党首演説のポイント(政治部・安藤和馬記者)

        政治部・安藤和馬 記者

        各党が演説でもっとも時間を割いているテーマは「年金・社会保障」、次いで「消費税・経済政策」。特に年金は、いま制度そのものへの不安や関心が高まっているので与野党とも力を入れています。

        そのほかに多く語られていたテーマが「憲法」です。
        実は安倍さんが国政選挙で「憲法」をここまで積極的に取り上げるのは、今回が初めて。国会での憲法論議が進まないので、野党の消極的な姿勢を批判し、違いを際立たせたい考えです。
        これに対し共産党と社民党は憲法改正に反対で、憲法を守り、いかす政治を訴えています。
        一方、立憲民主党や国民民主党、公明党、日本維新の会は憲法については「0%」。「国民の関心が高いのは暮らしや経済であり、憲法への関心は高くない」としています。議論から逃げているわけではなく、憲法は、優先順位が低いので、わざわざ街頭演説では取り上げない、という考えといえます。

        こうしてみると、安倍さんは憲法改正の議論を提起していますが、党によって温度差があり、必ずしも、かみ合った議論になっているとは言えないと思います。

        今回分析したのは、選挙戦序盤の2日間の演説です。選挙期間の中で、演説の重点や内容が変わっていくこともありますので、担当記者として、どう変化していくか見ていきます。
        さらに、どの党首も威勢の良い言葉や、聞こえの良い言葉を使いますが、本当に信用できる党首や政党はどこか。実際に、演説に耳を傾けてみると見えてくるかもしれません。

        さらに詳しい分析は、NHK政治マガジンの記事をご覧ください

        中盤の演説のポイント(政治部・安藤和馬記者)

        政治部・安藤和馬 記者

        選挙戦中盤の7月13日と15日に行われた党首演説を分析して、序盤の演説と比較しました。
        こちらは7政党のうち「与党」の分析グラフです。
        与党は年金や他党批判のボリュームがやや増えています。年金制度を丁寧に説明しているほか、民主党政権を批判し、安定した政権運営の継続が重要だと一貫して訴えています。

        対する野党は、中盤になると年金の時間はやや減って経済政策や雇用問題にあてる時間が増えています。
        賃金が上がっていないなどアベノミクスを批判したり、家計に重点を置いた経済政策を訴えたりしています。そのほうが支持者に響くと判断したんだと思います。

        では序盤でも分析した、「各党が憲法改正を取り上げた時間」に変化はあったかどうか。

        グラフ上に数字が書かれているのが「憲法」の項目です。「憲法」について取り上げたのは3党のみ、という傾向は序盤と変わっていません。
        争点の一つの「憲法」については、かみあった議論には、なっていないんです。
        他の4党は、「憲法改正よりも暮らしや経済のほうが有権者の関心が高い」として、優先順位が低いので、取り上げないという考えなんです。

        投票日はこんどの日曜日、21日です。党首や候補者の演説を聞き比べて投票の判断材料にしてもらいたいと思います。

        • 7月4日と6日、13日と15日に各党首が行った街頭演説の内容を分析し、テーマごとの「時間配分」をグラフにしました。
        • 「その他」は、あいさつや個人候補の応援などです。