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ノーベル賞 授賞式へ!吉野彰さんスウェーデンに出発

2019.12.05 :

リチウムイオン電池の開発で、ことしのノーベル化学賞に選ばれた吉野彰さんがスウェーデンで開かれる授賞式に向けて12月5日、日本を出発しました。日本時間の今月11日未明にスウェーデンの首都、ストックホルムで開かれる授賞式に出席します。

出発を前に吉野さんは5日午前、成田空港で妻の久美子さんとともに記者会見しました。
吉野さんは「緊張はしていませんが、授賞式でのスピーチの最後のしめくくりをどうするか決めかねています。直前までゆっくり考えたいです」と心境を語りました。
また、授賞式の前に開かれる記念講演について、「受賞理由として、リチウムイオン電池が環境問題に貢献したことが挙げられているので、記念講演でも、環境問題に対して解決の道筋を示すようなメッセージを送りたい」と意気込みを述べました。
久美子さんは「受賞が決まってからあっという間に日が過ぎて、この日を迎え、いよいよという感じです」と話していました。
このあと吉野さんは笑顔を見せながら家族や同行者らとともに出発しました。吉野さんは日本時間の6日未明、ストックホルムに到着する予定で、8日に記念講演を行い、11日未明に授賞式に臨むことになっています。

いよいよ授賞式へ 吉野彰さんってどんな人?

吉野彰さん(71歳)は大阪・吹田市出身。
京都大学工学部に入学した際に、大学では「いろんなことをした方がいい」と言われたこともあり、サークルは考古学研究会でした。サークルでは遺跡の発掘調査のアルバイトなどをやっていたということで、吉野さんは今も歴史番組を見るのが大好きだと言うことです。
吉野さん曰く、「遺跡の発掘は、さまざまな実験をしながら真の発見に近づいていく研究開発と似ている」ということでした。
大学では、米澤貞次郎教授の研究室に所属しました。米澤教授は、1981年に日本人として初めてノーベル化学賞を受賞した福井謙一氏の教え子です。つまり、吉野さんは福井謙一さんの孫弟子にあたるのです。この研究室は、米澤教授の方針もあって、興味を持った事はどんな事でもとことん突き詰めるという、進取の気質に満ちた場所でした。ここで新しいことに挑戦する心と技術を学んだ吉野さんは、修士課程を修了すると、大学研究者の道は選ばす、旭化成に入社して企業研究者の道に進むことになります。
ところが、吉野さんも、企業研究者としての道のりは順調ではありませんでした。入社後に関わった3つの研究は失敗が続き。30代に入って4つ目のテーマとして選んだのが新しい充電池の開発でした。
これが「リチウムイオン電池」の誕生につながります。
吉野さんが研究に取り組む上で、大切にしていることとしてよく口にするのが、「執着心」と「柔軟性」という言葉です。ゴールにむかって最後まであきらめない執着心。そして、壁にぶち当たったときには、ある時は乗り越え、またある時は回り道をしながら、「なんとかなる」という柔らかい気持ちをもつこと。この2つがそろうことで、研究は前に進んでいくそうです。

また、最近は、若者に研究の面白さを伝えることにも特に力を入れています。愛知県にある名城大学で、毎週1回大学院生に対して講義を行っているのです。また、ノーベル賞の受賞が決まったあとには、岐阜県で開かれた子ども向けのイベントにも登場して、小中学生にリチウムイオン電池が実現する未来像を伝えていました。
いよいよノーベル賞の授賞式に臨むことになった吉野さん。
次なる目標は、リチウムイオン電池の技術をさらに発展させて、「環境問題への貢献」を本格化させることだそうです。その実現には、いくつかの革新的な技術が必要となってきます。吉野さんのバイタリティーと笑顔が新たなイノベーションをもたらしてくれるかも知れません。
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