文化

日本のアニメ制作会社がIOCと共同で短編映画制作へ

日本のアニメ制作会社がIOCと共同で短編映画制作へ

2019.06.11

フランスで世界最大級のアニメーションの映画祭が開幕し、来年のオリンピック・パラリンピックに向けて、日本の制作会社がIOC=国際オリンピック委員会と共同で短編映画を作ることを発表しました。

フランス南東部アヌシーで10日開幕したのは、世界最大級のアニメーションの国際映画祭で、コンペティション部門には94か国から200作品余りが参加しています。

ことしは、20年ぶりに日本の特集が組まれ、初日から大勢の人たちが集まりました。

開幕に合わせて日本のアニメーション制作会社「スタジオポノック」は、来年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、IOCと共同で短編のアニメーション映画を作ることを発表しました。

作品は、友情や尊敬といったオリンピックの精神を盛り込んだ内容になるということで、来年春には完成させ、東京大会以降の開催地でも上映される予定だということです。

「スタジオポノック」の西村義明プロデューサーは、「完成したら、またアヌシー映画祭の場に持ってきたいと思います」と話していました。

ことしの映画祭には、長編のコンペティション部門に、日本から湯浅政明監督の「きみと、波にのれたら」、原恵一監督の「バースデー・ワンダーランド」、櫻木優平監督の「あした世界が終わるとしても」の3作品がノミネートされていて、最高賞にあたる「クリスタル賞」への期待が寄せられています。

日本のアニメーション制作会社「スタジオポノック」の西村義明プロデューサーと、オリンピック文化遺産財団のフランシス・ガベディレクターは共同制作の発表後、映画祭の会場で記者会見を行いました。

この中で、西村氏は「グローバル化の中で、多くの競争が生まれているが、その競争の末に子どもたちにどんな世界を見せたいかを1つの柱にしたい」と話し、短編映画づくりへの意気込みを示しました。

また、ガベ氏は「世界中の子どもたちにとって何年もの間、心に残る作品にしたいし、夢は強く願えばかなえられるものだと伝えられるものにしたい」と話していました。

スタジオポノックが依頼を受けた経緯は

スタジオポノックは、平成27年に東京都内に設立されたアニメーションスタジオで、これまでに、スタジオジブリから独立した米林宏昌監督の「メアリと魔女の花」や、3人の監督の短編作品を集めた「ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間ー」という作品を発表しています。

世界でも初めてとなる短編アニメーション映画を手がけることについて、西村プロデューサーは、「IOCは、オリンピズムの精神を若い人に伝えたいと依頼してきた。私たちも子どもたちに向けて作品を作っているので、伝えたい対象が近しいと感じた。これならば一緒に映画を作れると思いました」と依頼を受けた経緯を明かしました。

そのうえで、「オリンピックという4年に一度の祭典に、アニメーション表現で参加できるということは全く考えていなかった。子どもたちの好奇心や楽しみを、さらに盛り上げていければと思う」と話していました。

今後、作品づくりが進められ、上映は東京のあとの開催地でも行われる予定です。

西村氏は「選手たちは自分たちの国や家族、4年間の修練を背負って競技に参加し、勝つ人間も負ける人間もいる。競争のあとにオリンピックは何を見せてくれるのかというのが、今回のアニメーションのテーマだと感じている」と説明したうえで、「日本のお客さんだけでなく世界の子どもたちが見ると思った時に、どういう表現がいいんだろうかとか、オリンピックの精神性を表現できるのだろうかとか、楽しい挑戦です。チャレンジに値すると考えています」と意気込みを語っていました。

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