東日本大震災7年被災者アンケート

避難生活を続ける人は現在も7万人余りにのぼります。
また、仮設住宅で暮らす人は、1年前より約2万人減り、災害公営住宅で暮らす人のほうが多くなっています。
住宅の復興が進む中、被災した人たちは今の生活をどう考えているのか、岩手・宮城・福島で約5700人を対象にアンケートを行いました。

【回答者】1932人

地域経済や
地域のつながりの復興実感ない

“2人に1人”

“2人に1人”

復興の実感について聞いたところ、住宅については約半数の人が「復興の実感ある」と回答した一方、地域経済や地域のつながりについては「復興の実感ある」が1~2割にすぎず、「復興の実感ない」が半数に達しました。
住まいの復興は進む中、地域のつながりなどを感じられず、孤独感を深める実態が見えてきました。

復興したという実感はありますか?

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現在の住まいが、被災直後の想像と違っている点はありますか?

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Q.想像と違った理由

※前質問の①、②の回答者(複数回答可)

想像と違った理由

アンケートからの回答

夫が亡くなってからは一人暮らしで淋しさを毎日抱えている。
隣人とのかかわりも少なく、孤独感におそわれている。
生きがいがほしい。大声を出して笑いたい。

岩手県宮古市 災害公営住宅の83歳女性

小売業も厳しくこの先の展望が不安の中で、小さくなりそうでつらい。
しかしこの地で生きると腹をくくったのだと言い聞かせている。
復興とはなんだろうといつも考える。
公営住宅に何百人もの世帯が暮らしていてもあまりにも孤独の人が多いのに驚きます。
地域全体の復興を築くには一人ひとりの心を支え、交流を深めなければなしえないと思う。
あの日までの地域、自治会はすべて消滅した地区がいっぱいあります。
何もできないまま時間だけが過ぎてゆきます。

宮城県気仙沼市 酒類小売業の68歳女性

ハード的に復旧しても人と人とのつながりが希薄では復興といえないように感じる。
仮設住宅はコミュニティーが維持されていたが、新しく作った住宅や集落で落ち着いて暮らすのは時間がかかる。

福島県相馬市 54歳NPO職員 男性

家計が苦しい

“5人に3人”

“5人に3人”

家計の現状について、「苦しい」の回答が6割を超えました。また、これまで受けた支援で、最近打ち切られた支援があるとの回答が約半数にのぼり、厳しい生活を脱することができない状況が続いています。

現在の家計の状況について、どのように感じますか?

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Q.最近打ち切られた支援

(複数回答可)

最近打ち切られた支援

アンケートからの回答

シングルマザーで子どもを育てているが、暮らしは厳しいです。仕事をしながら一人、子育て、家事、子供関係の役員などしてきましたが、ストレスから体調を崩し、今は無職です。
公営住宅に入居できたものの、毎月の家賃や共益費、駐車料金、光熱費や学費…貯金を切り崩しながらの生活、正直苦しいです。

岩手県山田町 災害公営住宅の37歳女性

震災7年を経て、こんなに厳しい状況になるなど思っていませんでした。
家も土地もあったからこれまで不自由なく暮らしてこれました。
家賃の減免措置があるとはいえ、措置が解除になると家賃は倍になります。 今後の暮らしに不安を持っています。

岩手県陸前高田市 災害公営住宅の74歳女性

家を再建しました。店も本設しました。
形は復興しました、といえるかもしれませんが、この年でローンを抱えて復興したとはとても言えません。
ただただローン返済のため働くのみ。
人生を楽しむことも無く、どこかへ行くことも無く、家と店を行ったりきたり。
元の生活レベルになることは、死ぬまでに無いのではと思う毎日です。

岩手県宮古市 飲食業 66歳女性

全国的に
風化が進んでいると思う

“10人に7人”

“10人に7人”

震災の全国的な風化について「風化が進んでいる」との回答が74%にのぼりました。同じ質問をした過去3年間の回答の中でもっとも高くなりました。

震災の風化についてどう思いますか?

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< 風化経年変化 >

風化が進んでいる

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アンケートからの回答

堤防が高くなったり、道路などインフラが新しくなりすぎて元の形が無くなり、一気に風化を進めてしまった気がする。言葉だけでは伝わりにくいところがあるので、何らかの形のあるものがないと教訓は伝わりにくいと思う

宮城県岩沼市 家事手伝い 47歳女性

あのときの思いは一日も早く記憶の中から消し去りたいと思いつつ、風化させてはいけないという気持ちが重くのしかかってきます。
落ち着いた気持ちで震災の日から振り返ると、自然の本当のおそろしさ、そして人災のようにあってはならない原発事故のおそろしさを風化させてはならないと心から思います。
風化させないことがこれからの安心安全な将来への架け橋となるのではないかと考えます。

福島県郡山市に移住の64歳女性

被災者である自分でさえ、震災のことを忘れていることが多くなってきている。
人間は、こうして同じ過ちを繰り返してきたのだろうなとも思ったりするが、そうならないように伝えていかなければならないのだろうと思う。

岩手県宮古市 77歳男性

心身への影響が続いている

“2人に1人”

“2人に1人”

震災による心身への影響について、約半数の人が「影響続いている」と回答しました。このうち福島県の人で「影響続いている」の回答は66%でとくに高くなっています。

およそ7年が経とうとする今、心身への影響が続いていると思いますか?

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このうち福島県では、①、②の回答が66.3%と特に高くなっている。

Q.現在どのような
心身への影響がありますか

※前質問の①、②の回答者(複数回答可)

最近打ち切られた支援

アンケートからの回答

地獄の震災に遭い7年になりますが、いまだ突然悲しみを思い出し涙が出ます。
月日が忘れさせてくれるのかなと気持ちを落ち着かせようと努力していますが、1人でいるとついつい涙が出ます。
そのときは何も考えないよう孫たちが喜んでくれるかなと想像しながら動物やお花などを手芸で編みながら過ごします。

岩手県陸前高田市 75歳女性

復興と言うけれど、全然私には理解できない。家も町もすべて以前と違う。
もうふるさとには帰れない。言葉にはできない。こうして生きていることが、嫌になる。

福島県郡山市に避難 73歳女性

何も理由なく、時々非常に悲しく涙がでる時があります。

宮城県仙台市 68歳男性

いまも被災者意識が抜けない

“2人に1人”

“2人に1人”

いまも被災者という意識があると回答した人は59%にのぼりました。これは、阪神・淡路大震災の被災者へのアンケートで同じ7年で得た回答と比べ2倍多くなっています。

震災から7年で、自分が被災者だと意識しなくなりましたか?

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震災から7年で、地域経済が震災の影響を脱したと思いますか?

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アンケートからの回答

震災から7年になるのにいまだ仮設生活を続けています。
再建する予定の自宅はまだ土地の引き渡しがなされていないので建てられません。
7年が経過すると7歳年をとり、日常の生活も年齢を感じます。
仮の住まいではなく自分の家に住んで初めて復興の一歩だと自覚しているので今は身も心も足踏み状態です。
努力して早く自分の家に暮らしたいと思っております。

岩手県陸前高田市 仮設住宅の75歳女性

7年たってもまさかまだ住まいが落ち着いていないとは考えてもいなかった。
集団移転先の土地の造成が進まず、仮設の集約で去年3月に別の仮設へ移動。
集団移転は30年9月の予定。ストレスや疲れから家族も病気がちになり、私も去年、倒れて半年間入院しました。この7年は、苦しいのひと言です。

宮城県石巻市 仮設住宅の50歳女性

我が家に戻り、元の生活ができるようになり、地域の住民が戻り、以前のような生活を送れるようになれば復興したと感じるかもしれないが、あまりにも長い避難となり、放射能に対する不安や放射能廃棄物を入れた袋が今も農地に山積みになっている現状では無理。

福島県南相馬市に避難 68歳男性

住民の帰還が順調に進まない

“5人に4人”

“5人に4人”

まちを存続できない

“10人に7人”

“10人7人”

福島県の浪江町、飯舘村、川俣町、富岡町の一部で避難指示が一斉解除されてから約1年になり、福島の被災者に帰還の状況などを聞きました。
「帰還が順調に進まない」の回答は8割を超え、「このままではまちを存続できない」の回答が76%にのぼりました。
福島の人たちの強い危機感や焦りが浮き彫りとなりました。

避難指示が一斉に解除されてから地域の今の姿に関して

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アンケートからの回答

地域のつながりは現在全くない。
町全体の帰還住民の交流も全くない。町の行事が再開し、町内外から町民は集まるが、終われば町外へ多くは戻ってしまう。
現状では町は存続できない。
名案はないが、町の計画的な再建への取り組みと町民の活力が一つになって新しい街を作っていくしかないのではないか。

福島県富岡町に帰還 59歳男性

自宅に帰還してから、半年あまり経過しました。
町の復興推進地は順調に進んでいるようですが、少し離れると夜の家庭の明かりが点灯している数が少ないのが淋しいです。
私の行政区でもまったく増えないです。
これからこの地域はどうなるのかと思いますが、現在できることを前向きにやっていくだけです。
農業分野で農地の保全管理作業を実施中です。
景観、防災の面からも、一時帰宅した住民が気持ちよく感じるよう頑張っています。

福島県富岡町に帰還 農業 68歳男性

はたして若い人達は戻るでしょうか?
日常生活に必要な施設は整備されてきておりますが、まだまだ震災前には程遠く、町の存続すら危ぶまれる状況です。
帰還困難区域についてはいまだ放射線量が高く、今後5年以上帰還が見込めない。
国の責任で一刻も早く除染作業を進め、線量を低くして少しでも人間が戻れるようにすべきです。

福島県いわき市に避難 72歳男性

被災地の
未来に向けたメッセージ

アンケートに協力してもらった人からは、未来へのメッセージを寄せてもらいました。

宮城県

宮城県のメッセージ

岩手県

岩手県のメッセージ

福島県

福島県のメッセージ