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ぺんてるとのもつれる関係・奪い合いの果ては?

文房具業界の“三角関係”がもつれにもつれています。業界トップのコクヨが筆記具メーカー・ぺんてるの子会社化を目指すとして、敵対的買収に乗り出しました。コクヨの動きを阻止しようと別の文具大手・プラスが参戦。ぺんてるをめぐる争奪戦がおきています。来週9日ないしは10日には株式の奪い合いについての期限が到来します。もつれた糸をすこしほどいて解説してみます。大阪放送局の経済担当、谷川浩太朗記者教えて!

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そもそもコクヨはなぜぺんてるの買収に乗り出しているんですか?

谷川記者

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コクヨは年間の連結の売上高が3000億円を超える文房具業界のトップ企業。しかし、少し先の将来を見越すと安心してはいられない立場なんです。国内市場は人口減少に伴い、縮小するリスクに直面しています。また、海外で勝負したいとは思っているのですがコクヨは海外市場はまだまだ未開拓。海外売上高は全体のおよそ7%なんです。

一方のぺんてるは実は海外での知名度抜群。海外売上高の比率は65%余りもあるんです。コクヨはキャンパスノートで有名ですが、筆記具の主力商品を持っていないので筆記具に強いぺんてるは、とても魅力的に輝いて見えたんですね。

一方、ぺんてるは、コクヨの思いを受け止められないようですね。

谷川記者

ひと言でいうと社風が違いすぎるんです。取材をしていても違いを感じます。大阪発祥のコクヨは、商売人気質で利益重視、イケイケという感じの社風。一方、ぺんてるは非上場ということもあり、どちらかというと実直でおっとりした社風。いい製品を作って社会の役に立つことを大切にしています。コクヨの子会社になったら、これまでの社風が変わって、いい製品が作れなくなるのではないかと不安がっています。そこに登場したのがプラスという会社でした。

プラスはどういう会社なの?

谷川記者

コクヨと同じ総合文具メーカー大手です。

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通販大手・アスクルも、もともとはプラスの事業部門の一つだったことからわかるように、流通を重視していることで業界内では有名な会社です。コクヨの動きを阻止するために、プラスがぺんてるの株式の買い取りを表明しました。企業買収の世界では、買収から救ってくれる企業のことをホワイトナイト・白馬の騎士といいます。プラスはホワイトナイトか?と話題になったんです。

ホワイトナイト!正義の味方みたいに見えるけど、どうなんでしょうか。

谷川記者

救う側もそれなりの計算や下心があるとみるべきでしょうね。プラスも協業によって商品のラインナップを増やしたり、開発力を手に入れたりしたいと考えています。それに、コクヨとプラスは、さまざまな商品を扱う総合文具メーカーとして、ライバル関係。かつてプラスのPとコクヨのKをとって「PK戦争」とも言われたほど。プラスとしてはコクヨがぺんてるを奪うことをすごく恐れているとも言われているんです。また、ぺんてるの社員やOBの中でも、本当にプラスと組むことがいいことなのか、意見は分かれているようなんです。

コクヨとプラスは、それぞれどんな行動をとっているんですか?

谷川記者

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コクヨは、ぺんてる株をおよそ37%保有していて、さらに株式を買い集めて50%を超える株式の取得を目指しています。ただ株式を買い取るだけではなく、委任状もセットで集めています。というのはぺんてるの株はちょっと特殊で、譲渡制限、人に売るときには取締役会の承認が必要なんです。このため、コクヨとしては委任状を集めて臨時の株主総会を開き、対立している今の経営層を刷新し、子会社化しようと考えているんです。

一方、プラスは、ぺんてるの株式を最大で33.4%まで買いたいとしています。現役社員やOBが多くを占めるぺんてるの株主構成から、この範囲で買い取っておけばコクヨに過半数を取られることがないと判断したもようです。

ぺんてるをめぐる争奪戦、どうなりそうですか?

谷川記者

最終的にどうなるか、見通せない状況です。コクヨは当初、1株当たり3500円としていた買い取り価格を2度も引き上げて、4200円にするほど、必死になっています。ぺんてるの株主から思うようには賛同を得られていない可能性が指摘されています。コクヨの買い取り期限は12月9日。プラスが設定した期限は翌日の10日。コクヨが株式の過半数を取るのか、プラスが阻止をするのか。それとも株式の保有が割れてしまうのか。文房具メーカーの奪い合いの果ては来週山場を迎えます。