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リブラって何ですか?

リブラって聞いたことありますか?最近、SNSやニュースで耳にするようになりましたが、いまひとつよくわからないという人も多いみたいです。どうやらアメリカ生まれの「新しいお金」のようなものらしいのですが…シリコンバレーで豊富な取材経験がある経済部の飯田香織デスク、教えてください!

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リブラって、ひと言で言うとどういうことなんですか?

飯田デスク

世界最大の交流サイトを運営するフェイスブックがつくる、スマホ用のお財布にためる「お金」のことです。会社は「新たなデジタル通貨」と呼んでいますが、一般的には暗号資産とか仮想通貨などと呼ばれます。名前の由来は、古代ローマの重さを測る単位の「リブラ」(1リブラ=320グラム余り)。硬貨をつくる際に使われて、イギリスの通貨ポンドの「£」の記号もLibraの「L」からきています。リブラが数百年続いてほしいという願いを込めた名前なんだそうです。

なるほど…そのリブラ、僕たちも使えるようになるんですか?

飯田デスク

その予定です。どんなふうに使えるかというと、まずはスマホからスマホへの送金。近くにいる友達でもいいですし、遠く外国にいる銀行口座を持たない家族でもオッケー。

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ザッカーバーグCEOは講演で「写真を送るような感覚でお金も送れるようにしたい」と話していました。国際送金ビジネスの市場規模は世界で年間、約5兆4000億円と言われていて、銀行が要求する手数料は平均で7%。1万円を送金すると700円支払う計算です。高い!それが「ほとんどタダになる」と会社は説明しています。今は相手の口座に入金されるまで数日かかることも珍しくないんだけど、リブラは瞬時に受け取れるといいます。

また、公共料金を支払ったり、コーヒーを買ったりする時も使えます。あと例えば「うちの会員になったら1リブラをプレゼント!」なんていうお店のキャンペーンにも対応できます。フェイスブックと傘下のメッセージアプリの利用者は、世界で約27億人。全人口の3分の1近くにも達します。この一部の人でも使えばとてつもないインパクトがあります。

便利そうですが、どういう仕組みになっているんですか?

飯田デスク

利用者はドルや円、それにさまざまな現地通貨でリブラを買ってスマホのお財布(アプリ)にためることになります。反対にリブラをドルや円に両替することもできます。6月18日に発表されたリブラの企画書には「海外旅行時の外貨両替と全く同じ」と書いてありました。

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アプリを開くと為替レートが表示され、フェイスブックのサンプル画像には「1リブラ=1.0493ドル」とあります。会社によると、リブラは価格が大きく変動するビットコインといった暗号資産と違って、準備金としてドルやユーロ、円などの預金、それに短期国債などの資産を積み立てます。つまり裏付けがあるというのです。リブラの価値は預金や国債を入れた「バスケット」に連動するため「変動が少なく安定する」と説明しています。

どんな通貨をどれだけ積み立てるかといった大事なことを決めるのは「リブラ協会」。本部はスイスです。フェイスブック以外に、ビザやマスターカード(クレジットカード会社)、ウーバー(アプリを使った配車大手)など20社余りが初期メンバーとなりました。メンバーになるための「入会金」は最低でも10億円と言われていて、準備金の利子から「分け前」を受け取ることになります。リブラがたくさん出回ればそれだけもうかる仕組みです。

すでに大きな仕掛けが始まっているんですね。でもそもそも、SNSであるフェイスブックがなぜ「お金」に乗り出すんですか?

飯田デスク

まずは銀行口座を持たずATMも使えない世界の17億人が、簡単にお金を送ったり受け取ったりできるようにするためだとしています。ただ、その説明では納得しない人が多かったみたいで、7月3日にリブラの責任者のデビッド・マーカス氏が追加の回答をアップしました。

それによると、「リブラが成功すればフェイスブックと傘下のメッセージアプリを使った商取引が増え、その結果、企業がもっとたくさんの広告を出すようになる」ということです。フェイスブックの売り上げの99%は広告収入で、それが増えることをねらっています。また、「リブラが信頼されれば、ほかの金融サービスに乗り出すこともできる」とも書いていて、いずれは融資などにも参入することを考えているようです。

「ビッグビジネス」ですね。しかし、悪用されそうだけど、大丈夫ですか?

飯田デスク

それがとっても心配なんです。マネーロンダリングやテロといった犯罪の温床になるのではないか?サイバー攻撃されたら金融システム不安が起きて世界経済が大混乱するのではないか?送金や買い物のデータがフェイスブックの「狙い撃ち広告」に使われるのではないか?挙げたらきりがありません。

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こうした懸念に、フェイスブックは「各国の法律に従って不正を防止する」として、リブラを使うには運転免許証など政府発行のIDで本人確認すること。取り引きデータの改ざんが難しいとされる独自のブロックチェーン技術を使うこと。さらに、「データを広告の精度を上げるためには使わない」と、公約しています。とは言え詳細がよくわからない上に、去年、最大で8700万人分という大量の個人データが流出した記憶が鮮明なので、不安は残ります。

導入時期は、いつごろなんですか?

飯田デスク

会社は来年の前半を予定していますが、そう簡単ではなさそうです。「ドルの番人」とも呼ばれるアメリカの中央銀行のトップが先週「深刻な懸念を抱いている」と発言。フェイスブックの利用者があまりに多いため、懸念が解消されないかぎり、認めるわけにはいかないと強調したんです。

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トランプ大統領のツイート

その後、シリコンバレー嫌いで知られるトランプ大統領も「銀行と同じような規制が必要だ」とツイート。イギリス、フランス、それに日本の当局も懸念を示し、今週フランスで開かれるG7会議でテーマとなります。16日には、フェイスブックのデビッド・マーカス氏(リブラの責任者)がアメリカ議会で証言する予定です。さまざまな懸念にどうこたえるか注目されるなか、冒頭発言の要旨を前倒しで公表し「規制当局の承認を得るまで導入しない」と強調しました。

フェイスブックはリブラを「新たな世界通貨」とも呼んでいて、実現すればこれまでの銀行経由の決済や送金の方法を大きく変えるのはもちろん、今の国ごとの通貨を置き換えてしまう可能性すらあります。だからこそ、各国の通貨当局は消費者の安全性、はたまた国家の主権が脅かされるとして警戒を強めています。リブラということばには「てんびん」や「バランス」という意味もあるんです(ラテン語)。便利さと規制のバランスをどうとるのかという議論はこれからですね。