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科学
2019.03.26
京都大学の教授が発表した熊本地震に関する論文で、掲載された図に改ざんや盗用があったとして、大学は論文の撤回を勧告し、処分を検討しています。
京都大学大学院理学研究科の教授らのグループは、3年前の熊本地震で起きた断層の破壊が、阿蘇山のマグマだまりによって止まった可能性があるという内容の論文を科学雑誌の「サイエンス」に発表しましたが、「図や表に多数のミスがある」といった通報があり、大学が調査を進めていました。
京都大学は調査結果を公表し、東京大学の教授らが作成した断層のずれの量を示す図を上下を逆に引用したり、ほかの研究データを出典を示さずに使ったりするなど、結論を導く6つの重要な図のうちの4つで改ざんや盗用があったと認定しました。
大学は論文の撤回を勧告し、処分を検討していますが、教授は「図や表の間違いは認めるが、結論は間違っていない」と話しているということです。
京都大学の潮見佳男副学長は「このような事態が生じたのは極めて遺憾で、関係者、国民の皆様におわび申し上げます」と謝罪しました。
熊本地震をめぐっては、大阪大学が元准教授の複数の論文で、地震計のデータなどに改ざんやねつ造があったとする調査結果を今月、公表しています。