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ダイナミックプライシングって何?

「時価」と聞くと、どんなイメージを思い浮かべますか?高級なすし店やかっぽうなどにある珍しい食材を使った料理の値段のことでしょ、と思った皆さん、最近では音楽ライブのチケットや家電の値段も「時価」になっているそうです。それが、「ダイナミックプライシング」。価格設定の現場でいま、何が起きているのか、値段には少しうるさいという、経済部の池川陽介記者、教えて!

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浜崎あゆみさんのことしの年越しライブ、チケットがダイナミックプライシングになるというニュースを見ました。いったい、どういうことなんですか?

池川記者

多くの注目を集めるアーティストのライブだけに気になりますよね。浜崎さんの今回のライブチケットの場合、次のように「標準価格」が設定されています。

1 アリーナステージ前席 …3万円前後
2 アリーナ席・スタンド前列席 …2万円前後
3 アリーナ後方席・スタンド席 …1万1000円前後

この標準価格から、売れ行きなどに応じて、定期的に価格が変動するのがポイントです。想定を超える人気だった場合には価格は上がり、予想を下回る売れ行きだった場合には、価格が下がっていく。こうした価格設定の手法が、「ダイナミックプライシング」と呼ばれています。AI=人工知能を活用して、過去の売れ行きや天候などのデータをもとに、価格を自動的に変動させていくところが特徴です。こうしたダイナミックプライシングの考え方は、これまでも、ホテルや航空券などで採用されていましたが、AIの進化やビッグデータの活用が進む中で、さまざまな業界で使われ始めています。

企業がダイナミックプライシングを導入するねらいはなんですか?

池川記者

チケットの販売を手がけるエイベックス・エンタテインメントによりますと、ダイナミックプライシングを導入することで、不正転売を減らす効果が期待できるとしています。というのは、価格が一定ではなく変動するため、不正な転売で得られる利益が予測しにくくなるからで、高額転売によりチケットを購入できなかったファンも適正価格で購入できるようになるとしています。エイベックス・エンタテインメントでは、今回の結果を踏まえて、今後、ほかのアーティストのライブでも活用を検討したいとしています。

ダイナミックプライシングは、家電量販店でも活用の動きが出ているんですよ。首都圏を中心に展開する「ノジマ」はことし10月から、185店舗すべてで、商品の価格を紙の値札ではなく、デジタルで表示する仕組みを導入しました。

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店頭価格はこれまで、本部のバイヤーが原則、週に一度、地域ごとに設定。売り場の担当者はそのつど、設定された価格に基づいて、値札を張り替えてきました。

この、「バイヤーが設定する」の部分をAIに置き換えるのがダイナミックプライシング。過去の売り上げデータや、新製品の投入のタイミングなどを勘案して、適切な価格を設定し、デジタル表示の値札に反映させます。ノジマは、今は地域ごとになっている価格について、今後はAIを活用して店舗ごとに最適な販売価格をスピーディーに反映させる仕組みの導入も検討したいとしています。ノジマの貞森望グループ長は「本格的な検討はこれからだが、多種多様な価格設定には、AIの力で省力化していくことが必要だと思っている」と話しています。

このほか「ビックカメラ」も、ネットストアでの販売価格はすでに売れ行きなどで変動していて、店頭でもすぐに反映させる仕組みの導入を進めているそうです。2020年度末までにすべての店舗で始めることを目指しています。

モノの価格やサービスの料金の設定方法がどんどん変わってきているんですね。

池川記者

そうですね。例えば、ことしの「新語・流行語大賞」の候補にも選ばれた「サブスク」。その語源になった「サブスクリプション」は、一定期間の利用について、代金を支払う契約形態で、「定額制」として、音楽や動画配信、それに自動車の利用まで広がっています。また、飲食店などで、利用したサービスの満足度や品質のよさをもとに、利用者が料金を決めるという新たな試みも始まっています。スマホ片手にネットオークションを利用するなど、多くの人が日常的に「値決め」を経験しているこの時代、新しい価格設定の手法は今後ますます増えてくるかもしれません。