文化

「ショーケン」萩原健一さんが死去 68歳

「ショーケン」萩原健一さんが死去 68歳

2019.03.29

「太陽にほえろ!」や「傷だらけの天使」などのテレビドラマで人気を集め、「ショーケン」の愛称で親しまれた俳優で歌手の萩原健一さんが26日、東京都内の病院で亡くなりました。68歳でした。

萩原健一さんは昭和25年に埼玉県で生まれ、バンド「ザ・テンプターズ」のボーカルとして10代でデビューし、当時のグループ・サウンズブームの中で、「エメラルドの伝説」などのヒット曲を飛ばし、「ショーケン」の愛称で一躍人気を集めました。

バンドを解散したあとは俳優として活動の幅を広げて、数多くの作品に出演し、昭和47年に始まった民放のテレビドラマ「太陽にほえろ!」では、新人刑事の「マカロニ」役で人気を集めたほか、主演ドラマ「傷だらけの天使」では、粗暴で仁義に厚い探偵の役がはまり役となり、相棒を演じた水谷豊さんとともに、若者から大きな支持を得ました。

一方で、俳優のいしだあゆみさんとの結婚とその後の離婚や、大麻不法所持での逮捕など、私生活が注目されることもありました。

萩原さんは近年もソロミュージシャンとしての音楽活動や俳優業を続け、おととしにはデビュー50周年を記念したライブツアーを行ったほか、去年9月から放送されたNHKの土曜ドラマ「不惑のスクラム」に出演するなど、精力的に活動を続けていました。

所属事務所によりますと、その一方で平成23年から闘病を続けていたということで、26日午前10時半、消化管間質腫瘍のため、東京都内の病院で亡くなったということです。

萩原健一さん死去 共演者などが追悼の投稿

萩原健一さんが亡くなったことを受けて、ツイッターには親交のあった著名人などから、悼む声が投稿されています。

このうち、萩原さんが去年出演したNHKの土曜ドラマ「不惑のスクラム」で共演するなどした夏木マリさんは、28日夜にツイッターを更新しました。

夏木さんは、萩原さんとのツーショットの写真とともに、「この撮影が終わったら、入院するんだよとおっしゃっていたのを思い出します。炎天下の屋上で集中されていた姿は、70年代に私が憧れていたショーケンに優しさも加わって素敵だなと見惚れておりました。音楽の話も楽しかった、悲しいです」と投稿しました。

また、映画で共演したこともある俳優の鶴見辰吾さんは「今まで、俺は演じる上で、萩原健一を意識しなかったことはない」と短く追悼の言葉をつづっています。

このほか、同世代の小説家、高橋源一郎さんは「ショーケン、亡くなったのか。寂しくなるな。同じ学年だったんだよね。だから、ずっと聴いて、見てきた。今日は、この曲を聴いて追悼します」と、若き日の萩原さんのステージの動画とともにツイートしています。

また、漫画家の江口寿史さんは「ショーケン死んじゃった、、、おれらの世代にはとてつもなくでかい存在だったんだよ」とその死を悼んでいました。

惜しむ声相次ぐ

萩原健一さんが亡くなったことについて、街の人たちから惜しむ声や驚きの声が聞かれました。

このうち63歳の男性は「歌手や俳優として個性的だっただけに残念です。『傷だらけの天使』や『前略おふくろ様』といったドラマが印象に残っています」と話していました。

また、60歳の男性は「この前までテレビに出ていたので、まさかという気持ちです。重みのある俳優がいなくなり悲しいです」と話していました。

さらに、50代の女性は「ハンサムで、私にとって昭和のアイドルでした。個性的であのような俳優はもう出てこないと思います。昭和が終わり、平成も終わろうとするなか、時代が変わっていくんだなと寂しい気持ちになります」と話していました。

本人の希望で病名公表せず

所属事務所によりますと、萩原さんは平成23年から闘病を続けてきましたが、本人の強い希望で公表を控えていたということです。

本人の遺志にしたがって、葬儀は家族のみで営まれ、お別れの会などを行う予定はないということです。

妻の萩原理加さんは「これまで本人の強い意向により、病のことは公表せずにまいりました。最期は、とても穏やかで安らかに、ゆっくりゆっくり、眠る様に息をひきとりました」などとコメントしています。

消化管間質腫瘍とは

国立がん研究センターのホームページによりますと、萩原健一さんが闘病していた「消化管間質腫瘍」は、英語の頭文字をとって「GIST」と呼ばれています。

食道や胃や腸などの消化管の表面の粘膜の下にできる悪性腫瘍の一種で、病気の発生の頻度は10万人に1人から2人と少なく、希少がんの1つに位置づけられています。

吐き気や腹痛などの症状が現れることがありますが、自覚症状は少なく、発見が遅れるケースがしばしば見られるということです。

手術で腫瘍を取り除くほか、転移している場合などには薬による治療も行いますが、完治は難しく副作用をコントロールしながら治療を継続することが重要になるとされています。

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