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店のデザイン守られてる?

「くら寿司」、「蔦屋書店」、「ユニクロ」、「JR上野駅」。今月、建物の外観や内装のデザインを「意匠権」として保護する新たな制度が始まり、この4つの店舗や駅が登録されました。「意匠権」で外観や内装のデザインを保護するとはどういうことなのでしょうか。経済産業省や特許庁を担当している永田真澄記者に聞きます。

そもそも「意匠権」ってなんなんですか?

永田記者

知的財産権の1つです。知的財産権には、技術的なアイデアである発明を保護する「特許権」、商品やサービスの名前やロゴマークを保護する「商標権」などがあります。これとならんで、デザインを保護するものを「意匠権」と言います。

「意匠権」は、もともと、家電や日用品、自動車などの物品のみを対象にしていましたが、法改正によって新たに店舗などの建物の外観や内装が保護の対象に加わりました。こうした新しい意匠権として登録されたのが上に挙げた4件なんです。

意匠権の歴史は古く、明治政府によって1889年に施行されました。工業化が急速に進む中、模倣された粗悪品が出回ったことから法律が制定され、最初に登録されたのは、織物の柄のデザインだったそうです。

今回、認定されたのはどんなデザインなの?

永田記者

今回登録された東京 浅草にあるくら寿司の店舗を訪ねてみました。店内は白木で建てられたやぐらが存在感を放っていました。世界的なデザイナーに監修を依頼し、「江戸の祭り」をテーマに建設したそうです。

広報の担当者は、「海外展開を進めるうえでの旗艦店として位置づけ、店舗の空間からも日本のすし文化を感じてもらいたい」と話していました。

また、横浜市にあるユニクロの店舗は、建物の外観が登録されました。地上3階建ての店舗は切り崩した山の斜面のような形状になっていて、屋外は、遊んだり休憩できたりするスペースとなっていいます。会社では、赤ちゃんからお年寄りまで幅広い世代が買い物だけでなく、遊んでもらえるような店舗になったとしています。

なぜ建物の外観や内装も保護されることになったんですか?

永田記者

企業にとって提供する商品やサービスだけでなく、店の外観や内装も重要になってきているからです。最近は街を歩いていても独創的なデザインの店舗を見かけるようになりました。

蔦屋書店の店内

企業の間で店内での過ごし方も含めてブランド価値として打ち出す戦略が広まる中、店舗のデザインの模倣を防ぎ、保護していく必要性が高まっているんです。

制度を所管する特許庁は、今回の法改正を制度開始以来の抜本的な改革だとしています。

今後、「意匠権」の登録は広がっていくのでしょうか。

永田記者

特許庁によりますと、受け付けが始まったことし4月から半年間で合わせて336件が出願されたということです。審査が済んだものから、順次、登録される見込みです。

5年前、全国展開するコーヒーチェーンが、店の外観や店内の席の配置などが極めて似ているとして、別のコーヒー店を裁判で訴えたケースがあります。当時は内装のデザインを保護する制度がなかったため、原告側が模倣されたということを立証する必要があり、大きな負担となりました。

今回の制度によって店のデザインをめぐる紛争を事前に防ぐことにもつながります。企業の間でデザインへの関心が高まり、魅力的な店舗が増えていくことを期待したいと思います。