9月の強化試合を見て
9月に行われたアメリカ、エクアドルとの強化試合を2試合とも見たという三浦選手。本大会に向けた重要なテストとなったこの試合で日本の状態の良さを感じたといいます。

(三浦知良選手)
「試合を全部見たんですけど、率直に非常にいい戦いで面白かったなと思いました。アメリカ戦とエクアドル戦で内容も全然違うし出ている選手も違ったんですけど、両方とも日本の良さは出ていました。特にアメリカ戦に関しては、理想としている形、ディフェンスから攻撃の中で点を取れたと思うし、たくさんのチャンスを作れたと思います。エクアドル戦に関しては、相手の強度もアメリカよりかなり強かった。チームとしてもエクアドルの方が強かったので日本としては苦労したと思うんですけど、その中で森保監督が理想としているディフェンス面でいい形が出ていて、非常にいい状態になっていると感じました」
キーマンは“鎌田大地”

三浦選手の注目は、鎌田大地選手。
ドイツ1部リーグでゴールを量産するなど好調をキープしています。際立っているのはその精神的な強さだと言います。
(三浦知良選手)
「いま鎌田選手がすごく調子がよくて日本代表でも中心となる選手だと思います。攻撃面でのいろいろなチャレンジを鎌田選手を中心にしていける。フィニッシュ(シュート)もすごくいいし、アシストもできるし、パサーとしてもすごく能力が高い。試合を見ていてもまったく相手を怖がらずに自分に自信を持っている。『自分の方が上なんだ』という気持ちでピッチに立っていると思うし、それがすごく強みだなと思います」

さらにプレーの特徴を聞くと“緩急”というキーワードを挙げました。
(三浦知良選手)
「やっぱり緩急をつけられる部分はすごくいい部分かなと。行くときはすごく積極的に強気に行くし、テンポを遅くした方がいい時はテンポをわざと遅くしてボールを大事にしたりする。メリハリができる。サッカーはそういう部分がすごく大事で、鎌田選手はアメリカ戦でも高いレベルで見せてくれました」
“久保建英”のリズムに注目
もう1人、三浦選手が名前を挙げたのは、チーム最年少、21歳の久保建英選手です。
ワールドカップでは、三浦選手の代名詞となっている背番号「11」をつけて戦います。緩急自在のドリブルに加え、パスやシュートの技術も高い久保選手。そのなかでも三浦選手は、久保選手の持つリズムが持ち味だと話します。

(三浦知良選手)
「今のサッカー選手はフィジカル的に強くてスピードがあって・・・という部分が注目されますが、久保選手は本当に『サッカー選手』だなという感じ。みんなサッカー選手なんですけど、アスリートというよりも本当にサッカー選手というのを感じられる選手です。味方を使って自分がペナルティーエリアに入っていくタイミングだったりその技術というのが、ストリートサッカーの延長のような感じで、監督が教えられないものを攻撃の部分で出せる選手だと思います。ボールの持ち方にしても、本当に久保君が持つとリズムが変わるので、そういうところが日本のチームの中でもアクセントになって違いを作れるんじゃないかと思います」
ベスト8に向けての戦い方は
日本は、目標に掲げるベスト8に向けて、まずは1次リーグでドイツやスペインといった優勝経験のある強豪と対戦します。

そうしたチームと戦って、目標とするベスト8にたどり着くためにはどうすればいいか。三浦選手は、日本の得意な形で戦うことが重要だと話します。
(三浦知良選手)
「ドイツやスペインをずっと見ているわけじゃないので、どうしたらいいかというのはよくわかりません。ただひとつ、日本らしいサッカーが何かというと、自分たちでボールを保持して小さなスペースで人が連動してボールに関わっていくこと。人とボールが動きながらペナルティーエリアの中に入り、相手を崩しながら点を取るというのが日本の一番得意としていることだと思います。そういう持ち味を攻撃の部分で出してほしいなと思います。守備面では連動した守備というのが特徴だと思うので、フィジカルでは劣る部分があるかもしれませんが、みんなで連動して守る得意な部分がしっかり出せればチャンスがあるんじゃないですかね」
日本代表の選手たちにエール

自身は、いわゆる「ドーハの悲劇」やフランス大会でのメンバー落ちを経験し、ワールドカップの舞台には立つことはできませんでした。
それでも日本代表としての誇りや魂を受け継ぐ後輩たちには、夢の舞台を楽しんでほしいとエールを送ります。
(三浦知良選手)
「ワールドカップみたいな舞台でドイツやスペインと戦う機会はなかなかないと思います。1次リーグを突破しないと当たれないようなチームと最初から当たれるわけなので、自分たちの持ち味を出して楽しんでもらいたいですね。もちろん注目されてベスト8というプレッシャーもあると思いますが、そのプレッシャーよりも、ぜひサッカーを楽しんで、ワールドカップの舞台を楽しんでほしいと思います」
