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アバターに何をしてもらいますか?

自分の分身「アバター」を通して、自宅にいながらデパートでショッピングをしたり、観光を楽しんだり。まるで映画のような体験が、身近になるとしたら…。そんな技術が今、現実のものになろうとしています。早速、取材してきたという経済部の加藤ニール記者、どんな体験でしたか?

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アバターって、そんなタイトルの映画もありましたが、現実の世界でも開発が進んでいるんですね。いったい、どんなものなんですか。

加藤記者

このアバター、大手航空会社のANAホールディングスが開発しました。「newme(ニューミー)」という名前で、“新しい私”という意味です。

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人の背丈ほどの最大1メートル50センチの高さのロボットで、タブレットやパソコンを使って遠隔で操作できます。顔の高さの位置にあるディスプレイには、操作する人の顔が映し出され、カメラやマイクを通して、その場にいる人と会話を楽しむことができます。

最新の家電などを紹介する「CEATEC JAPAN」で公開され、私も体験してみました。大分県の水族館にあるアバターを動かし、館内の水槽を自由に見て回ったり、飼育員に直接、説明を聞いたりすることがきました。千葉の幕張メッセにいながら、大分の水族館にいる気分を満喫することができました。

なんだか楽しそう。ただ、アバターと聞くともっとSFの世界かと思っていましたが、実際には、自由に動かせるテレビ電話のロボットといったイメージでしょうか。

加藤記者

この「newme」は、コミュニケーション型のアバターというそうです。ANAとしては、まずはアバターを街中に普及させるために、あえてシンプルなロボットにしたといいます。

価格は1台数十万円とロボットとしては抑えめ。1か月当たり、数万円の利用料で貸し出したいとしています。

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ANAは、このアバターをおよそ1000台作り、来年春から各地の観光地やデパートなどに設置したいとしています。その一方で、こうしたシンプルなアバターだけでなく、最新の技術を駆使したアバターも、CEATECでは紹介していました。

最新の技術を使ったアバター。どんなものですか?

加藤記者

例えば、海に行かなくても、釣りが楽しめるアバター。センサーがついた専用の釣りざおを操作すると、海に設置された釣りロボットのアバターが、全く同じ動きをします。

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海にはカメラやマイクも設置されていて、操作する人は、スクリーンに映し出された海の様子をリアルタイムに見ながら釣りざおを操作します。

このアバターがすごいのは、魚が食いつくと、その感触が、そのまま操作する釣りざおにも伝わってくるところ。目と耳と感触で、釣りを味わえるんです。

このほか、人間の動きを忠実に再現するロボットアームの開発も進めていて、例えば、医師が遠隔で手術をしたり、遠隔で料理をするなんてことができないか、研究が進められているそうです。

しかし、なんでANAがアバター開発なんですか。直接足を運ばなくても、何でもできてしまったら、飛行機を飛ばす航空会社にしたら、“商売あがったり”では?

加藤記者

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もともとは、高齢者や障害者で、飛行機の利用が難しい人にも観光を楽しんでもらおうというのがきっかけだったといいます。

ただ、アバターは、観光や買い物だけじゃなく、医療や教育現場、車の運転など、いろいろな用途が考えられる。そこで、新規事業として立ち上げて、航空事業とは別に、今後、展開を広げていきたいと考えているそうです。

これからロボットがどんどん増えていくのかな。

加藤記者

アバターに欠かせない“インフラ”の整備も進むことで、活躍の場は広がりそうです。そのインフラといえるのが、高速・大容量の次世代通信規格、5G。

アバターを通して鮮明な映像や音声、リアルな感触などを伝えたり、タイムラグがなくスムーズにロボットを動かすには、5Gが欠かせません。

その5Gが、来年春から国内でも実用化されることになっています。アバターのような大げさなものではなくても、スマホの音声認識や、AIスピーカーと“会話”するように操作できる機械・ガジェットは、最近増えていますよね。

インフラの整備にともなって、こうした技術や、今回のようなアバターを使って、より便利で楽しく、暮らしも豊かになるのか。ますます私たち人間の「アイデア」が求められる時代になってきていると思います。