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RCEPで何が決まった?

日本や中国、韓国など東アジアを中心に15か国が参加するRCEP=地域的な包括的経済連携。今月15日の首脳会議で合意し署名式が行われました。世界の人口とGDPのおよそ3割を占める世界最大規模の自由貿易圏が生まれることになります。RCEPのねらいや今後の課題について外務省担当の早川俊太郎記者、教えて!

RCEPって、そもそも何をするためにできたのでしょうか?

早川記者

RCEPはRegional Comprehensive Economic Partnershipの略です。 今回の合意で、日本語の正式な名称も「地域的な包括的経済連携」となりました。簡単に言うと、日本や中国、韓国、ASEAN=東南アジア諸国連合の10か国にオーストラリアとニュージーランドを加えた15か国が自由な貿易を進めていこうと手を結んだということなんです。 日本にとって最大の貿易相手国の中国や3番目の韓国とは初めての経済連携協定になります。 さらにこの協定が発効すると、世界の人口とGDPのおよそ3割をカバーすることになるわけですからその大きさがわかりますよね。 RCEPの交渉は、2012年にインドを含めた16か国で始まり、最終的にインドは署名を見送りましたが、実に足かけ8年に及ぶ交渉が実を結びました。

どのような内容で合意したのでしょうか?

早川記者

農林水産品や工業製品にかけられていた関税の撤廃や引き下げ、それに輸出入の手続きの簡素化やサービスや投資のルールなど20の分野について合意しました。 最も注目されたのが関税の撤廃や引き下げです。 参加国全体での関税の撤廃率は品目数で見ると、91%となりました。 99%以上のTPPと比べるとやや低い水準となっていますが、多くの品目で関税が撤廃、または引き下げられることになります。

関税の撤廃や引き下げは、日本からの輸出ということを考えると有利になりますね。

早川記者

そのとおりです。

日本から輸出する工業製品については、91.5%の品目について関税が撤廃されます。

特にメリットが大きいと見られるのが自動車分野です。 今後、成長が期待される電気自動車用のモーターやリチウムイオン電池の素材などの関税が今後撤廃されることになります。 このほか、鉄鋼製品や、電子レンジや冷蔵庫といった家電製品なども対象になります。

一方、農林水産品などでは、輸出量が多い中国向けのほたて貝やインドネシアへの牛肉、中国や韓国向けの日本酒や焼酎などの関税も段階的に撤廃されます。

こうした製品や農林水産品を手がける企業や生産者にとっては、より大きな市場でビジネスを展開できるチャンスが広がります。

一方、日本には、海外からの安い製品や農林水産品が入ってくることになりますよね。

早川記者

こうした交渉の際、日本で注目されるのが、コメや牛肉・豚肉、乳製品などのいわゆる「重要5項目」ですが、今回は、関税の削減や撤廃の対象から外れました。

一方で、中国から輸入される業務用のかき揚げなど冷凍した野菜の総菜は9%、冷凍の枝豆やたこは6%から7%の関税がそれぞれかけられていますが、段階的に関税が下がり、発効後11年目から16年目に撤廃されることになりました。

また、中国の紹興酒や韓国のマッコリの関税も段階的に撤廃されます。

関税以外の合意内容は?

早川記者

企業が自由に活動できる環境を整えるためのルールも定められました。 たとえば、企業が海外に進出する際に、その国が企業に技術移転を求めることを禁止する規定が盛り込まれました。 また、工場や機器の稼働状況などのデジタル情報について、国境を越えて自由に流通できるようにすることも義務づけられています。

メリットが多そうですね。

早川記者

ただ、課題もあります。 インドは、中国から大量の安い製品が流入して国内産業が大きなダメージを受けることを懸念して、今回は署名を見送りました。日本はインドを含む枠組みを提唱し、最後までインドを含む形で合意を模索しましたが、かないませんでした。 13億の人口を抱えるインドを取り込めなかったことは、大きなビジネスチャンスを失ったとも言えます。

インドが抜けたことで、今後、域内で中国の影響力が強まることも懸念されます。

各国は、将来、インドが参加を希望すれば、直ちに交渉を再開するとしています。 インドと良好な関係を維持する日本としては、インドに対して復帰をどう働きかけていくのかが今後の課題です。