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自民党新総裁に岸田氏 新内閣 財政運営の課題は

自民党総裁選挙で岸田前政務調査会長が新しい総裁に選出されました。10月4日に国会で行われる総理大臣指名選挙を経て、第100代の総理大臣に就任する見通しです。内外に課題が山積する中、新内閣は「悪化する財政」とどのように向き合うかも問われることになります。その財政、実は初めての“赤点”がつきました。9月29日の「ニュース シブ5時」で永野解説委員が解説しました。

阿部アナ

財政に“赤点”がついたってどういうことですか?赤点=落第点ですよね。

永野解説委員

そうなんです。どういうことなのか、説明していきます。

国は、各省庁が政策の目標の達成度について自己採点する「政策評価制度」を設けています。よりよい政策作りに役立てるため毎年度行っていて、その結果は必ず私たち国民に公表することになっています。

評価は5段階で、表現のしかたは省庁によって違いがありますが、ある省では“目標を上回って達成”すれば「S+」、“相当程度の進展”が真ん中の「A」、そして“目標に向かっていない”を最低の「C」にしています。

久保田アナ

ということは、評価に「C」がついたと?

永野解説委員

そのとおりです。財務省が「財政」についてC評価をつけました。
昨年度の政策評価(ことし6月公表)で、「財政健全化に取り組むとした目標に向かっていない」と結論づけたんです。

官僚たちが、自分の所属する役所の姿を省みて最低評価をくだすのは珍しいことです。財政での最低評価は、評価の公表が義務づけられた2002年度以降で初めてだということです。

久保田アナ

それだけ財政が悪化しているということでしょうか?

永野解説委員

コロナ禍で財政出動を行う必要があったので、しかたのない面はもちろんありますが、財政状況を直視しますと、悪化の一途をたどっているのが現状です。

昨年度は3度にわたる補正予算も含めて、一般会計の総額が175兆円という空前の規模に膨らみました。このうち、私たちの税金=税収で賄えたのは60兆円余りで、残りは国債などに頼ったため、1年間の新規の国債の発行額は初めて100兆円を突破しました。

その結果、今年度が終わる来年3月末には、国と地方を合わせた債務の残高が1166兆円余りに上る見通しです。これは、GDP=国内総生産の2倍以上の水準なんです。

阿部アナ

感染の収束が見えませんから、今後も財政は厳しい運営が続きそうですね。

永野解説委員

そうですよね。新型コロナの影響が長引く中、深刻な打撃を受けている方は多くいらっしゃいますので、個人や事業者に切れ目ない支援を続け、経済を力強い回復軌道に戻していくことが、新内閣にとって最優先の課題です。

そのうえで、やはり欠かせないのが、限られた予算を効果的に使い、税収の範囲内でなるべく政策を回していく姿に近づけていくことだと思います。

この10年余りの間だけを見ても、日本経済は、08年のリーマンショック、11年の東日本大震災、そして今の新型コロナと、大きな危機に見舞われてきました。

予測不可能な危機は、ブラックスワン=黒い白鳥に例えられますが、近い将来、別のブラックスワンが現れないともかぎりません。

新しい内閣が今のコロナ危機を乗り越え、新しい危機にも対応できるような財政をつくっていけるかどうか。財政の目標についた“赤点”がどう変わるかを、私たち納税者一人一人が見ていく必要があります。