科学と文化のいまがわかる
原子力
2019.05.31
福島第一原子力発電所2号機の使用済み燃料プールから核燃料を取り出す方法について、東京電力は、原子炉建屋の上部を解体したうえで、燃料を取り出すこれまでの案に加え、建屋を解体せず、壁に空けた穴からクレーンなどを入れて燃料を取り出す案も含めて検討していることを明らかにしました。
福島第一原発2号機の使用済み燃料プールには、615体の核燃料が残されていますが、1号機や3号機と違って水素爆発を起こしていないため、建屋内の放射線量が高く、これまでは、建屋の上部を解体したうえで、新たなクレーンなどを設置して燃料を取り出す方法が検討されてきました。
しかし、調査の結果、燃料プールのあるフロアの放射線量が低下しつつあるとして、東京電力は、建屋を解体せず、壁に空けた穴からクレーンなどを入れて、燃料を取り出す案を検討していることを明らかにしました。
粉じんが飛散するリスクや、建屋の解体とその後の作業による作業員の被ばくを抑えるメリットがあるということです。
また、建屋の最上階の床面の除染や遮蔽を行うことで、短時間であれば、人が立ち入って、作業ができる見通しも得られたとしていて、東京電力は、今年度中に工法を決めたいとしています。
東京電力福島第一廃炉推進カンパニーの小野明代表は「建屋を解体しなくても、燃料を取り出せる工夫があれば、しっかり検討する価値がある。遮蔽をしてどこまで放射線量が下がるかを見て、検討したい」と話しています。