文化

平家一門の屋敷の一部か 堀の跡見つかる

平家一門の屋敷の一部か 堀の跡見つかる

2019.05.19

平安時代後期に勢力を伸ばした平家一門の屋敷の一部とみられる堀の跡などが京都市内の発掘現場で見つかり、19日、一般向けの現地説明会が行われました。この付近に平家が拠点を築いたことは記録に残っていましたが、実際に遺構が見つかるのは初めてだということです。

遺構が見つかったのは、清水寺から西に1キロほどにある京都市東山区の「六波羅」と呼ばれる地域です。

ホテル建設に伴って、民間の発掘調査会社が去年12月から調査を進めていました。

堀の跡は東西に長さ15メートル、深さ1メートル40センチで、いちばん上の部分の幅は3メートルほどですが、深くなるほど狭くなっています。

南側に土塁が積まれた跡があることから南に屋敷が広がっていたとみられ、堀の中からは平安時代後期に当たる12世紀ごろの土器が多く出土したということです。

発掘調査会社によりますと「平家物語」には当時、この付近に平家一門の軍事的な拠点が築かれたとされていて、見つかった堀は、その一部と見られるということです。

この地域で、平家一門のものとみられる遺構が見つかるのは初めてだということです。

発掘調査を行った「文化財サービス」の菅田薫調査員は「この地域には5200ほどの平家の屋敷があったとされていたが、具体的には分かっていなかった。今後、発掘調査の積み重ねで明らかになっていくのではないか」と話していました。

専門家「文献を裏付ける貴重な発見」

京都市東山区の発掘現場で見つかった遺構について、考古学が専門で京都産業大学文化学部の鈴木久男教授は「平家の遺構が六波羅で見つかったのは初めてで、文献資料を裏付ける貴重な発見だ。堀の形状や残り具合を見ると、よく土を選んで計画的に作られていたことがうかがえる」と話していました。

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