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科学
2019.05.28
文部科学省はことしの科学技術白書をまとめ、日本の基礎研究の世界的な存在感の低下が懸念されるとし、「今後どのように活性化させ、展開していくか、国民的な議論と共通認識の醸成が求められる」と指摘しています。
28日閣議決定されたことしの科学技術白書は第1部で基礎研究をめぐる現状と課題をとりあげています。
この中で、基礎研究の重要性について「将来の社会や生活にまったく新しい価値をもたらすことができる社会発展の基盤」と位置づけています。そして日本の現状について、これまでノーベル賞級の成果を数多く生み出してきたものの、近年は質の高い論文の数の国別の順位が落ちているなどとして、「基礎研究に関して、世界的な存在感の低下が懸念される」と警鐘をならしています。
そのうえで、青色LEDの研究でノーベル賞を受賞した名古屋大学の天野浩教授が1500回以上、実験を繰り返した例などを紹介し、基礎研究は時間がかかったり成果がわかりにくかったりすることから、長期的な視点での育成が必要だとしています。
そして、最後に「研究力をどのように活性化させ、展開していくか、日本は大きな岐路に立たされており、国民的な議論と共通認識の醸成が求められる」と指摘しています。
※科学技術白書はこちらから(※NHKのサイトを離れます)
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpaa201901/1411294.htm