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アンケート概要
岩手・宮城・福島の被災地では、プレハブ仮設住宅の入居者が大幅に減少し、計画された災害公営住宅の整備やかさ上げによる宅地造成がほぼ終わるなど、住まいの復興は仕上げ段階に入っています。
一方、今も避難生活を余儀なくされている人は約4万7000人にのぼり、多くの自治体では人口減少に歯止めがかからず、地域経済も回復したとは言えない状況です。
被災した人たちは現状をどう感じているのか。約4000人を対象にアンケートを行いました。
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東日本大震災9年

回答者1,965人
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- 岩手県
- 726人
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- 宮城県
- 728人
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- 福島県
- 505人
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- その他
- 6人
当初思い描いていたより悪い
2人に1人
約半数が、今の復興の姿は「当初思い描いていたより悪い」と回答。県別分析から、福島の復興実感が特に低いこともわかりました。
当初、あなたが思い描いていた復興と比べて、今の復興の姿をどう考えますか?


暮らしていた地域のこれまでの復興状況について、どのように感じていますか?


震災等で「収入が減った」
2人に1人
半数余りが、震災・原発事故の影響で家庭の「収入が減った」と回答。依然、生活再建の問題が未解決なことが明らかになりました。
震災・原発事故は、家庭の収入にどのような影響を与えましたか?

収入が減った要因は何ですか?

収入が減ったことによる生活への影響は?

家賃「2倍以上値上がり」
入居経験者10人に1人
災害公営住宅の居住経験がある被災者の1割が、入居当初と比べて家賃が「2倍以上に値上がりした」と回答。中には「3倍以上に値上がりした」という人もいて、被災者からは不満や不安の声が寄せられました。
今の家賃(退去した人は退去直前)は、入居当初と比べて変化がありますか?

家賃が値上がりした分をまかなうために行なっていることや検討していることは?

震災から時間がたち風化
10人に7人
ありのままに伝える映像
10人に7人
7割が「震災から時間がたち風化している」と感じていると回答。被災地の伝承施設などで見せている津波襲来時の映像については、7割が「津波が襲った時の様子をありのままに伝えるため配慮を最小限にとどめた映像」を見せるべきだと答えました。
震災から9年がたちますが、以下の項目についてどう思いますか?

震災遺構の中には、展示室などを設けて津波が襲ったときの映像を見せている所もあります。どのような映像を見せるのが適切だと思いますか?

「配慮最小限」の理由は?

「最大限配慮し刺激を抑えた映像」「映像は見せるべきではない」の理由は?

震災直後より高くなった
2人に1人
半数が、震災発生直後と比べ防災意識が「高くなった」と回答。全国で相次ぐ災害が被災者の防災意識に影響を与えていることがわかりました。
震災から9年がたとうとする中、あなたの防災意識は、震災の発生直後(概ね1年後まで)と比べて変わりましたか?

防災意識が「高くなった」「やや高くなった」「変わらない」と思う理由は?

防災意識が「やや低くなった」「低くなった」と思う理由は?

復興に役立つと思わない
3人に2人
6割が、政府が「復興五輪」と位置づける東京オリンピック・パラリンピックは被災地の復興に「役立つと思わない」と回答。被災者の多くが「復興五輪」の経済効果に否定的です。
大会が東日本大震災の被災地の復興に役立つと思いますか?

東京オリ・パラについてどう思いますか?


- 兵庫県立大学
- 木村玲欧教授
- (社会心理学)
アンケートを分析して、「軌道修正」が必要なことが多く出てきたと感じました。復旧・復興が順調に進んでいる項目がある一方で、家計の収入が減っている問題や地域経済の問題、災害公営住宅の家賃値上げによって生活が成り立たなくなっている問題などが浮き彫りになりました。
阪神・淡路大震災や他の災害に比べて、被災者一人ひとりの復興のスピードも遅いと感じています。
特に、家計や住まいをいかに安定させて生活再建に結びつけていくかが重要ですが、このままでは来年の震災10年も今回とほとんど変わらない結果になるおそれがあります。
今回のアンケート結果をもとに、さまざまな側面で支援のあり方を考え直す必要があると思います。
監修コメント