W杯 3大会連続6回目出場
世界ランキング12位のクロアチアは、3大会連続6回目のワールドカップ出場です。
日本が初出場した1998年のフランス大会で、同じ初出場ながら3位と躍進し、前回のロシア大会では、決勝でフランスに敗れたものの、準優勝に輝いた強豪国です。
注目は前回大会 “MVP”モドリッチ選手

チームをけん引するのはベテランのルカ・モドリッチ選手です。スペイン1部リーグの強豪、レアルマドリードに所属する37歳は、豊富な運動量と高いテクニックで攻守の両面で試合をコントロールします。
準優勝に輝いた前回のロシア大会ではMVP=最優秀選手に選ばれたほか、この年、フランスのサッカー専門誌が選ぶ最優秀選手賞、「バロンドール」にも輝きました。
決定的なパスや強烈なシュートだけでなく、守備にも労を惜しまない万能型の選手で、今大会も躍動感あふれるプレーでチームの大黒柱としての役割を存分に果たしています。
世界屈指の中盤

サイドから切り込んだり、クロスボールを入れたりする攻撃を主体とするチームの中でも、世界トップクラスの選手がそろうのが中盤です。
モドリッチ選手に加え、イタリア1部リーグのインテルに所属するマルセロ・ブロゾビッチ選手、そしてイングランドプレミアリーグのチェルシーでプレーするマテオ・コバチッチ選手の3人です。
屈強な守備陣

守備の面でも、1次リーグ3試合で失点わずか1と安定感があり、その中心となるのが、センターバックのヨシュコ・グバルディオル選手です。
まだ20歳と経験は多くありませんが、強じんな体格を生かした1対1の守備に強さがあり、利き足の左足でボールを操るテクニックにもすぐれていて、ビルドアップにも積極的に関わります。
モドリッチ選手は決勝トーナメント進出を決めたあと「クロアチアがトップレベルのチームだと示したし、どんな相手とでも戦える。どこが相手でも自分たちとの試合は簡単な試合にはならない」と自信を示しました。
今大会の戦いぶりは

今大会の1次リーグのグループFでは、初戦でモロッコに0対0で引き分け、第2戦のカナダ戦では、開始早々に先制を許したもののその後、4点を奪って逆転勝ちしました。
そして、第3戦で対戦した世界2位の優勝候補ベルギーとの試合では、相手の猛攻を無失点でしのぎ0対0で引き分け、グループ2位で決勝トーナメントに進出しました。
W杯準優勝を知る指揮官

クロアチアを率いるのは、ズラトコ・ダリッチ監督です。
2017年の秋に監督に就任し、わずか1年足らずで迎えたロシア大会では、1次リーグの初戦のあとに、チームの和を乱したとして、フォワードの選手をチームから追放しました。
それでもチームを準優勝に導いた手腕は確かで、かつて中東のクラブチームを指揮したこともあり、アジアのサッカーにも精通しています。
ダリッチ監督は日本がドイツやスペインを破って決勝トーナメントに進出したことについて問われると「エネルギーや底力を感じるし、実力だと思う。驚きはあまり感じていない」と日本の戦いを評価していました。
そして、日本の選手と同じクラブチームでプレーした経験のある選手が複数いることから「日本選手の情報を得ることができる」と対策に自信を示しました。
日本との過去の対戦成績は

日本はクロアチアと過去に3回対戦し、通算成績は1勝1敗、1引き分けです。
最初の対戦となった1997年の強化試合では日本が4対3で勝っています。
2回目の対戦は1998年のワールドカップフランス大会で、当時、岡田武史監督が指揮をとるチームは、1次リーグの第2戦でクロアチアに0対1で敗れました。
そして、3回目の対戦が2006年のドイツ大会の1次リーグの第2戦で、このときは0対0で引き分けています。
日本はどう戦う

日本はドイツやスペインといった強豪相手に見せた、守備から攻撃への素早い切り替えが重要で、粘り強い守備でボールを奪ってから、前線でのドリブル突破や相手の背後をねらう動きで、いかにチャンスを作れるかがポイントになります。
また、今大会日本の強みとなっている「変化」をいかに出せるかにも注目です。スペイン戦では後半から出場した堂安律選手や三笘薫選手が得点に絡んで、逆転勝ちを演出しました。メンバーやフォーメーションの変更にいかに対応できるかが勝敗を分ける鍵となりそうです。
前回準優勝の強豪の高い壁を乗り越えることができれば、日本が目標とする“新しい景色”が見えてきます。