Q&A325

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幸せって測れるの?

人の“幸福度の計測”をビジネスにする会社ができることになりました。幸せの価値観は人それぞれですが、いったい何を計測し、どう役立てようというのでしょうか?経済部の早川俊太郎記者、教えて!

幸せを計測する会社って想像つかないですね。

早川記者

確かにそうですね。新しい会社「ハピネスプラネット」を設立するのは日立製作所です。

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけにテレワークが普及するなど、今、働き方が大きく変わっています。テレワークをしている人たちにとって、これまで当たり前だった“対面”と比べてコミュニケーションが難しいことが課題だという調査もあります。

新会社は、働く人たちの幸福度を計測することで職場全体のコミュニケーションの状況を分析し、具体的な改善策を提案するといったビジネスを検討しています。

そもそも、人の幸せをどうやって測るんですか?

早川記者

まずはスマートフォンに専用のアプリをダウンロードします。スマートフォンには加速度センサーがついていて、それが本人も気付かないような体のわずかな動きや揺れを計測します。

これまでの研究成果から、体の揺れを調べるだけで、相手の話に共感しているかどうかといったコミュニケーションの状況が分かるというんです。

それをもとに、自分が周りの人の幸せにどれだけ貢献したかを「ハピネス関係度」と名付けた数値で示します。数値は最も高いと12程度です。計測のたびに数値は変わりますが、10を超えると高い評価だということです。

幸福度は仕事ではなく趣味などで高まる気もしますが、この技術は仕事中のコミュニケーションの状況を分析するということなんですね。

早川記者

そうです。一般的に良好なコミュニケーションと人の幸福度には密接な関係があるとされています。また、日立が10年以上にわたっておよそ3万人を対象に実証実験を重ねた結果、コミュニケーションを通じた他者への貢献度が高い人が多いほど、組織が活性化することも分かったということです。

実際に日立の営業の現場で4か月間、この技術を活用してコミュニケーションの改善を図ったところ、受注率が27%アップしたと説明しています。

心の中をのぞかれるようで、抵抗を感じる人も出てきませんか?

早川記者

私自身、実際にアプリを入れて試しています。計測されるのはあくまで本人も気付かないような体の細かな動きで、プライバシーに関わるようなものが取得されるわけではありません。自分が周囲の人たちとしっかりコミュニケーションを取れているかを示す指標ということなので、今のところ、心の内側までのぞかれているような感覚はありません。

われわれも使えるんですね。実際に使ってみてどうでしたか?

早川記者

1週間ほど使っていますが、私の「ハピネス関係度」は8から9の間で、残念ながら高評価とされる10には一度も達していません。もう少し、意識的にコミュニケーションを取っていかないといけないのかなと思います。

職場の環境改善のほかには応用の可能性はあるのでしょうか。

早川記者

具体的には固まっていないということなんですが、例えば幸福度が高い人ほど心身が健康なことを実証して、生命保険の分野に応用するといったことを検討しているそうです。ほかにも医療や介護、まちづくりなどさまざまな活用方法を考えたいとしています。

社会全体の“幸せ度”が高まる方向で活用されることを期待したいですね。