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ガソリン価格だけじゃない 原油高騰がもたらす打撃

ガソリン価格の上昇が続いています。背景には、原油の先物価格の高騰があります。その影響は、さまざまなところに、じわじわと広がり始めています。どんな影響が?この先はどうなるの?

ガソリン価格、値上がりが続いていますね。

そうですね。
10月18日時点のレギュラーガソリンの小売価格は全国平均で1リットルあたり164.6円。
原油の先物価格の高騰を背景に、7週連続で値上がりしました。
およそ7年ぶりの高値水準になっています。

緊急事態宣言が全面的に解除され、久しぶりに車で遠出しようという人も多いと思いますが、困りますよね。

ただ上がっているのは、ガソリン価格だけではないんです。

他には何が?

例えば「灯油」です。

灯油価格も1リットルあたり103.3円と7週連続の上昇。
こちらもおよそ7年ぶりの高値水準です。

これから寒い時期を迎え、暖房にかけるお金も増えることになりそうです。

企業経営にも影響は出ているんですか。

じわじわと出てきています。
仙台市太白区に本社と工場があるクリーニング会社では、重油を使ってボイラーを動かし、アイロンがけの蒸気や衣料品の乾燥に使用しています。

しかし原油価格の高騰を受けて、重油が去年の同じ時期に比べ42%も上昇したそうです。

このほかにも、ドライクリーニングで使う石油から作られた溶剤、配達などに使用する車両の燃料代も上昇し、会社の経営を圧迫しているとのことでした。

マグロ漁で知られる青森県大間町の漁協でも、漁船の燃料価格の上昇に直面しています。

これだけでなく、新型コロナの影響で外食需要が落ち込み、マグロの卸売価格が例年の3分の1程度にまで値下がりしていることもあり、地元の漁業者たちの大きな負担になっているということです。

燃料価格以外にも、影響は出ているんですか。

大手化学メーカーの間では、プラスチック素材などを値上げする動きが相次いでいます。

三菱ケミカルは、食品の包装などに使われるフィルムについて、11月1日の出荷分から10%の値上げを行うと取引先に要請しています。

住友化学は、食品の容器などに使われるポリエチレンと自動車の部品などに使われるポリプロピレンについて、ことしに入って4回、1キログラムあたり合わせて45円以上の値上げを取引先に要請しました。

石油由来のプラスチック製品は、私たちの暮らしの中にあふれています。
素材の価格が上がることで、消費者が手に取る製品の小売価格にも、今後影響が及ぶ可能性もありそうです。

うーん、いろいろなものが値上げとなると、買い物を控えようとなってしまいますね。

そうですよね。

新型コロナの感染状況が落ち着き、まさにこれから、旅行や買い物を楽しもうと考えていた方も多いと思います。

専門家は、こうしたタイミングでの原油価格の上昇が、消費に与える影響に懸念を示しています。

第一生命経済研究所 熊野英生 首席エコノミスト

「感染状況が落ち着いていることを前提に、これから個人消費が回復していくと見られていたタイミングなので、ガソリンなどが値上がりしたのは非常に痛い。冬を迎えて灯油の価格が上がると暖房にかけるお金も増える。その分、高齢者を中心に財布のひもが固くなることが予想され、個人消費全体への下押し圧力になることが警戒される。企業にとっても石油製品を使う産業は利幅が小さくなり、値上がり分を転嫁しにくい中小企業を中心に苦しむことになる」

こうした状況は当分の間、続くのでしょうか。

冬に向けて燃料需要が高まることもあり、当面は原油価格の高い状態が続くという見方が多くなっています。

厳しい状況が続きそうですね。
対策としてどのようなことができるのでしょうか。

政府は、産油国に増産の働きかけをするなど、国民生活への影響を最小限に押さえるべく取り組みを進める方針です。

ただ、専門家は、より中長期的な政策の実行も必要だと指摘しています。

第一生命経済研究所 熊野英生 首席エコノミスト

「原油価格のリスクを考えると、エネルギーに占める化石燃料を減らすことが求められている。中長期の政策として政府が再生エネルギーの普及をさらに後押しすることも必要だ」

脱炭素の機運が高まったことで化石燃料の使用を削減する取り組みは活発になっていますが、原油価格が暮らしに与える影響を最小限に押さえるという観点からも、さらなる対策が必要だと思います。