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販売休止も!?フライドポテト どうなっているの?

「ハンバーガーと、あとフライドポテトをセットでください」

ふだんなにげなく食べている「フライドポテト」。ところが、商品を提供する外食業界ではいま、原材料の在庫の不足に悩んでいて、一部の商品が販売できなくなった店も出ています。ポテトにいったい何が起きているの?この状態、いつまで続くの?

流通業界担当の佐野裕美江記者が解説します。

そういえば、大手のハンバーガーチェーンではつい先日まで、大きいサイズのフライドポテトの販売を休止していましたね。

佐野記者

日本マクドナルドは、フライドポテトのMサイズとLサイズについて、全国およそ2900のすべての店舗で、ことし1月9日から販売を休止しました。この対応は1か月近く続き、2月7日にようやく販売を再開しました。

この会社では去年の年末にも1週間、同じ商品の販売を休止していて、これが2度目です。

原因はいったい何だったんですか?

佐野記者

フライドポテトには、北米産の加工したジャガイモが原材料に使われていますが、世界的な物流網の混乱などが原因で輸入が遅れたために販売を一時休止したと会社では説明しています。

フライドポテトをめぐるこうした動き、他の外食企業にも広がっているんですか?

佐野記者

そうなんです。

ハンバーグやファミリーレストランのチェーンなどでは、フライドポテトの販売休止や原材料の調達先の変更などの対応に追われています。

こちらをご覧ください。

やはり物流の混乱が原因なんですか?

佐野記者

そうですね。

ハンバーガーチェーンを運営する「ファーストキッチン」は、冷凍したポテトを北米から輸入しているのですが、輸入の遅れによって原材料の在庫が不足し、一部の商品の販売が休止に。

「びっくりドンキー」では、ベルギーから冷凍ポテトを輸入して提供していますが、船便の経由地である韓国やシンガポールの港でも人手不足が続き、積み替えが遅れていることなどが理由だとしています。

一方、「デニーズ」では、現在は、北米産のポテトの提供を再開していますが、状況によっては再び調達先を変更することも検討したいとしています。

世界的な物流網が混乱しているということですが、具体的にはどんな状況なんですか?

佐野記者

JETRO=日本貿易振興機構によりますと、アジアとの貿易の玄関口になっているアメリカ西海岸の港では、ことし1月中旬の時点でも、合わせて100隻近い船が入港待ちになっているということで、こうした状況はいまも続いているそうなんです。

また、オミクロン株の感染拡大によって、港で働く作業員や荷物を運ぶトラック運転手が足りずに荷物をさばききれなくなり、コンテナそのものの不足にも拍車をかけているんです。

それに今回、じゃがいもならではの事情もあったようです。

じゃがいもならではの事情とは?

佐野記者

カナダの水害(2021年11月)

カナダ、バンクーバー港近くで起きた水害も影響し、加工したじゃがいもの輸送に大幅に遅れが出ました。

今回影響が出た北米産のじゃがいもは、冷凍用の特殊なコンテナを使用するため、通常のコンテナよりも数が少なくより物流の混乱の影響を受けやすいということです。

外国産の輸入が厳しいなら、国産に切り替えることはできないのでしょうか?

佐野記者

中には、国産の原料を扱っていて影響を受けていないという企業もあります。

「フレッシュネスバーガー」は、北海道産のじゃがいもをフライドポテトの原料に使っていて、物流網の混乱による影響はないとしています。ただ、世界の食料事情に詳しい専門家は、企業が原材料の調達先を変更するのは、簡単ではないとしています。

資源・食糧問題研究所 柴田明夫代表

「輸入が中断したので国内の北海道産に代替すればいいという言い方もあるが、企業も形などにこだわりがあって、代替できないじゃがいもが使われている例も多いのが現状です」

いったいどういうことですか?

佐野記者

アメリカのじゃがいも農家でつくる団体によりますと、フライドポテト用として北米で加工されるじゃがいもの多くは、日本で、ほとんど生産されていない「ラセット種」と呼ばれる品種です。

ラセット種?どんな品種なんですか?

佐野記者

ラセット種のじゃがいも

ラセット種は、日本で生産される男爵いもと比べると、大きさが2倍以上だといいます。

団体では、この大きな形状だからこそ、長いフライドポテトが作れるとPRしています。さらに、水分量が少ないなど食感に関わる特徴もあり、この品種を使っている企業にとっては、国内産などに切り替えるのは難しいのではないかということです。

以前のように、フライドポテトをいつでも食べられるよう、早く元に戻ってほしいです。供給不足はいつまで続くのでしょうか?

佐野記者

今後の見通しについて、資源・食糧問題研究所の柴田明夫代表は、断続的に不安定な状況が続くと話しています。

「今後、じゃがいもの生産は拡大の方向に向かうと思うのですけれども、供給の安定が保たれ確保できるのかというと、なかなか難しい面があると思います。オミクロン株の世界的な流行は止まっていないし、依然として労働者の不足の問題や、コンテナの不足・偏りの問題が残っているので、断続的に不安定な状況が続くのではないかと思います」

フライドポテトの供給が不安定な状態は、まだしばらく続きそうですね。