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スルメイカがいない!?

生でもよし、火を通してもよし、乾物にしてもよし。日本人が親しんできたスルメイカですが、ここ数年は各地で記録的な不漁に陥っています。いったいスルメイカはどこに行ってしまったのか?農林水産業を担当する岡谷記者、教えて!

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スルメイカ、確かに最近、居酒屋でもあまりメニューにみかけないような気がします。

岡谷記者

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ここ数年、急激に漁獲量が減っているんです。4、5年前には1年間で10万トン以上取れていたのが、2016年度には6万トンとなり、それから減少が続いて、今の2019年度は12月までで2万トン余りにとどまっています。

いきのよいスルメイカが水揚げされ、「活いか」が地元の特産となっていた北海道函館市の卸売市場では取扱量が過去最低に落ち込んでいます。このため卸売価格は逆に過去最高値となり、それにつれて、地元の料理店や加工食品の会社でも値上げを余儀なくされているそうで、各地で影響が広がっています。

どうして不漁になっているのですか?

岡谷記者

日本近海のスルメイカの数=資源量自体が減っているからです。10年ほど前、資源量は「高位」つまり十分にあると推定されていましたが、2015年ごろから急激に減って、「低位」などの水準に落ち込んでいます。

国の研究機関によると、主な産卵場所である東シナ海の海水温が低くなった影響で、生まれた数が少なくなったためと考えられています。そうした海の環境変化に加えて、統計上ははっきりしないのですが、日本海で中国や北朝鮮がスルメイカをとっていることも影響していると見られています。

水産庁は持続的な漁業をしていくためには、いまは資源の回復が急務だと考えています。このため、年度ごとに設定している漁獲枠=漁獲できる量の上限を、2020年度は、いまよりおよそ15%減らして、5万7000トンに引き下げる方針です。しかし、実際の漁獲量は、この上限を大幅に下回る年が続いていて、新年度もどうなるか不透明です。

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日本が漁獲枠を抑えても、中国や北朝鮮がたくさんとってしまったら、資源量の回復にはつながりませんよね?

岡谷記者

日本と韓国、ロシアによる漁獲量はわかっています。しかし、中国や北朝鮮については、違法操業している漁船も多く、どれだけ漁獲しているかは把握できていないのが実情です。資源量の回復のためには、中国や北朝鮮とも連携して、国際的な資源管理を行う必要があります。

スルメイカだけでなく、サンマも記録的な不漁でしたよね。身近な魚がとれなくなってきているようで、心配です。

岡谷記者

確かにサンマも漁獲量が過去最低となったほか、秋サケも漁獲量を大きく減らしました。一方で、マイワシの去年の水揚げは、2015年と比べ2倍以上に増えました(漁業情報サービスセンター調べ)。

背景として指摘されているのが「レジームシフト」と呼ばれる海水温の変化です。北太平洋の水温は、数十年単位で変動することが確認されていて、水温が温かい時にはスルメイカやカタクチイワシなどの漁獲が増え、水温が低いときにはマイワシやスケソウダラなどの漁獲が増える傾向にあります。

近年はスルメイカが減り、マイワシが増えている傾向があり、こうした海洋環境の大きな変化が影響していることも考えられます。

資源が少ない魚介類は、国際協調で取る量を減らして持続的な利用につながっていくとともに、資源が多いものをうまく活用するという考え方が重要になってきそうです。