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10万円給付“事務費”論戦 なぜクーポンにするの?

新型コロナで影響を受けた人の支援策として、政府の経済対策に盛り込まれた18歳以下への10万円相当の給付。現金とクーポンの2回に分けることで事務費が900億円程度多くかかるなどとして、国会で論戦が繰り広げられています。どのような背景があるのでしょうか。

「給付にかかる事務費」と言われてもピンとこないけれど、何にかかるの?

一般的には、給付に関して▽対象者への通知などの郵送代、▽振り込みの手数料、それに▽実際に給付事務を担う自治体の職員の人件費などに使われるものです。

政府は今回の給付について「5万円は現金給付で、残る5万円相当はクーポンを基本に給付する」としています。

現金とクーポン、それぞれ事務費はどれくらいかかるの?

一覧にまとめました。

事務費1247億円は事業費全体(1兆9400億円あまり)の6%程度ですが、給付方法で比較すると、クーポンによる給付に必要な事務費が、現金給付の3倍あまりとなっていることがわかります。

そこで野党などからは、「半分をクーポンにすることで、経費が膨らんだ」といった批判が出ているんです。

なぜ政府は半分をクーポンにしたのでしょうか。

政府は、2つの理由を挙げています。

1つは、使用目的を子育てに限定し、より直接的な支援につなげられること。

もう1つは、クーポンの方がより消費を喚起できる、ということです。

去年行われた1人一律10万円の現金給付では、消費に回ったのは3割程度に限られるという調査もありました。

しかし、野党などからはクーポン給付の事務費が900億円以上もかかることを理由に、現金一括給付にすることで、浮いた事務費を生活に困窮する世帯への給付に上乗せすべきだという主張も出ているんです。

そもそも、クーポンはどのような形でもらえるんですか。

政府は▽あらかじめ決められた店で使える「紙のクーポン」と▽インターネット上で商品を購入する「電子クーポン」を想定しています。

具体的な使いみちは決められているのですか。

子育て関連のサービスでの使用に限定することにしていますが、具体的な使いみちは今後、自治体が決めることになっています。

ただ、給付の方法はクーポンに縛られているわけではないんです。

自治体の実情に応じて現金で支払うことも可能だとしています。

政府は全額現金で給付できる具体的なケースについて、今年度の補正予算案の成立後速やかに示したいという考えを示していますが、各地の自治体の長からは、すでに「クーポンにすると事務手続きに時間と経費がかかる」などとして、全額現金で給付するという方針も示されています。

自治体の対応も分かれそうですね?

専門家は、支給方法に関する議論をきっかけに、今後の支援のあり方についても議論を深めてほしいと指摘しています。

野村総合研究所 木内登英 エグゼクティブ・エコノミスト

「支援策ということであればコロナで所得が減った人を対象に集中的に給付すべきだ。また、現金やクーポンの給付でなくても児童手当の拡充などの方法をとることもできたのではないか。事務費がいくらかかるかだけでなく、支援策のあり方の是非も議論してほしい」

給付について、今後のスケジュールはどうなっているのでしょうか。

政府は中学生以下については年内に現金給付を始める予定です。

そのうえで、クーポンについても来年春の卒業、入学、新学期に向けて給付を目指しています。

国会での議論は今後も続くのでしょうか。

12月6日に召集された臨時国会では、この給付を盛り込んだ補正予算案が審議され、この給付をめぐる事務費も与野党の論点の1つになっています。

来週には、補正予算案をめぐって予算委員会も開かれます。

政府・与党は補正予算案を月内に成立させ、給付を含めて経済対策を速やかに実施したい考えですが、丁寧な説明が求められます。