科学と文化のいまがわかる
その他
2019.05.13
世界各国の科学者などでつくる国連の専門機関が、より実態に近い温室効果ガスの排出量を各国が算定するための新たなガイドラインを公表しました。人工衛星を使って地上の二酸化炭素の排出量を推定することなどが盛り込まれています。
このガイドラインは、12日まで京都市で開かれていたIPCC=「気候変動に関する政府間パネル」の総会で、およそ130の国や地域の科学者や政府の担当者などが、温室効果ガスの排出量の算定方法をまとめたもので、13日公表されました。
ガイドラインは13年ぶりに見直され、最新の科学的な知見を取り入れることで、各国はより実態に近い排出量を算定できるとしています。
そのうえで、新たな方法として、人工衛星で宇宙から観測した地上の二酸化炭素のデータなどをもとに、各国の排出量を推定することが盛り込まれています。
さらに、新たなエネルギーとして注目される「水素」を作る際に出る二酸化炭素を排出量に加えることなどが示されています。
地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」を締結したすべての国は、来年以降、温室効果ガスの排出量などを国連に定期的に報告することが義務づけられます。
新たなガイドラインは、パリ協定の締約国会議で合意されれば、正式に導入されることになっていて、各国が報告する排出量が正しいかどうかの検証や世界全体のより正確な排出量の把握に役立つと期待されています。
IPCCのイ・フェソン(李会晟)議長は、記者会見で、「ガイドラインは、排出量の報告の透明性を高め、パリ協定の確実な実行に役立つだろう」と述べました。