• TOP
  • 特集
  • 日本 実ったハイプレス 成長を物語る サッカーワールドカップ

日本 実ったハイプレス 成長を物語る サッカーワールドカップ

サッカーワールドカップカタール大会、強豪・スペインに逆転勝ちした日本。去年の雪辱を見事に果たした勝利でした。

目次

    去年 東京五輪 ハイプレス ほとんど通用せず

    スペインは森保監督が指揮を執った去年、夏の東京オリンピックの準決勝で敗れた相手でした。スコアこそ0対1でしたがスペインが誇るパスをつなぐサッカーに対し、森保監督がチームの要の戦術としていた相手ゴールに近い位置で仕掛ける守備、「ハイプレス」はほとんど通用しないという内容も厳しいものでした。

    苦しい展開も粘り強くしのぐ

    1日の1次リーグ第3戦もボールの保持率は日本が17%にとどまったのに対しスペインは74%。この試合でもスペインの高い技術に基づくパスサッカーは健在で、早々に失点するなど苦しい展開になりました。

    それでもキャプテンの吉田麻也選手は「ドイツ戦と同じように前半我慢して後半チャンスをうかがうことを狙っていた」と言うように先制されてからは時には自陣深くに引いて粘り強く守りながら、以降はスペインの攻撃をしのぎつづけました。

    ハイプレスを成功させ同点に

    そしてチャンスを狙った後半、ドイツ戦と同様、森保監督の采配がチームを勢いづけました。

    三笘薫選手と堂安律選手を投入すると開始早々、三笘選手や前田大然選手をはじめとする前線や中盤の選手が相手の陣内で一気にハイプレス。

    前田選手がプレッシャーをかけた相手ゴールキーパーがサイドに出した浮き球のパスを伊東純也選手が頭で競り勝ちました。

    そして、こぼれたボールを巧みなトラップから堂安選手が振り抜いて同点に追いつきました。

    試合の前日、前の代表監督の西野朗さんは「全体で、1つのボールに対して、どこでどういうディフェンスをしてアプローチするのかというところを統一しないかぎり、スペインのボールを奪うのはなかなか難しい」と指摘していましたが、狙い所を的確に絞ったハイプレスでスペインのパスサッカーを攻略し、交代した直後の選手が得点。

    東京オリンピックで真価を発揮できなかったハイプレスを成功させ、同点につなげた場面は日本の成長を物語っていたとも言えます。

    “新しい景色”へ ハイプレスの成否が鍵

    そして、その3分後には堂安選手が右サイドから供給した低いクロスボールを三笘選手がゴールラインぎりぎりで折り返し、最後は田中碧選手が体ごと押し込んで逆転ゴールにつなげました。

    以降、森保監督は冨安健洋選手、遠藤航選手と守備の得意な選手を投入。今度は自陣に引いて1点を守り切るスタイルにシフトした柔軟な采配も逆転勝利につながりました。

    今大会の日本代表26人のうち東京オリンピックの悔しさを味わったのは同点ゴールの堂安選手や、逆転ゴールを決めた田中選手、お膳立てした三笘選手など12人。先発した前田選手と久保選手。守備を固めた板倉選手、冨安選手、遠藤選手も森保監督とともにスペインに敗れた悔しさを知っています。

    決勝ゴールの田中選手は「オリンピックの借りは少しは返せたのかなと思うし、あのときの負けの悔しさはここで晴らすことができたのかなと思う」とこの1勝が決勝トーナメント進出を決めた以上の価値があったことを明かしました。

    次は史上初のベスト8をめざして、前回大会準優勝のクロアチアと対戦する日本。「新しい景色」を見ることができるかどうかが問われる大一番も、培ってきたハイプレスの成否が試合の鍵を握りそうです。

    日程・結果(日本時間)

    日本代表