Q&A357

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グーグルに何が起きているの?

スマートフォンが手放せないのと同じくらい、日々、検索やメールなどでグーグルのサービスを利用しているという人も多いでしょう。そのグーグルが、アメリカ司法省から提訴されました。日本の独占禁止法にあたる反トラスト法違反の疑いです。IT企業をめぐる反トラスト訴訟としては、1990年代のマイクロソフトの事例以来の大型訴訟。法廷闘争の行方しだいで、巨大IT企業のビジネスモデルに大きな影響が出そうです。

グーグルの何がいけないとされたのですか?

ひと言で言うと、「ネット検索や広告の分野での圧倒的なシェアを利用して公正な競争を妨げた」ということ。今回の訴状の冒頭、司法省は、今のグーグルはかつての姿とは様変わりしたと厳しく指摘しています。

Two decades ago, Google became the darling of Silicon Valley as a scrappy startup with an innovative way to search the emerging internet. That Google is long gone. The Google of today is a monopoly gate keeper for the internet, and one of the wealthiest companies on the planet.
 
(20年余り前、グーグルはスタートアップ企業として、革新的なネット検索技術でシリコンバレーの花形となった。そんなグーグルの姿はもうない。今のグーグルはネットの独占的な門番であり、世界で最も裕福な企業の1つだ)

特に司法省が問題視しているのが、グーグルがスマホメーカーなどと交わしているという契約。毎年、何十億ドルも払って、グーグル検索をスマホなどの「初期設定」にしていたと指摘しています。

特にアップルとの関係では、推計で毎年80億ドルから120億ドル(0.8兆円~1.2兆円余)ものお金を払って、初期設定の座を保っていたと。利用者の多くは初期設定をわざわざ変更しないため、グーグルはネット検索で90%近い高いシェアを維持でき、検索の利用によって伸びるネット広告でも独占的な地位を得ているというのが司法省の主張です。

無料で便利にサービスを使っているという人もいると思いますが、利用者には弊害が出ているのでしょうか?

司法省はそう見ています。グーグルが独占的な地位を維持して他社の参入や公正な競争をはばんでいる結果、新たなイノベーション(技術革新)が起きなかったり、広告費が高止まりしたり、サービスの質の低下を招いたりしていると指摘しています。そして、事業の分割など、あらゆる選択肢を排除しない姿勢を示し、裁判所に対して、問題を解消するための「構造的な措置」を取るよう求めています。

事業の分割と聞くと穏やかではないですね。

グーグルは1998年に創業して今や年間の売り上げが17兆円規模になるまで成長してきたんだけど、くしくもその1998年に起きたのが、司法省によるマイクロソフトの提訴。司法省は、マイクロソフトがパソコンの基本ソフト「ウィンドウズ」で持っていた高いシェアを利用して、インターネット閲覧ソフトを抱き合わせで販売していたなどと指摘しました。結果的に両者は和解したけど、裁判の過程で、一時、会社の分割命令が出されたこともありました。

今後どうなるんですか?

グーグルは「司法省の提訴には重大な欠陥がある。利用者はグーグルを使いたいから使っているのであり、強制されているわけでもほかの手段がないからでもない」と強く反発していて、長い法廷闘争になりそうです。反トラスト法違反を司法省がどのように立証していくのかも注目ポイントになります。一方、話はグーグルだけでは終わらなそう。

どういうことですか?

アメリカ司法省はグーグル以外のIT企業も調査しているし、議会下院の小委員会も、GAFAと呼ばれる4社(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)を対象に反トラスト法に違反する行為がないか調査し、10月、事業の分割も視野に規制を強化するよう求める報告書をまとめているんです。

アメリカ以外でも、EU=ヨーロッパ連合が、去年3月、グーグルがネット広告で公正な競争を妨げたとして日本円で1800億円余りの制裁金を支払うよう命じています。日本でも、検索や広告の在り方のルール整備の検討が進んでいます。

アメリカの巨大IT企業は、インターネットの普及の波に乗って急成長してきたけど、ここへ来て、その巨大な影響力が世界的に問題視され、規制強化の流れになっています。今回の提訴の行方が、グーグル、ひいては巨大IT企業のビジネスモデルにどう影響していくのか。スマホの使い方をはじめ、私たちの暮らしにも関わってきそうです。