながら最後は自分たちが勝利をものにできるようにしたい」と警戒していました。

    史上初となるベスト8がかかる大一番。

    みたび、「積極的に主体的に戦えるのか」が試合の大きなカギを握りそうです。

    日程・結果(日本時間)

    日本代表