
しかし、その後、日本代表では同じポジションを担う伊東純也選手の台頭もあって3月にはメンバー外となる苦境も味わいました。
「『俺はスタメンだ』とはっきり言える立場ではないのは分かっている。でも今まで、下から這い上がっていくというサッカーキャリアだったのでこういう状況はすごく好きだし競争を勝ってきて今の自分の立場があるので、今回も勝っていける自信はある」

今シーズンからはドイツ1部リーグのフライブルクでプレーしています。加入後、すぐにレギュラーをつかむと開幕戦でゴールを挙げ、いきなり結果を出しました。

9月、取材で堂安選手と一緒にフライブルクの街なかを歩いていると子どもたちから記念撮影とサインを求められました。開幕から1か月余りでしたが、すでに地元のファンから評価を受け、人気を集めていることがわかります。
強豪ぞろいのドイツ1部リーグで2位につけているチームを主力として引っ張っているという手応えが堂安選手をさらに強くしています。今は代表で置かれている立場に対しても落ち着いて受け止められていると言います。

「こういう状況なのに焦っていないというのは自分の中で圧倒的な自信に変わってきているのかなと思う」
夢であり、憧れでもあるという大舞台。
「ワールドカップのゴールは人生を変える」と考えています。

その思いを強くしたのが前に所属したオランダ1部のPSVでマリオ・ゲッツェ選手とともにプレーしたことでした。
今回のドイツ代表でもあり、2014年のブラジル大会決勝で優勝を決める決勝ゴールを挙げました。
「彼を見ていると、あの1点で人生が変わったと思う。ドイツ中で街も歩けなくなったと言うし、あのゴールがあったからこそマリオ・ゲッツェっていうブランドがあって、価値があって、『彼と一緒にプレーしたい』、『彼のことを見たい』というファンがいる。日本人でワールドカップで点を取った選手は大事な存在になると思うので、そういう選手になる」

初戦のドイツ戦は途中出場ながら値千金の同点ゴールを挙げました。
「俺が決める、俺しかいないという強い気持ちでピッチに入った。これで一喜一憂せず、強い気持ちで一丸となって戦いたい」と強い気持ちを表していました。
しかし第2戦のコスタリカ戦では先発出場のチャンスをつかみながらも得点はできず、チームも敗れました。
ふがいなさを押し殺しながら第3戦のスペイン戦は「みんなに真のエースだと思わせるには結果しかない」と意気込んで臨みました。

そして途中出場ながら大事なところでのゴール。
ここ一番での勝負強さを発揮し「人生を変える」ゴールを生み出しました。
「あそこは俺のコース」

同点ゴールを決めた堂安選手は「あそこは俺のコースなので絶対にシュートを打ってやると決めていた。思いきり打つことができた」と振り返りました。
そのうえでベスト8進出に挑む決勝トーナメントに向け「まだ歴史を塗り替えたわけではないが、大きな壁を塗り替えたと思う。この勝利で1戦目が奇跡ではなく、必然で勝ったと国民に思ってもらえると思う。ベスト16の壁を乗り越えたい」と意気込みました。
また、堂安選手は試合後にみずからのツイッターに「優勝するよ!!」と投稿し、多くのファンから激励のコメントが寄せられました。
