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記録を残した『ゴルゴ13』
さいとう・たかをさんが込めたメッセージ

2021.07.13 :

7月5日、さいとう・たかをさんの人気劇画作品「ゴルゴ13」の単行本201巻が発売された。漫画シリーズとして発行巻数の多さで「ギネス世界記録」だった「こちら葛飾区亀有公園前派出所」を上回り、新たな世界記録として認定された。
作者のさいとうさんが連載を始めたのは、今から53年前。
それから半世紀、連載を途絶えさせず、多くの読者に愛されてきた。
寡黙ながらも周囲に流されず、与えられた任務を遂行する主人公を通して、さいとうさんが伝え続けるメッセージとは。

ギネス記録は「正直驚き」

“大人の鑑賞に耐えうる漫画”=「劇画」を定着させようと取り組んできた、さいとう・たかをさんが1968年から半世紀以上にわたって小学館の漫画雑誌、「ビッグコミック」で連載を続けてきた、「ゴルゴ13」。

国籍不明の寡黙なスナイパーが世界を舞台に暗躍する姿を描いたこの物語。

確実な依頼の遂行に最大限の努力を払い、国家権力にもこびない孤高とも呼べる姿勢が、多くの読者に支持されてきた。

ギネス世界記録に認定されたことを受けて、さいとうさんはコメントを発表した。
さいとう・たかをさん
「『ゴルゴ13』は昭和43年、まだ子供向けの漫画が主流だった時に、編集部から『大人が読むに耐えられる主人公で作品を作って欲しい』と言われて連載が始まりました。連載開始時に最終回のコマ割りまで考えていて、当初は10話で終わるつもりだったゴルゴが、気がつけば10年経ち20年経ち、50周年の時に結構長く続けたなと思っていたら、201巻でギネス世界記録認定と言われ、正直驚いております。これも偏に、スタッフの皆さん、出版関係者の方々、そして何よりも、ゴルゴをいつも楽しみにしてくれている読者の皆さんの存在あってこその記録です。感謝しかありません」

「常に新しさを加える」

作品には、東西冷戦をはじめ、テロや民族紛争など、最新の国際情勢がテーマとして取り入れられ、政治家やビジネスマンからも人気を集める要因になっている。

最新巻でも暗号資産を使った金融システムをめぐる物語が描かれている。

この狙いについて、さいとうさんに聞いた。
さいとう・たかをさん
「最新の社会情勢や国際問題を取り入れると、そこにはリアリティーが生まれ、作品との距離感も近くなります。また刻々と変化する“今”を取り入れることで、常に新しさを加えることができます」

「ひとりでは描けて10話分」

この最新の社会情勢や国際情勢を取り入れる手法。50年以上にわたる長期連載にも関わらず、常に新しいアイディアが継続的に読者に提供されている。
その秘密は、さいとうさんが、複数の脚本家の協力を得たり、作画を分業したりする「漫画プロダクション」の仕組みをいち早く取り入れてきたことにある。
さいとう・たかをさん
「様々な分野に詳しい脚本家や協力者の協力があって、これまで600話を超えるストーリーを書くことができました。私ひとりでは描けて10話だったと思います。スタッフの分業制もしっかりと機能して、これまで多くの劇画を生み出すことができました」

「体力持つ限り描き続けたい」

累計発行部数は3億部を超え、2年後の2023年には連載から55年の節目を迎える。
今後に向けて、さいとうさんは力強いメッセージを寄せてくれた。
さいとう・たかをさん
「続けられる限り、体力が持つ限り描き続けたいです。『ゴルゴ13』は私の作品であると同時に、読者のものでもありますから、いつも待ってくれている読者のために1話1話ひとつずつやっていきたいと思います。 
危機的な状況下でも諦めず立ち向かうゴルゴ、私も何事にも諦めずに描き続けていきますので、どうぞよろしくお願い致します」
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科学文化部記者

富田良

記者を志望する時に持っていた「小さい声を届けたい」という思いが、いつしか「ほかの人が注目していないけれど発信すべき人物や話題を取り上げたい」という方向にシフトチェンジ。いろんな分野に関心を持って手を出し、ゼロから勉強する…という繰り返し。興味は尽きません。

前任地の長崎で経験した原爆・平和関連の取材は、ライフワークとして何らかの形で携わり続けていきたいと思っています。文化担当ですが休みはスポーツに時間を割いており、特に走ることが生きがいになりつつあります。マラソンや駅伝の企画を作ることがひそかな夢。

 

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記事の内容は作成当時のものです

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