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ビール消費低迷でどうする?

ビール系飲料のことし上半期の販売実績が発表されました。新型コロナウイルスの影響が長引く中、最初の緊急事態宣言で落ち込んだ去年をさらに下回り、感染拡大が業界を直撃しています。若者の“ビール離れ”も進む中で、大手各社の次の戦略は?経済部でビール業界担当の保井美聡記者、教えて!

コロナ禍で、ビールなどの販売はどこまで落ち込んだの?

保井記者

ビールと発泡酒、「第3のビール」を合わせたビール系飲料のことし1月から6月までの半年間の販売数量や売り上げは、去年の同じ時期に比べ、いずれも減少しました。

これは、新型コロナ感染拡大による3回目の緊急事態宣言などで飲食店での酒類の提供停止が続き、業務用のビールの販売がふるわなかったことが要因です。

さらに、比較的価格が安く家庭向けの需要が多い第3のビールも、それぞれ11%から13%減少しました。酒税法の改正で去年10月から税率が引き上げられたため、落ち込み自体は覚悟していた各社ですが、その想定を上回る落ち込みだったようです。

厳しい中で各社、どのような戦略を取っているの?

保井記者

業務用の不振が続く中で、もう1つの柱である家庭向けの商品開発に力を入れています。消費者の“巣ごもり需要”が当面続くと見込んで、多様なニーズにきめこまかく対応しようとしているのです。

その1つが、原料や泡立ちへのこだわりです。

これまでよりホップの種類を増やしたり、缶を開けると勢いよく泡が出たりするなど、専門店で飲んでいたようなクラフトビールや生ビールの味わいを楽しめる商品を投入。キリンやアサヒがすでに販売に乗り出しています。

もう1つは、消費者の間で根強い「健康志向」への対応です。

キリンとサントリーは去年からことしにかけて、自社としては初めてとなる「糖質ゼロ」の缶ビールを発売しました。「糖質が多いと太るのでは」と、ビールを敬遠しがちな消費者の需要を取り込むねらいがあります。

またアサヒは、アルコール度数を0.5%に抑えたビール味の炭酸飲料を発売したほか、サッポロもこうした低アルコールの商品をことし9月から発売することにしています。

ワクチン接種も進みつつありますが、今後の販売の見通しは?

保井記者

各社とも当初は、東京オリンピック・パラリンピックに加え夏休みの帰省や行楽なども重なる7月以降は、ビール系飲料の販売が伸びると期待を寄せていました。

しかし、東京都では7月12日から4回目の緊急事態宣言に入り、またも飲食店での酒類の提供停止が求められています。

東京オリンピックもほとんどの会場で無観客での開催となりました。もちろん、家で観戦しながらアルコールを楽しむことはできますが、見込んでいたほどの需要はないというのがおおかたの見方です。

キリンビールの布施孝之社長は「これから需要が高まるであろう時期に、緊急事態宣言が出て大変胸が痛いが、しばらくは、我慢を続けなければならない」と話していました。

感染力の強い変異株の拡大も懸念される中で、売り上げを下支えしてきた業務用のビールの販売がいつ回復するのか、見通しは不透明です。

ワクチン接種が広がり感染が抑えられることで、経済活動が正常化するのはいつになるのか。今後の感染動向を、各社は固唾をのんで見守っています。