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メタバースLabo ~未来探検隊~

翔ぶぞ!ガンダム メタバースで

2022.11.18 :

『ガンダムに乗ってみたい』

 

ファンなら一度はそんな夢を思い描いたことがあるだろう。

 

おととし、横浜港に完成した高さ18メートルの「動くガンダム」を作ったのは、アニメの世界に憧れ、いつか自分の手で“本物”のガンダムを作りたい!という目標を持ち続けたエンジニアたちだった。

 

そして『乗る』というファン待望の次の夢は、メタバースで実現する未来が近づいている。

 

それも、自作の機体で、だ。

私の夢がかなう?

横浜港の「動くガンダム」いつか乗ってみたい!©創通・サンライズ
小学生のころ私はSDガンダムシリーズが好きで、ガンプラやジオラマ作りに熱中した。

誰かに見せられるほど完成度は高くなかったが、時間をかけて丁寧に組み上げた機体が完成した時には、誇らしい気持ちだったことを思い出す。

そんな自慢の機体は実際にどう動くのか?どれほどの強さを秘めているのか?

シャア・アズナブルはきっとこう言うはずだ。

「見せてもらおうか、われわれのモビルスーツの性能とやらを」と。

バンダイナムコグループが、メタバースで、その夢を実現しようとしていると知り、ガンダム事業を統括する、藤原孝史CGO(チーフガンダムオフィサー)を訪ねた。
藤原孝史チーフガンダムオフィサー、ホビー事業部など経て就任
緊張のあまり「私もガンダムのファンなんです!」と唐突に告白しながら私が質問をはじめると、藤原さんは、現実を超える体験をガンダムファンに提供したいと語ってくれた。
(藤原孝史CGO)
「自分のモビルスーツでバトルすることが出来る、フィジカルでは絶対にできないサービスですが、ファンが求めていることも事実です。デジタルだからこそできること。それをどれだけメタバースの中で提供できるかがすごく大事だと思っています」

巣ごもり需要で人気再燃、世界的コンテンツに

不動の人気を誇るアニメ『機動戦士ガンダム』©創通・サンライズ
人気ロボットアニメ『機動戦士ガンダム』。

1979年のシリーズ第1話の放送以来、世代を超えて支持されてきた。

アニメ以外でもプラモデルやゲームなど、IP(Intellectual Property=知的財産)としてのガンダムの事業は多岐にわたる。

特にここ数年は、コロナ禍の巣ごもり需要でいわゆる「ガンプラ」の人気が再燃している。
ガンプラ製作に世界が熱中©創通・サンライズ
かつて少年だった国内の大人たちはもちろん、海外でもアニメ放送を通じて認知され、アジアや北アメリカを中心に売り上げが急増しているという。

ガンダム事業の売り上げも、ここ数年伸び続け、昨年の前期は過去最高の1017億円を記録している。
(藤原孝史CGO)
「バンダイナムコだからでなく"ガンダムだから"というのがファンの実態です。ファンとのコミュニケーションが何よりも大事です。ファンが一堂に会する場、ファンが求める最適なメタバースを作らなければいけないと思っています」

ガンダム、メタバースに立つ

開発が進んでいるガンダムメタバースは、アニメに登場する宇宙の居住施設=コロニーをイメージした仮想空間だ。

ユーザーはバンダイナムコIDを取得すれば、誰でもメタバース空間に遊びに行ける。

初期段階では、ガンプラに特化したエリアがオープンする予定で、スマホなどで自作のガンプラをスキャンすることで、自分が組み立てたガンプラの3Dデータを、メタバース空間に取り込める予定だ。
メタバース空間「ガンプラコロニー」のイメージ
取り込んだ自作のガンプラは、メタバース内で展示もできるが、それではただのコミュニケーションツールに過ぎず、メタバースである意味はない。
(藤原孝史CGO)
「ガンダムファンの多くは、自分のモビルスーツに乗ってみたいというのがあります。自分が作ったガンプラを3Dデータとして置き換えて、それをこのメタバースの中で自分で操作してバトルできるようなことを初期段階からサービスとして提供しようと思っています」
つまり重要なのは、現実世界でコントローラーなどを接続することで、自作のガンプラを動かせるという仕掛けだ。

VR技術と組み合わせれば、あたかも自分が乗り込んで操縦している感覚を味わうことも可能になる。
PCゲーム「GUNDAM EVOLUTION」、同様のバトルが自作ガンプラで可能になるかも!?©創通・サンライズ
私たちもガンダムのパイロット、アムロ・レイの名ゼリフ「こいつ、動くぞ!?」と言える訳だ。

さらに、メタバースにバトルエリアを設け、ユーザーどうしが自慢の機体を持ち寄って対戦する「ガンプラバトル」を可能にするという。
(藤原孝史CGO)
「劇中で見たモビルスーツというものを自分で作ると、やはり自分だけの機体なんです。誰がなんと言おうと。説明書どおりに作れば隣の人と同じ物が出来るんだけれども、やはり自分で作った物は隣の人とは違う物だという思いがある」

ガンダムをみんなのモノに

今年度中にクローズドテストが始まる予定のガンダムメタバース。

藤原さんは、対戦による勝敗を楽しんでもらうだけでなく、ファンとの交流から、新たな事業のアイデアが生まれることも期待している。
筆者製作のガンプラ、この機体でのバトルも夢ではない©創通・サンライズ
(藤原孝史CGO)
「ファンとつながることで、新しいガンダムの魅力というものが作れるんじゃないか。われわれが閉鎖的にビジネスをするのではなくて、もっとガンダムを使っていろんなものがつながることによって、もっともっとIPの価値って高められるんじゃないか。新しい可能性が見えてくるんじゃないかという期待が大きい」

私たち、そしてみんなのガンダムへ

藤原さんは、これからは、"ガンダムで何が出来るか"をファンが自由に考え、メタバースの力によってそれを実現していくことこそが最も大切だと語った。
質問に答える藤原さん、終始「ファンが第1」と語ったことが印象に残った
(藤原孝史CGO)
「ガンダムに関してはIPという考え方から、SP(Social Property=社会的アイコン)という考え方にしていきたいんです。必ずしもバンダイナムコが全部をやるんじゃなくて、ファンどうし、好きな人どうしがやることによって、というのがガンダムにとって一番大事だよね!という考え方です。40数年たって、自分のガンダムに乗り込み、操作が出来る未来が見えてきたが、それがゴールではない。また次の新たな妄想を提供できる可能性があると思います。ガンダムの中での、いろんな"やってみたい"ということが、メタバースによってどんどん実現されていく。そういう期待をぜひしてほしいと思います」
アニメ『起動戦士Zガンダム』の中で、クワトロ・バジーナことシャア・アズナブルはこう言い放った。

「新しい時代を作るのは老人ではない!」

そう、ガンダムの新しい世界を作るのは、私たちファンなのだ。
ガンダムメタバースの今後の開発に期待したい

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科学文化部 記者

植田 祐

2012年入局。山形局、福島局、福井局を経て2022年から科学文化部。美術、歴史・考古学、消費者問題、ITと幅広い分野を担当。福島、福井では原発取材を経験。現在は古来の文化・芸術を学ぶ一方で、最新のカルチャーも追いかけています。

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