Q&A475

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どうなる?どうする? 私たちの鉄道

全国の地方鉄道は危機的な状況にあるーーー。 国土交通省はこのように訴え、地方鉄道の抜本的な見直しも視野に、有識者による会議で議論を進めています。 今、各地の鉄道で何が起きているのでしょうか。3月9日の「ニュース シブ5時」で永野解説委員が解説しました。

阿部
アナ

国土交通省の有識者会議とはどのようなものですか?

永野
解説委員

やや長いですが、正式名称は「鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会」と言います。

2022年2月14日

地方鉄道は長年、「地域の移動の足」としての役割を担ってきました。
しかし、人口の減小などに加え、長引くコロナ禍によって、利用者の落ち込みが続いています。

こうした状況に、国土交通省は、鉄道事業者の経営努力のみに委ねていては、「地域の移動の足」がなくなってしまうおそれもあるとして、危機感を強めているんです。

庭木アナ

地方鉄道の利用者はどれくらい少なくなっているのですか?

永野
解説委員

キーワードは「輸送密度」。
鉄道1キロメートルあたり、1日に平均で何人運んだかを示す、鉄道経営にとって重要なデータです。

35年前(1987)の旧国鉄の民営化にあたっては、輸送密度が4000人未満の路線はバス転換の目安の1つとされました。

輸送密度4000人未満のJRの路線は、2019年度、地図で示したように全国にあることが分かります。
このうち赤色は、輸送密度がさらに半分の2000人未満の路線です。
中には200人に満たないところもあります。

こうした輸送密度4000人未満の路線はコロナ禍でさらに増え、直近では半分を超えたとされています。

阿部
アナ

厳しいですね。
だから有識者会議で議論が進められているわけなんですね。

永野
解説委員

そうなんです。
ただ、地方鉄道を取り巻く環境が厳しさを増す一方で、この会議の竹内健蔵座長は2月の初会合でこのように発言しています。

「地方鉄道というと、すぐ『廃止するのかしないのか』になってしまいがちだが、いろんな知恵を出していただき、単に廃止する・しないではなく、利用者本位の望ましい解決策を見いだしていきたい」

庭木アナ

望ましい解決策と言っても、すごく難しいように感じます。

永野
解説委員

そうですよね。
すぐに効果があがる、いわば「特効薬」はありませんが、「地域の移動の足」を守ろうという取り組みは各地で行われています。

▽例えば「上下分離方式」。鉄道の運行は事業者が担う一方、下の部分、つまり線路や用地は自治体などが保有し、事業者の負担を軽減しようというものです。
鳥取県の若桜鉄道などで採用されています。

▽また、富山市では、廃線になったJRの線路を市が譲り受けた上で、最新技術を取り入れた路面電車=LRTを導入。
4つの駅を新たに設けるなどの工夫によって、廃線前よりも利用者数を伸ばすことができたということです。

▽このほか、災害の被害を受けた路線などでは、鉄道からバスによる交通システムに転換し、運行本数を増やすことで、利便性の向上につなげている例もあります。

阿部
アナ

今後、有識者会議の議論はどう進みますか?

永野
解説委員

有識者会議は、ことし7月に「提言」をとりまとめる方針です。

これまで鉄道会社は、利用者の多い都市部で得た収益をもとに、地方の赤字路線の維持を図ってきましたが、そのモデルはコロナ禍で限界に近づきつつあるとも指摘されています。

路線の存続か、廃止かの二者択一ではなく、地域の特性に応じた利用者本位のサービスを将来にわたっていかに提供していくのか。

JR、私鉄を問わず、鉄道会社と自治体が建設的に協議できる場をつくり、国がこれを政策的に後押ししていく仕組みが求められます。